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20.逃避行
不安だらけの結葉
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想が迎えにきてくれて。
エントランス前に横付けされた彼の車に乗り込んでマンションの敷地を出るまでの間、結葉はずっと『みしょう動物病院』の方をソワソワと気にして気持ちをピンと張り詰めさせていた。
いつ、偉央が逃げようとしている自分を見咎めて追いかけてくるんじゃないかと気が気じゃなかった結葉だ。
だが実際は結葉が見つめる先。
『みしょう動物病院』の駐車場は満車で、駐車スペースが空くのを待っている車も数台いるほどの盛況ぶりだったから。
当然結葉が懸念したように偉央が彼女を追いかけて建物から出て来るようなことはなかった。
想は結葉を気遣ってくれたんだろう。
前回このマンションを訪れたときには山波建設の社用車だったのが、今回は黒のミニバン――ヴォクシーで来てくれていた。
助手席に乗ったら外から丸見えだ、怖い……とソワソワした結葉にいち早く気付いた想が、ドアロックを解除するなりリモコンキーで後部座席のスライドドアを開けて後ろに乗り込めるようにしてくれる。
前部座席とは違って、後ろは窓がプライバシーガラスになっていて、外からは車内が見えにくくなっていたから、それだけでも結葉の心は軽くなった。
それでもやっぱり不安が拭いきれなかった結葉は、想に促されるまま後部シートに乗り込みながら、窓から顔が覗かないよう身体を寝かせるようにして。
そんな自分を見守ってくれている想は、コンシェルジュと同じ制服を着て、夫の勤め先を異常なまでに気にして怯えている結葉に、きっと聞きたいことが山ほどあるはずだ。
だけど何も言わずに運転席に乗り込むと、結葉に「出すぞ」とだけ声を掛けてきた。
いま、想からアレコレ聞かれても、きっと追っ手がくるのではないかとか、そういうことばかりが気になっている結葉には、まともな受け答えなんて出来なかっただろう。
小刻みに震える身体にギュッと力を込めて、両腕に抱えた雪日の入ったトートバッグを抱き寄せた結葉は、そんな想の気遣いに心の底から感謝する。
今はとにかくただただこの場から遠ざかりたい一心の結葉だ。
実際、想がどこへ向けて車を走らせているのかとか、そういうことにすら気持ちが回らないほど、結葉はそればかりに気を取られていた。
エントランス前に横付けされた彼の車に乗り込んでマンションの敷地を出るまでの間、結葉はずっと『みしょう動物病院』の方をソワソワと気にして気持ちをピンと張り詰めさせていた。
いつ、偉央が逃げようとしている自分を見咎めて追いかけてくるんじゃないかと気が気じゃなかった結葉だ。
だが実際は結葉が見つめる先。
『みしょう動物病院』の駐車場は満車で、駐車スペースが空くのを待っている車も数台いるほどの盛況ぶりだったから。
当然結葉が懸念したように偉央が彼女を追いかけて建物から出て来るようなことはなかった。
想は結葉を気遣ってくれたんだろう。
前回このマンションを訪れたときには山波建設の社用車だったのが、今回は黒のミニバン――ヴォクシーで来てくれていた。
助手席に乗ったら外から丸見えだ、怖い……とソワソワした結葉にいち早く気付いた想が、ドアロックを解除するなりリモコンキーで後部座席のスライドドアを開けて後ろに乗り込めるようにしてくれる。
前部座席とは違って、後ろは窓がプライバシーガラスになっていて、外からは車内が見えにくくなっていたから、それだけでも結葉の心は軽くなった。
それでもやっぱり不安が拭いきれなかった結葉は、想に促されるまま後部シートに乗り込みながら、窓から顔が覗かないよう身体を寝かせるようにして。
そんな自分を見守ってくれている想は、コンシェルジュと同じ制服を着て、夫の勤め先を異常なまでに気にして怯えている結葉に、きっと聞きたいことが山ほどあるはずだ。
だけど何も言わずに運転席に乗り込むと、結葉に「出すぞ」とだけ声を掛けてきた。
いま、想からアレコレ聞かれても、きっと追っ手がくるのではないかとか、そういうことばかりが気になっている結葉には、まともな受け答えなんて出来なかっただろう。
小刻みに震える身体にギュッと力を込めて、両腕に抱えた雪日の入ったトートバッグを抱き寄せた結葉は、そんな想の気遣いに心の底から感謝する。
今はとにかくただただこの場から遠ざかりたい一心の結葉だ。
実際、想がどこへ向けて車を走らせているのかとか、そういうことにすら気持ちが回らないほど、結葉はそればかりに気を取られていた。
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