【本編完結】森で遭難しかけたら獣とおかしな人達に囲まれました 〜飼い猫が私を逃してくれません!〜

夕木アリス

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1章

32。お茶の準備をしましょう

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微笑ましい夫婦のやりとりにニヤけてしまう顔を隠しながら、マヤに断ってキッチンにお邪魔させてもらう。
目的はお茶を入れさせてもらうこと。


「ごめんなさいねぇ~。今からピザ生地を仕込むから、晩ご飯かなり遅くなっちゃうと思うの」

お腹空いちゃうだろうから、さっきのポップコーン食べながら待ってて!と言われたので、オヤツと一緒に出すお茶を準備しに来たのだ。

ティーポットにカップとソーサー、ポップコーンを入れる菓子鉢を借してもらう。

「茶葉は好きなの使ってくれて大丈夫よ!どれにしましょうか?」
マヤさんが沢山の缶が並んだ箱を持ってきて、選ばせてくれた。

ダージリン、アッサム、ディンブラ、ニルギリにシッキム、ハーブティーにチャイ、アールグレイ、ルイボス、カモミール、緑茶……。
家庭で飲むにはちょっと種類豊富すぎるくらい。マヤさんお茶も好きなのかしら。

ちらりと見ると「新しいのを見つけるとつい買っちゃうのよねぇ♪」といい笑顔で言われた。
なるほど、飲むのが好きというよりコレクションの対象ってことね。
道理でほとんど減っていないわけだ。未開封のものもチラホラある。


淹れるお茶はお菓子にあわせたいから、先に買ってきたポップコーンを味見してみる。
うん、キャラメルは安定の美味しさ。猫用の方はあっさり目のハーブソルトね。

キャラメル味のポップコーンにはアッサムのミルクティーが良いけど、ハーブソルトの方はすっきり目のストレートティーが良さそう。できればアイスで。

ミルクと氷も出してもらって、まずはアイスティーから。ハーブティーの葉に、オマケでもらったハーブも一掴み混ぜてお湯を注ぐ。
ティーポットで紅茶を蒸らしている間にグラス2つにたっぷり氷を詰め、濃い目に入ったお茶を一気に注いだ。

ミルクティーの方はカップの底に先にミルクをいれておいて、別のティーポットにアッサムを準備。
こちらも少し濃い目に淹れて、お菓子が甘いからお砂糖は無しにした。

出来上がったお茶のカップとお菓子の鉢をトレイに並べて完成!うん、上出来だわ。
マヤさんがクッキーのお皿も追加してくれた。組み合わせはこの際気にせず、ありがたく貰っておく。

ただ、おかわり分のお茶が入ったティーポットやピッチャーなんかも載せたせいで、トレイが結構な重量物になってしまった。筋トレ用のウエイトにも使えそう、なんてティータイムにおよそ似合わない単語が浮かぶほど。ついでにバランス感覚も鍛えられそう。かなり運ぶのが大変かも。

何にせよ、他人様のお家でお茶をぶち撒けるなんて全力で回避しないとだわ……!
そんな余分なドジっ子属性はお呼びじゃないのである。

キャラなんて薄くて結構、普通が一番だもの。


トレイを慎重に持ち上げて、二階に上がる階段の方へ向かう。
リュウのおじ様がピザの生地を纏めながら、こちらを振り返った。

「アイツらは二階上がって一番奥の部屋に居るから」
「分かりました、ありがとうございます」

それにしてもおじ様の手元の生地がすごいことになっている……大きいボウル3つ分のピザ生地。これ、ピザ何枚分あるのだろう……。

思わず立ち止まって見ていたら、おじ様もこちらのトレーを覗いてきた。

「色んな匂いがすると思ったら、二種類淹れていたのか」

手際がいいんだな、と言われ、ちょっと照れてしまう。
お世辞かもだけど、さりげなく褒めてくれるおじ様素敵です。

「さっきポップコーン屋さんでハーブをおまけしていただいたんです。猫の好きなハーブって言われたので、それ使ってハーブティーも淹れてみました」

自分でも飲んでみたがスッキリ爽やかな味でとても美味しかった。暑い時期のアイスティーにはぴったりな感じ。

「……猫の好きなハーブ、か?それって……」
おじ様が難しい顔で何か言いかけたタイミングで、マヤさんから声が掛かる。

「ねえソフィアさん。早く持っていかないとお茶が苦くなってしまうわよ~?」
「!あ、そうですよね。急がないと!」

アイスティーとミルクティーだから、そんなすぐに苦くはならないけど。それでも出来立てが一番美味しいものね。

「おじ様、お話の途中でごめんなさい。私、そろそろ上に行きますね!」

これ以上モタモタしていたら、さっきのトレイごとお茶ぶち撒けフラグの回収ってことになりかねない。
ピザ楽しみにしてますね!と言い残して、階段を上る。

折角だから美味しく飲んでほしい。二人とも元気がなかったから、これで少しでも気分が良くなってくれるといいな。
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