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1章
3。野良猫に助けを求めました
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「対象外って、オマエなぁ……」
「初対面で随分なこと言ってくれますね?」
お兄さんズが不機嫌そうに目を細める。
「困ってそうなの見かねて声掛けてやってる親切な猫に向かって、使っていい言葉じゃねぇだろー」
「ーーっ!すみません!」
今のは私が悪かったです。ゴメンなさい。
ついうっかり心の声が漏れちゃったんです。
本音ではあるけど、もっとオブラートに包むべきでした!
……というか、猫って設定は譲れないんだ?
ならもう猫扱いでいいのかな?なんたって本人達がそう言うのだから。
さっき耳が動いていた気もするけど、あれはどういう仕組みなんだろう。ワイヤーでも仕込んである?
瞳孔の形まで猫そっくり。こっちはカラコンかしら。
そもそものチョイスや組み合わせの悪さは置いといて、クオリティーは最高だわー。
「さっきのはその、言葉のアヤって言うか……猫は大好きです」
「じゃあなんでアンタ逃げようとしてるんですか?」
「逃げてません。気のせいです」
適切な距離を保とうとしているだけだ。
目線を合わせてくれるのは良いとしても、近過ぎる。手を伸ばしたらつかめる距離。
パーソナルスペースってやつかしら。こんなに近いと落ち着かないのだ。
「ーーはぁ。まあいいです。それで、ここで何をしているんですか」
「そーそー。なんか困ってんじゃないの?」
「……え?」
あれ、これは本当に気にかけてくれたのかな?
ひょっとして助けてもらえるチャンス?
いい歳して迷子だなんて言うのは恥ずかしいけれど、ここはさっさとカミングアウトして道を聞いてみよう。
「あ、あのですね……ちょっと道に迷ってしまったみたいでして」
「なんだ、やっぱり困ってんじゃん」
……人が話している途中に遮っちゃいけないって、子供の頃に習ってないのかしら。
指摘すると盛大にブーメランになりそうだから、ここは黙っておくけど。
「うっかり森に入ってしまって、帰り道が分からなくなったのですが」
「……うっかり?」
青猫さんが呆れた目でツっこんでくる。
うん、そうよね。
自分でも、ないわーと思う。
思うけど、とりあえず最後まで状況と要望を伝えさせて欲しい。
「それで元々居たコテージに戻るか、無理なら近くの街に行きたいので、ご存じなら道を教えていただけないでしょうか」
コテージに戻れるのが一番良い。けれど、それなりにここからは遠いかもしれない。
とりあえず街まで出れば、姉に連絡くらいは取れるだろう。
「街なら、森の周りにいくつかありますけど」
「一番近いところで良いんです。それか、お二人が家に戻られる時に、ついでに街まで連れて行ってもらえないでしょうか」
「オレ達、野良なんだよね」
あー……ノラ猫設定ですか。そうですか。
気にしたら負けだ。つっこんじゃいけない。
とにかく先に話を進めないと。
「あ、ならこの近くの湖から見て、西にある街でお願いできませんか」
コテージから一番近い街は、森の中の湖から西に数kmのところにあるらしい。
ドライブ中の教授の雑談、ちゃんと聞いておいて良かった。昨日の私グッジョブ。
「?……ニシ?」
「ニシって、なんですか?」
ーーマジですか。
これも猫だからって設定?
猫に東西南北なんて分からないって、そういうこと?
「太陽が沈む方角です!」
実際には季節によって多少ズレるが、今の時期なら日の入りはほぼ真西だ。
「それなら城の方ですね」
「だな。今日はどっちだっけ?」
……ん?今日は?
「初対面で随分なこと言ってくれますね?」
お兄さんズが不機嫌そうに目を細める。
「困ってそうなの見かねて声掛けてやってる親切な猫に向かって、使っていい言葉じゃねぇだろー」
「ーーっ!すみません!」
今のは私が悪かったです。ゴメンなさい。
ついうっかり心の声が漏れちゃったんです。
本音ではあるけど、もっとオブラートに包むべきでした!
……というか、猫って設定は譲れないんだ?
ならもう猫扱いでいいのかな?なんたって本人達がそう言うのだから。
さっき耳が動いていた気もするけど、あれはどういう仕組みなんだろう。ワイヤーでも仕込んである?
瞳孔の形まで猫そっくり。こっちはカラコンかしら。
そもそものチョイスや組み合わせの悪さは置いといて、クオリティーは最高だわー。
「さっきのはその、言葉のアヤって言うか……猫は大好きです」
「じゃあなんでアンタ逃げようとしてるんですか?」
「逃げてません。気のせいです」
適切な距離を保とうとしているだけだ。
目線を合わせてくれるのは良いとしても、近過ぎる。手を伸ばしたらつかめる距離。
パーソナルスペースってやつかしら。こんなに近いと落ち着かないのだ。
「ーーはぁ。まあいいです。それで、ここで何をしているんですか」
「そーそー。なんか困ってんじゃないの?」
「……え?」
あれ、これは本当に気にかけてくれたのかな?
ひょっとして助けてもらえるチャンス?
いい歳して迷子だなんて言うのは恥ずかしいけれど、ここはさっさとカミングアウトして道を聞いてみよう。
「あ、あのですね……ちょっと道に迷ってしまったみたいでして」
「なんだ、やっぱり困ってんじゃん」
……人が話している途中に遮っちゃいけないって、子供の頃に習ってないのかしら。
指摘すると盛大にブーメランになりそうだから、ここは黙っておくけど。
「うっかり森に入ってしまって、帰り道が分からなくなったのですが」
「……うっかり?」
青猫さんが呆れた目でツっこんでくる。
うん、そうよね。
自分でも、ないわーと思う。
思うけど、とりあえず最後まで状況と要望を伝えさせて欲しい。
「それで元々居たコテージに戻るか、無理なら近くの街に行きたいので、ご存じなら道を教えていただけないでしょうか」
コテージに戻れるのが一番良い。けれど、それなりにここからは遠いかもしれない。
とりあえず街まで出れば、姉に連絡くらいは取れるだろう。
「街なら、森の周りにいくつかありますけど」
「一番近いところで良いんです。それか、お二人が家に戻られる時に、ついでに街まで連れて行ってもらえないでしょうか」
「オレ達、野良なんだよね」
あー……ノラ猫設定ですか。そうですか。
気にしたら負けだ。つっこんじゃいけない。
とにかく先に話を進めないと。
「あ、ならこの近くの湖から見て、西にある街でお願いできませんか」
コテージから一番近い街は、森の中の湖から西に数kmのところにあるらしい。
ドライブ中の教授の雑談、ちゃんと聞いておいて良かった。昨日の私グッジョブ。
「?……ニシ?」
「ニシって、なんですか?」
ーーマジですか。
これも猫だからって設定?
猫に東西南北なんて分からないって、そういうこと?
「太陽が沈む方角です!」
実際には季節によって多少ズレるが、今の時期なら日の入りはほぼ真西だ。
「それなら城の方ですね」
「だな。今日はどっちだっけ?」
……ん?今日は?
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