スキかキライかしかえらべません!

鷹槻れん

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17.彼の恋愛対象は/written by 鷹槻れん

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【Side:春川萌々】


 りゅうちゃんが見知らぬ男性?と腕を組んでいるように見えるのは……気のせい?

 隆ちゃんに、まるで恋人のように寄り添うその人は、身長こそ隆ちゃんより10センチばかり低く見える。けれど、隆ちゃん自身が190センチ近い高身長だから、連れ立っているその人もかなり背が高い方……だと思う。

 私の呼びかけに、隆ちゃんと一緒にこちらを向いたその人の顔を見て、私の頭は混乱した。

 中性的な顔立ち――。

 雰囲気だけで男性だと勝手に思ったけど、もしかして女性?

 モデルさんなんかだったら180センチ近い女性なんて普通にいるのかもしれないし、背の高さからだけで男性だと決めつけるのは早計かもしれない。

 少し癖のある長めの髪の毛が、余計にその人の性別を曖昧にぼかして。


 私は半ば反射的に隆ちゃんに呼びかけてみたものの、だからと言ってその後どう続けたらいいのか分からなくてぼんやりと立ち尽くす。


「……知り合い?」

 ややして最初に口を開いたのは、隆ちゃんにベッタリと腕を絡めたその人だった。

 発せられたその声はいわゆるハスキーボイス……。男性にしては高め、女性にしては低めといった印象で、男女の区別が付きにくい。

 男性だと言われればそう思えるし、女性だと言われてもそうなんだ、って納得してしまいそうな、そんな声音。

 あからさまではないけれど、私に敵意を持っているような剣呑けんのんさを、その人がまとうオーラから感じた私は、理由わけもなく少したじろいでしまう。


「ああ、近所の……。一応幼馴染み?」

 りゅうちゃんがまるで何でもないことみたいにそう答えて。

 私はひとり、変に意識してドギマギしている自分が恥ずかしくなった。

 そうして隆ちゃんの言葉から、私が彼にとってそれ以上でも以下でもないのだと痛感させられて、にわかに鼻の奥がツンとして悲しくなる。

 同時に、少しは女の子として意識して欲しい、させたい、とも思ってしまって。

 それで、かな。
 聞かなきゃいいのに思わず問い詰めるみたいに言葉を発してしまっていた。
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