47 / 55
17.彼の恋愛対象は/written by 鷹槻れん
1
しおりを挟む
【Side:春川萌々】
隆ちゃんが見知らぬ男性?と腕を組んでいるように見えるのは……気のせい?
隆ちゃんに、まるで恋人のように寄り添うその人は、身長こそ隆ちゃんより10センチばかり低く見える。けれど、隆ちゃん自身が190センチ近い高身長だから、連れ立っているその人もかなり背が高い方……だと思う。
私の呼びかけに、隆ちゃんと一緒にこちらを向いたその人の顔を見て、私の頭は混乱した。
中性的な顔立ち――。
雰囲気だけで男性だと勝手に思ったけど、もしかして女性?
モデルさんなんかだったら180センチ近い女性なんて普通にいるのかもしれないし、背の高さからだけで男性だと決めつけるのは早計かもしれない。
少し癖のある長めの髪の毛が、余計にその人の性別を曖昧にぼかして。
私は半ば反射的に隆ちゃんに呼びかけてみたものの、だからと言ってその後どう続けたらいいのか分からなくてぼんやりと立ち尽くす。
「……知り合い?」
ややして最初に口を開いたのは、隆ちゃんにベッタリと腕を絡めたその人だった。
発せられたその声はいわゆるハスキーボイス……。男性にしては高め、女性にしては低めといった印象で、男女の区別が付きにくい。
男性だと言われればそう思えるし、女性だと言われてもそうなんだ、って納得してしまいそうな、そんな声音。
あからさまではないけれど、私に敵意を持っているような剣呑さを、その人が纏うオーラから感じた私は、理由もなく少したじろいでしまう。
「ああ、近所の……。一応幼馴染み?」
隆ちゃんがまるで何でもないことみたいにそう答えて。
私はひとり、変に意識してドギマギしている自分が恥ずかしくなった。
そうして隆ちゃんの言葉から、私が彼にとってそれ以上でも以下でもないのだと痛感させられて、にわかに鼻の奥がツンとして悲しくなる。
同時に、少しは女の子として意識して欲しい、させたい、とも思ってしまって。
それで、かな。
聞かなきゃいいのに思わず問い詰めるみたいに言葉を発してしまっていた。
隆ちゃんが見知らぬ男性?と腕を組んでいるように見えるのは……気のせい?
隆ちゃんに、まるで恋人のように寄り添うその人は、身長こそ隆ちゃんより10センチばかり低く見える。けれど、隆ちゃん自身が190センチ近い高身長だから、連れ立っているその人もかなり背が高い方……だと思う。
私の呼びかけに、隆ちゃんと一緒にこちらを向いたその人の顔を見て、私の頭は混乱した。
中性的な顔立ち――。
雰囲気だけで男性だと勝手に思ったけど、もしかして女性?
モデルさんなんかだったら180センチ近い女性なんて普通にいるのかもしれないし、背の高さからだけで男性だと決めつけるのは早計かもしれない。
少し癖のある長めの髪の毛が、余計にその人の性別を曖昧にぼかして。
私は半ば反射的に隆ちゃんに呼びかけてみたものの、だからと言ってその後どう続けたらいいのか分からなくてぼんやりと立ち尽くす。
「……知り合い?」
ややして最初に口を開いたのは、隆ちゃんにベッタリと腕を絡めたその人だった。
発せられたその声はいわゆるハスキーボイス……。男性にしては高め、女性にしては低めといった印象で、男女の区別が付きにくい。
男性だと言われればそう思えるし、女性だと言われてもそうなんだ、って納得してしまいそうな、そんな声音。
あからさまではないけれど、私に敵意を持っているような剣呑さを、その人が纏うオーラから感じた私は、理由もなく少したじろいでしまう。
「ああ、近所の……。一応幼馴染み?」
隆ちゃんがまるで何でもないことみたいにそう答えて。
私はひとり、変に意識してドギマギしている自分が恥ずかしくなった。
そうして隆ちゃんの言葉から、私が彼にとってそれ以上でも以下でもないのだと痛感させられて、にわかに鼻の奥がツンとして悲しくなる。
同時に、少しは女の子として意識して欲しい、させたい、とも思ってしまって。
それで、かな。
聞かなきゃいいのに思わず問い詰めるみたいに言葉を発してしまっていた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる