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3章
16。内緒の話があるようです
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ーー結局、昨日のマゼンタは何を言ってたんだろう?
城の廊下をメイドさんについて歩きながら、手元のカゴに入ったチョコレートの箱を見てそんな事を思い出す。
選ぶとか、選ばないとか。
どういう対象として選ぶという話なのかの説明もないのに、そんな事を言われても戸惑いしかない。
正直あの後のことはボンヤリとしか覚えていなくて、気づいたら大漁のお菓子を持って自分の部屋に戻っていた。
マゼンタはあの後からずっと仕事らしく、顔を合わせていない。避けられているわけじゃないと思うのだけど……。
◇
今日はエリザのお茶会に呼ばれていたので、シアンに付き添ってもらってお城に来ていた。
シアンの居る前でクレイにチョコレートを渡すわけにはいかないので朝からどうしようか悩んでいたのだが、お茶会の間にその事を考えていると「なんじゃ、そのくらいわらわに任せておけば問題ないわ!」と事情を把握したエリザから助け舟が出された。
どうするのかとは思ったが、他にこれといって良い手も思いつかず。
ならお願いしますと心の中で頼んでおくと、お茶会の終了後にエリザがシアンを呼び止めた。
「そうじゃ猫、お主に耳寄りな情報を話してやろう」
「? 急に何ですか。僕はソフィーの付き添いで忙しいんですよ、アンタの話とか興味ないですね」
「……お主が以前ここの書庫番に訊いていた“帰らなかった話”でもか?」
それを聞いたシアンが猫耳をピクリ、と動かしてエリザの方を睨みつけた。
「……なんでその事をアンタが知っているんです?」
「むしろこの城の中で起きた事をわらわが知らんと思われている方が心外じゃな。わらわはここの主ぞ?」
ニンマリと笑いながら、そんな顔しとっても興味津々じゃろう? と畳み掛けるエリザ。……なんだかとっても楽しそうね。
「はあ……読心スキル持ちのチートな幼女はこれだから嫌いです」
「褒め言葉として受けとっておこうかの。それで? 聞かんのか?」
「ーー聞きますよ。本当に話してくれるならね」
「ふふ、そうこなくてはの? では、場所を変えるか。ついて来るが良い」
そう言って席を立って、エリザは部屋の外に足を向ける。
「全く……ソフィー、申し訳ありませんがしばらくここで待っていてもらえませんか? 僕は女王と話があるので」
「あ、なら一旦書庫に寄っても良いかしら? 本を借りたらここに戻るわ」
「ーー仕方ないですね。危険はないとは思いますが、一人では行動しないでくださいね」
必ずメイドなり騎士なり適当に人をつけてくださいと念押ししてから、シアンはエリザの後を追って部屋を出て行った。
さすがエリザだわ。あのシアンにああも簡単に言う事を聞かせるなんて凄すぎる。
ただーー“帰らなかった話”って、一体何のことだろう。気にはなるけど……。
でもシアンがわざわざ私を置いて自分一人で聞いてくると判断した話だもの。聞いてもきっと教えてくれないわね。
それよりも、今は書庫での用事を済ます方が優先だ。
私はエリザに心の中で感謝しつつ、メイドさんに付き添いを頼んで書庫に向かったのだった。
城の廊下をメイドさんについて歩きながら、手元のカゴに入ったチョコレートの箱を見てそんな事を思い出す。
選ぶとか、選ばないとか。
どういう対象として選ぶという話なのかの説明もないのに、そんな事を言われても戸惑いしかない。
正直あの後のことはボンヤリとしか覚えていなくて、気づいたら大漁のお菓子を持って自分の部屋に戻っていた。
マゼンタはあの後からずっと仕事らしく、顔を合わせていない。避けられているわけじゃないと思うのだけど……。
◇
今日はエリザのお茶会に呼ばれていたので、シアンに付き添ってもらってお城に来ていた。
シアンの居る前でクレイにチョコレートを渡すわけにはいかないので朝からどうしようか悩んでいたのだが、お茶会の間にその事を考えていると「なんじゃ、そのくらいわらわに任せておけば問題ないわ!」と事情を把握したエリザから助け舟が出された。
どうするのかとは思ったが、他にこれといって良い手も思いつかず。
ならお願いしますと心の中で頼んでおくと、お茶会の終了後にエリザがシアンを呼び止めた。
「そうじゃ猫、お主に耳寄りな情報を話してやろう」
「? 急に何ですか。僕はソフィーの付き添いで忙しいんですよ、アンタの話とか興味ないですね」
「……お主が以前ここの書庫番に訊いていた“帰らなかった話”でもか?」
それを聞いたシアンが猫耳をピクリ、と動かしてエリザの方を睨みつけた。
「……なんでその事をアンタが知っているんです?」
「むしろこの城の中で起きた事をわらわが知らんと思われている方が心外じゃな。わらわはここの主ぞ?」
ニンマリと笑いながら、そんな顔しとっても興味津々じゃろう? と畳み掛けるエリザ。……なんだかとっても楽しそうね。
「はあ……読心スキル持ちのチートな幼女はこれだから嫌いです」
「褒め言葉として受けとっておこうかの。それで? 聞かんのか?」
「ーー聞きますよ。本当に話してくれるならね」
「ふふ、そうこなくてはの? では、場所を変えるか。ついて来るが良い」
そう言って席を立って、エリザは部屋の外に足を向ける。
「全く……ソフィー、申し訳ありませんがしばらくここで待っていてもらえませんか? 僕は女王と話があるので」
「あ、なら一旦書庫に寄っても良いかしら? 本を借りたらここに戻るわ」
「ーー仕方ないですね。危険はないとは思いますが、一人では行動しないでくださいね」
必ずメイドなり騎士なり適当に人をつけてくださいと念押ししてから、シアンはエリザの後を追って部屋を出て行った。
さすがエリザだわ。あのシアンにああも簡単に言う事を聞かせるなんて凄すぎる。
ただーー“帰らなかった話”って、一体何のことだろう。気にはなるけど……。
でもシアンがわざわざ私を置いて自分一人で聞いてくると判断した話だもの。聞いてもきっと教えてくれないわね。
それよりも、今は書庫での用事を済ます方が優先だ。
私はエリザに心の中で感謝しつつ、メイドさんに付き添いを頼んで書庫に向かったのだった。
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