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4.賄賂を渡されました

要件だけここで

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「じゃ、じゃあ、何……です、か?」

 気持ちを切り替えるようにそう言ったところで、エレベーターが1階に着いて、一瞬だけふわっとした浮遊感がしてから扉が開く。

 まだ話が終わっていないけど、降りてもいいのかな?
 そう思って迷っていたら「降りないんですか?」とうながされた。

「お、降りますっ」

 ソワソワしながら箱を降りると、織田おりた課長も当然のように降りていらして。


 私、あとはポツポツと街灯に照らされた道を、会社が用意してくれている駐車場まで5分ぐらい歩くだけ。

 まだ帰るつもりはないと言った織田おりた課長なのに、一体どこまでついていらっしゃる気なのかしら?
 帰宅予定じゃないのなら、離れた駐車場まで来ていただくのは申し訳ない。

 植え込みの横を歩き始めた私の背後を、当然のようについて来る織田おりた課長に、私はどうにも落ち着かない心持ちになる。

 さっきの用事がまだ明かされていないし、緊張の余りそれが切り出されるのを待たずに歩き始めてしまったのがいけなかったのかな。


「あ、あの……織田おりた課長」

 仕方なく立ち止まって作業服姿の彼を見上げたら、「車まで見送って、そこで話すことにします。もう暗いし人気ひとけもないですからね。女性を1人で歩かせるのは危ないでしょう?」とか。

 こんなに暗くなるまで残業させてしまったことに、少なからず罪悪感を覚えておられるのかしら?

 そうは思ったものの、仕事が終わったのに織田おりた課長と一緒とかすごく緊張しますし、できれば私、今すぐお話をうかがってひとりになりたいのですがっ?

「あ、えっと、わ、私、ひとりでも全然大丈夫なのでっ。よ、用件だけここで」

 ソワソワと織田おりた課長を見上げなから何とか角が立たない言葉を模索してしどろもどにそう言ったら、「本当に大丈夫だと思ってるとしたら、キミは大馬鹿者だね」って言われて。

 大馬鹿者とかさすがにパワハラですよねっ?
 仕事時間も過ぎているし、こんなことを言われて我慢する必要ないんじゃ?と思ってしまった。
 それで、「ひどいです!」と力強く反論してキッと睨んだら、いきなり腕を掴まれた。

「ちょっ、な――」
 ……んのつもりですか!?
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