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17.彼の恋愛対象は/written by 鷹槻れん
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「あ、あの……、隆ちゃん、その人は……」
そこまで言ってはみたものの、「隆ちゃんにとってどんな存在なの?」って言葉を継げないままに2人に視線を投げかけたら、その人がギュッと隆ちゃんにしがみついた。
それはどう見ても情を交わした相手への雰囲気で。
途端、心臓をわしづかみされたみたいに胸が苦しくなってしまう。
私、小さい頃から隆ちゃんのことだけを見てきたけど……あんな恋人みたいな絡み方、したことないし、多分したら跳ね除けられる……。
許してもらえない。
嫉妬心にかられるまま、見上げるように隆ちゃんにしがみ付いたその人を見詰めたら、自然と首筋に目がいって。
喉……仏……?
その一見華奢に見える首筋に、その人が〝男性〟であることを象徴する喉仏と……。
「――っ!」
ほんのり見える赤みがさしたような微かな鬱血の跡を見付けて、私は真っ赤になる。
あれって……キス……マーク……!?
違うかもしれない。
ただの虫刺されか何かかも。
そう思いたいのに。
思わせて欲しかったのにっ。
動揺に戸惑う瞳で縋るように見上げた隆ちゃんが、平然と私を見つめ返してきて。
その、「なんでお前そんなに慌ててんの?」みたいな表情に、私は絶望的な気持ちになる。
それは結局、隆ちゃんにとっては男性と恋人同士のように振る舞うことは、全然後ろめたいことや隠さないといけないようなことじゃなくて……ある意味日常の一部なんだと気付かされるには十分だったから。
ましてやそれを何とも思っていないただの幼馴染みに過ぎない私相手に取り繕う必要なんてないんだと思い知らされて。
それと同時、隆ちゃんのそばに立つ彼の首元のあの赤いアザはキスマークに違いなくて、それを彼に付けたのは、他ならぬ隆ちゃんなんだ、って痛感させられる。
「ご、めんなさっ。私、急いでるんだった!」
それに気付いた瞬間、居た堪れない気持ちになって、私、一刻も早くここから立ち去りたいって思ってしまったの。
だって……そうしないと、良く分からない感情に押し流されて、今にも涙がこぼれ落ちてしまいそうなんだもの――!
そこまで言ってはみたものの、「隆ちゃんにとってどんな存在なの?」って言葉を継げないままに2人に視線を投げかけたら、その人がギュッと隆ちゃんにしがみついた。
それはどう見ても情を交わした相手への雰囲気で。
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私、小さい頃から隆ちゃんのことだけを見てきたけど……あんな恋人みたいな絡み方、したことないし、多分したら跳ね除けられる……。
許してもらえない。
嫉妬心にかられるまま、見上げるように隆ちゃんにしがみ付いたその人を見詰めたら、自然と首筋に目がいって。
喉……仏……?
その一見華奢に見える首筋に、その人が〝男性〟であることを象徴する喉仏と……。
「――っ!」
ほんのり見える赤みがさしたような微かな鬱血の跡を見付けて、私は真っ赤になる。
あれって……キス……マーク……!?
違うかもしれない。
ただの虫刺されか何かかも。
そう思いたいのに。
思わせて欲しかったのにっ。
動揺に戸惑う瞳で縋るように見上げた隆ちゃんが、平然と私を見つめ返してきて。
その、「なんでお前そんなに慌ててんの?」みたいな表情に、私は絶望的な気持ちになる。
それは結局、隆ちゃんにとっては男性と恋人同士のように振る舞うことは、全然後ろめたいことや隠さないといけないようなことじゃなくて……ある意味日常の一部なんだと気付かされるには十分だったから。
ましてやそれを何とも思っていないただの幼馴染みに過ぎない私相手に取り繕う必要なんてないんだと思い知らされて。
それと同時、隆ちゃんのそばに立つ彼の首元のあの赤いアザはキスマークに違いなくて、それを彼に付けたのは、他ならぬ隆ちゃんなんだ、って痛感させられる。
「ご、めんなさっ。私、急いでるんだった!」
それに気付いた瞬間、居た堪れない気持ちになって、私、一刻も早くここから立ち去りたいって思ってしまったの。
だって……そうしないと、良く分からない感情に押し流されて、今にも涙がこぼれ落ちてしまいそうなんだもの――!
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