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12.条件、ご存知ですよね?

別に咎めているわけじゃありません

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「ごめ、なさっ。使っちゃダメと思わな、くてっ」

 気分屋の私は、基本的に色んな銘柄のシャンプーをあれこれ試してみたい派。
 いま自宅では椿オイル配合の〝自宅でもサロンの仕上がり〟をキャッチコピーにしたシャンプーとコンディショナーの小さめボトルを愛用している。

 対して宗親むねちかさんのお家にあったのは、それとは別の〝うっとり甘く恋が咲く〟とCMで謳われていたパール成分配合のもので。
 考えてみたら男性が選ぶには乙女チック過ぎる気がして。今更だけど、あれはもしかして妹さん用だったのかも?と思い至った。

 私も好きな銘柄のシャンプーだったし、何よりコンビニでは(最初から織田家おりたけのをお借りする気満々で)シャンプーやコンディショナーやボディソープまでは買わなかったから。

 トランクスとか買っちゃったし、と遠慮したのだけれど、遠慮すべき方向性を間違えたのかも知れない。

(よく考えたらちゃんと使ってもいいか確認してからにすべきだったよね)

 お風呂に入るとき、中のものは自由に使っていいって言われたけれど、「自由」にも実は制限があったんだ、きっと。

 髪の毛を握られたままなことに不安を募らせながら、もう一度「ごめんなさい……」と謝ったら、

「別にとがめているわけじゃありませんよ? ただ――」

 そこでやっと髪の毛を離してくれてホッとしたと同時、返す手で頬の輪郭をやんわりと撫でられた。

「女の子が使うと、使い慣れたシャンプーがまるで違うものみたいにいい香りに変わるものなんだなと感心しました」

 言われて「……え?」とつぶやいたら、まるでその時を待っていたみたいに唇を塞がれる。

「……ゃ、んんっ」

 さっきされた時は、軽く唇が触れ合うだけだったから、私、今回もきっと揶揄からかうつもりでのそんなのに決まってるとたかをくくっていたの。

 なのに――。

 上唇をスルリと舌先で撫でられて、くすぐったさに力が緩んだと同時、口の中に舌が差し込まれてきた。

「あ、……ぃヤっ」

 咄嗟に、身体のすぐ横に付かれた宗親むねちかさんの腕に触れて、抗議の意思を伝えるようにペシペシ叩く。

 なのにまるでそれを制するみたいにぬるりと口蓋こうがいを舐められた私は、そこから這い昇ってきた快感にビクンッと身体を震わせた。
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