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07.将を射んと欲すれば/written by 鷹槻れん
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わー、神木くん、のほほんとしてるかと思ったら、案外鋭いところもあるのね。
えっちゃんのこと、悦子ちゃんって呼んでしまったり、鈍いのかしら?って思えば、こういう鋭さもたまに見せてくるから、人って本当に油断ならないって思ったの。
「その……久遠寺くん絡みだから……できたら……その……」
ああ、なんでここでモジモジしちゃうの、私!
これじゃあまるで、私が久遠寺くんに気があるみたいじゃないっ。
「あー、そういうことか。うん、分かった! ちっちゃい仲間として一肌脱ぐよ」
ああ、このキラキラした目。
絶対勘違いされてる……。
「えっ……」
ちゃんのことなんだけど、って続けようとしたら、久遠寺くんがこっちに向かってくるのが見えて、慌てて口を閉ざす。
「2人ともこんなところで何してるの?」
真っ直ぐこちらに向かってきた久遠寺くんからそう声をかけられて、神木くんにそれ以上言えなくなってしまった。
「くっ、……」
久遠寺くん。
どうしたらいいのか分からなくなって、久遠寺くんの名前さえも最後まで呼べなくて、ドギマギしてしまう。
それがまた、神木くんを勘違いさせてしまいそうな行動に思えて。
あーん、何やってるの、私っ!
「えっと……次も一緒だったよね?」
にこっと微笑まれて、久遠寺くんに優しく教室へ促された私は、「あ、うん」と小さくうなずくしか出来なくて。
神木くん、お願い。あとでちゃんと話の続きを聞いて?
思いながら久遠寺くんに見えないようにふと斜め後方の神木くんに視線を転じたら、神木くんってば「頑張れ!」って言うみたいにばちっとウィンクしてくるの。
あーん、絶対これ、私が久遠寺くんに気があるって勘違いしてるっ!
「春川さん?」
私のソワソワした様子に、久遠寺くんが気遣わし気に声をかけてくれて。
私はそれ以上久遠寺くんに心配かけられないって思ったの。
あー、これ。やっぱり神木くんを通さずに久遠寺くんに直接話した方がよかったんじゃないの?
ふと思ったけれど、だったらどう声をかけたらいいの?ってなって。
結局講義の間中、どうすべきか思い悩んでしまった私は、教授の話が半分も頭に入ってこなかった。
こんなことじゃダメだ。
特待生として色々優遇していただいている手前、成績を落とすわけにはいかないのに。
***
結局あれから1週間。
神木くんが1人になってくれる機会が得られないままに、時間だけが過ぎてしまった。
神木くんと連絡先を交換しているわけではないので、メールや電話でどうこうすることも出来なくて。
チラチラと窺い見るけれど、神木くんってばいつも久遠寺くんと一緒にいるんだもん。
しかも久遠寺くんが1人だ!って思ってキョロキョロしたら、この前みたいに妙にさまになるウィンクをしてきていなくなっちゃうの。
もぉ!
鈍感と勘違いもここまでくるといっそ清々しいくらいね。
私、結局久遠寺くんと2人きりになれるチャンスには恵まれてしまっているけれど、神木くんとは無理で。
そんな矢先――。
えっちゃんのこと、悦子ちゃんって呼んでしまったり、鈍いのかしら?って思えば、こういう鋭さもたまに見せてくるから、人って本当に油断ならないって思ったの。
「その……久遠寺くん絡みだから……できたら……その……」
ああ、なんでここでモジモジしちゃうの、私!
これじゃあまるで、私が久遠寺くんに気があるみたいじゃないっ。
「あー、そういうことか。うん、分かった! ちっちゃい仲間として一肌脱ぐよ」
ああ、このキラキラした目。
絶対勘違いされてる……。
「えっ……」
ちゃんのことなんだけど、って続けようとしたら、久遠寺くんがこっちに向かってくるのが見えて、慌てて口を閉ざす。
「2人ともこんなところで何してるの?」
真っ直ぐこちらに向かってきた久遠寺くんからそう声をかけられて、神木くんにそれ以上言えなくなってしまった。
「くっ、……」
久遠寺くん。
どうしたらいいのか分からなくなって、久遠寺くんの名前さえも最後まで呼べなくて、ドギマギしてしまう。
それがまた、神木くんを勘違いさせてしまいそうな行動に思えて。
あーん、何やってるの、私っ!
「えっと……次も一緒だったよね?」
にこっと微笑まれて、久遠寺くんに優しく教室へ促された私は、「あ、うん」と小さくうなずくしか出来なくて。
神木くん、お願い。あとでちゃんと話の続きを聞いて?
思いながら久遠寺くんに見えないようにふと斜め後方の神木くんに視線を転じたら、神木くんってば「頑張れ!」って言うみたいにばちっとウィンクしてくるの。
あーん、絶対これ、私が久遠寺くんに気があるって勘違いしてるっ!
「春川さん?」
私のソワソワした様子に、久遠寺くんが気遣わし気に声をかけてくれて。
私はそれ以上久遠寺くんに心配かけられないって思ったの。
あー、これ。やっぱり神木くんを通さずに久遠寺くんに直接話した方がよかったんじゃないの?
ふと思ったけれど、だったらどう声をかけたらいいの?ってなって。
結局講義の間中、どうすべきか思い悩んでしまった私は、教授の話が半分も頭に入ってこなかった。
こんなことじゃダメだ。
特待生として色々優遇していただいている手前、成績を落とすわけにはいかないのに。
***
結局あれから1週間。
神木くんが1人になってくれる機会が得られないままに、時間だけが過ぎてしまった。
神木くんと連絡先を交換しているわけではないので、メールや電話でどうこうすることも出来なくて。
チラチラと窺い見るけれど、神木くんってばいつも久遠寺くんと一緒にいるんだもん。
しかも久遠寺くんが1人だ!って思ってキョロキョロしたら、この前みたいに妙にさまになるウィンクをしてきていなくなっちゃうの。
もぉ!
鈍感と勘違いもここまでくるといっそ清々しいくらいね。
私、結局久遠寺くんと2人きりになれるチャンスには恵まれてしまっているけれど、神木くんとは無理で。
そんな矢先――。
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