【完結】【R18】結婚相手を間違えました

鷹槻れん

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16.ある冬の寒い日に

繋がらない電話

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***

『ごめんな、結葉ゆいは

 結葉ゆいはが急いで下に降りると、暖房のきいたエントランスホールの、日当たりの良い窓辺に置かれたソファーから立ち上がって、そうが片手を上げた。

 コンシェルジュに小さく会釈をすると、結葉ゆいはは急いでそうのそばに駆け寄る。

 ここは窓に面してはいるけれど、角度的に動物病院からは死角になっている。
 街路樹も植えられていて、外からは中が見えないよう配慮もされていた。

 それを目視で確認してそうの正面のソファに腰掛けると、「うちに……何かあったの?」と恐る恐る問いかける。

 わざわざそうがここを訪ねてくる理由なんてそれ以外に考えられなかったし、あってはいけないと思ったから。

「ああ、そうなんだ。今朝は急に冷えただろ? それで結葉ゆいはの庭にあるガーデンシンクんトコの水道管が破裂しちまったみてぇで」

 実家は、山波やまなみ建設に管理を任せているから、掃除などに備えて水道や電気を止めていない。
 それが裏目に出てしまったみたいだ。


 申し訳なさそうに眉根を寄せると、
「夜のうちにほんの少し水を出しっぱなしにしとけば良かっただけなのに。ホントすまねぇ」

 管理を任されていたのに、配慮が足りなかったと頭を下げてきたそうに、結葉ゆいははふるふると首を振った。

そうちゃんのせいじゃないよ。顔あげて?」

 言うと、そうは申し訳なさそうに結葉ゆいはを見た。

「俺の管理責任だから修理代はこっちが持つ。だからそこは安心してくれ」

 言われて、本当にそこまで責任を感じてくれなくてもいいのに、と結葉ゆいはは焦る。

「それを伝えときたくてさ――」

 そうは水道の異変に気付くなり、小林夫妻に教えられていた御庄家みしょうけの固定電話に連絡を取ろうとしてくれたらしいのだけど――。

「何か分かんねぇけど『この電話はお受けできません。ご了承ください』っちゅーアナウンスが流れるばっかで全然繋がんなくてさ」

 大雪が降ったら電話回線もおかしくなんのかな?と付け加えたそうに、曖昧に「どうかな」って返しながら、結葉ゆいは偉央いおそうの携帯番号を着信拒否リストに加えたんだろうなとぼんやり思う。

 きっと、山波やまなみ建設からの電話なら、辛うじて受信出来た気がするけれど、そんなことをそうに言ったら「何で?」と聞かれそうで言えなかった。

「お前の携帯にも掛けてみたんだけど……。結葉ゆいは、番号変えた? 久々にかけたら使われてねぇって言われてびっくりしたわ」
 とそうが頭を掻く。

 自分がかつて使っていた携帯番号を、そうがまだ登録していてくれたんだと思ったら、気に掛けてもらえているようで泣きそうに嬉しかった結葉ゆいはだ。
 でも、そんなの、顔に出すわけにはいかない。
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