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07.将を射んと欲すれば/written by 鷹槻れん
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【Side:春川萌々】
えっちゃんから久遠寺くんのことが気になっているかも?的な話をされて以来、私はどうしても2人のことを意識してしまってて。
私自身そんなに久遠寺くんと親しいわけじゃないけれど、やはり同じ高校に通っていたよしみというのはゼロではないわけで……。
今朝みたいに向こうから話しかけてくれたりして驚かされることも、思い出してみたら1度や2度じゃなかったの。
私が思っている以上に久遠寺くんは私のこと友人認定してくれているのかも?
そんな風に自惚れてみてもいいかな?と思いたいのは、やはり大好きなえっちゃんの役に立ちたいから。
私にできること、ないかな。
えっちゃんは久遠寺くんとの間に橋渡しを頼めたらって言っていた。
私にそんな大役、務まるかな。
でも……やらないで諦めるのは私の性分じゃない。
そんなことを思っていたら、我知らずやたらチラチラと久遠寺くんを見てしまっていたみたい。
何度か久遠寺くんと目が合っちゃって、慌てて逸らしたり、誤魔化すように愛想笑いを浮かべて会釈してから居た堪れなさに視線を背けたり。
さすがに久遠寺くんに気持ち悪いって思われてそう……。
それにこんなあからさまにしてたら「久遠寺くんファン」の子達に吊し上げられかねない。
えっちゃんに橋渡しをするどころか、こんなことじゃ私自身が久遠寺くんから避けられちゃうよ。
そんなことを思って頭を抱えていたら、ふと神木くんが視界に入った。
そうだ、神木くんなら。
彼なら久遠寺くんとも仲がいいし、人懐っこい性格な上に私のことを低身長仲間とか呼んで同類意識を持ってくれているものね。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、だわ。
久遠寺くんが神木くんの将かどうかはこの際置いておくとして。
***
「神木くん、ちょっと……」
えっちゃんとは別講義。久遠寺くんと神木くんとは同じ講義を取っているものがあって。
私はその時に神木くんが久遠寺くんのそばを離れる機会が訪れるのをずっと窺っていたの。
トイレ帰りかな。
ひとりで歩いてくる神木くんを見つけた私は、廊下の片隅、ぽこんと出っ張っている柱の陰から神木くんの名を呼んでちょいちょいと手招きをした。
「あ、萌々ちゃん」
私を見つけるなりにっこり微笑む神木くんのその毒気のない雰囲気に、私は思わず怯みそうになってしまった。
私、彼のこと利用しようとしてるんだけどな。
いいのかな。
思ったけれど、えっちゃんのためだもん。悪役にだってなるわ。
「あのね、ちょっと相談があって」
言ったら、「ゆづには聞かれたくない話?」って即座に言われた。
えっちゃんから久遠寺くんのことが気になっているかも?的な話をされて以来、私はどうしても2人のことを意識してしまってて。
私自身そんなに久遠寺くんと親しいわけじゃないけれど、やはり同じ高校に通っていたよしみというのはゼロではないわけで……。
今朝みたいに向こうから話しかけてくれたりして驚かされることも、思い出してみたら1度や2度じゃなかったの。
私が思っている以上に久遠寺くんは私のこと友人認定してくれているのかも?
そんな風に自惚れてみてもいいかな?と思いたいのは、やはり大好きなえっちゃんの役に立ちたいから。
私にできること、ないかな。
えっちゃんは久遠寺くんとの間に橋渡しを頼めたらって言っていた。
私にそんな大役、務まるかな。
でも……やらないで諦めるのは私の性分じゃない。
そんなことを思っていたら、我知らずやたらチラチラと久遠寺くんを見てしまっていたみたい。
何度か久遠寺くんと目が合っちゃって、慌てて逸らしたり、誤魔化すように愛想笑いを浮かべて会釈してから居た堪れなさに視線を背けたり。
さすがに久遠寺くんに気持ち悪いって思われてそう……。
それにこんなあからさまにしてたら「久遠寺くんファン」の子達に吊し上げられかねない。
えっちゃんに橋渡しをするどころか、こんなことじゃ私自身が久遠寺くんから避けられちゃうよ。
そんなことを思って頭を抱えていたら、ふと神木くんが視界に入った。
そうだ、神木くんなら。
彼なら久遠寺くんとも仲がいいし、人懐っこい性格な上に私のことを低身長仲間とか呼んで同類意識を持ってくれているものね。
将を射んと欲すれば先ず馬を射よ、だわ。
久遠寺くんが神木くんの将かどうかはこの際置いておくとして。
***
「神木くん、ちょっと……」
えっちゃんとは別講義。久遠寺くんと神木くんとは同じ講義を取っているものがあって。
私はその時に神木くんが久遠寺くんのそばを離れる機会が訪れるのをずっと窺っていたの。
トイレ帰りかな。
ひとりで歩いてくる神木くんを見つけた私は、廊下の片隅、ぽこんと出っ張っている柱の陰から神木くんの名を呼んでちょいちょいと手招きをした。
「あ、萌々ちゃん」
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私、彼のこと利用しようとしてるんだけどな。
いいのかな。
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「あのね、ちょっと相談があって」
言ったら、「ゆづには聞かれたくない話?」って即座に言われた。
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