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5.神様は今日も塩対応みたいです

休日の朝

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 翌日――土曜日の10時前。

 慣れない社会人としての1週間が慌ただしく過ぎ去って、やっと迎えた週末。

 私の勤め先の会社では毎月第1、第3、あれば第5土曜日は出勤日、第2、第4土曜日は休日と定められている。

 今週は幸いにして第2土曜日でお休みで。
 私は久々の惰眠だみんむさぼって、つい今しがた目を覚ましたばかり。


 昨夜は結局コンビニで小さなおにぎり弁当を買って食べただけ。

 週末だしお酒とか飲んじゃおうかな?なんて浮き足立っていた気分は、帰り際の織田おりた課長とのアレコレで、すっかり吹き飛んでしまっていた。

 結局ギフトカードを渡された後も、当然のように織田おりた課長に駐車場までついて来られて。
 挙げ句、車に乗り込むところまでしっかりと確認されてしまった。

 エンジンをかける手が震えたのは、教習所で初めて公道に出るぞ、って日以来だったかも知れない。


 でも飲酒しなかったお陰かな。

 スッキリとした目覚めと同時にお腹が鳴って、何か食べたいって思ったのは。

 なのに。

 忙しさにかまけて買い物をサボっていたら、冷蔵庫の中――ニンニクやワサビ、おろし生姜しょうがといったチューブ入りの薬味類と、マヨネーズとミネラルウォーターしか入ってないという悲惨な状態になっていた。

 実家のお母さんに知られたら確実に連れ戻されちゃうやつ!

 おまけに棚をあさってみたけれど、買い置きのカップ麺もなければ、パンも切らしているとか。


 疲れの余り流しに置いたままにしてしまっていた、お弁当の空容器が目について虚しさがいや増す。


 いくら疲れていた……上にハプニングがあったとは言え、コンビニに立ち寄ったときに今朝の食料にも気が回っていたら、こんなざわついた気持ちにならなくても済んだのに。

 まさかどこかのマヨ好きみたいにマヨネーズボトルをくわえて「マヨちゅちゅ」なんて吸い飲みするわけにもいかないし……。

 はぁ。
 面倒だけど……出かける、かなぁ。

 最寄りのコンビニまでは徒歩10分。

 でもちょっと気合いを入れて車で15分走ったら、会社近くのあの喫茶店『Red Roof』がある。

 確か昨夕、織田おりた課長がそこのモーニングを勧めていらしたっけ。

 ここは大学生の頃から住んでいる町なので、アパートもそのまま継続で住み続けていて、ほぼ生活圏が変わっていない。


「あっ」

 そこで帰り際に着信があったことを思い出してスマホを取り出すと、案の定不動産屋さんで。

「やっぱり……」

 先日から、何度か不動産屋さんからの着信が入っていたのを、忙しさにかまけて折り返さず仕舞いになっていた。

 さすがに何度も繰り返される着信履歴を見る限り、何か用がありそうなのは明確で。

 すぐに折り返したいところだけど、くだんの不動産屋さんは夜遅くまでやっている代わりに始業が遅め。
 確か11時からの営業だった。

 時計を見るとあと1時間近くある。


 今日こそは、ご飯を食べて一息ついたら、ちゃんと忘れずに折り返そう。

 そう思って、用心のためスマートフォンに「正午不動産屋さんに電話」とリマインダーをかけた。

 これでよし。

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