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4章
27。言わぬが花と言いますし?
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姉がいるならここは元の世界なのよね。
『危険な目に遭った迷い子は元の世界に帰る』という話が現実になった、ということだろうか。
ーーただ、まだ今この情景が夢という可能性も捨てきれない。
死を目前にした私の脳が作り出した幻覚っていう線もーー
「お姉ちゃーーうっ、グッ?!」
「ーー! ソフィー! 無理に動いちゃダメ!」
夢か現か確かめるため身体を起こしてもう一度姉に話しかけようとしたところで、胸に強烈な痛みが走って息が詰まった。
ーーなに、コレ?
「ソフィー、あなた今ね、肋骨に何箇所かヒビがはいっているの。だから、身体を動かしたり息を大きく吸い込むだけでも酷く痛むって……お願い、無理しないで」
「なん、で、そんな……」
ああ、うん……さすがにここまで痛いなら現実っぽい。嫌な確かめ方にはなったけど。
私は顔を顰めながら視線だけで周りを見渡してみた。
白いベッド、左腕に繋がれた点滴、胸に巻かれた固定具。
病室に居るのはすぐ分かった。
部屋の中にいるのは心配そうな顔の姉一人で、他は医者も看護師もーーシアンも、いない。
でも……こんな満身創痍になってはいるけど……生きているのね。
あの勢いで地面に落ちれば助かる見込みなんて無さそうなのに。
「落ち着いて聞いてね。私もその場にいたわけじゃないから詳しくは分からないのだけど……ソフィーは昨日、森の湖に落ちたところを見つけられたの」
「……湖?」
「ええ、旅行先のコテージは覚えている? あの周りの森を進むと湖があってーーあなたはどこか高いところから落ちたみたいだ、ってお医者様が……」
言ってる自分も信じられないと言った顔で、姉は私にそう告げたのだった。
◇
結局あの後は多少は動けるようになるまでは入院ですと言われて、半月ほど病院のお世話になっていた。
私はこちらの世界だと一週間ほど行方不明になっていたらしい。
ーー向こうで過ごした時間の六分の一しか、時間が進んでいなかった。
当たり前っちゃ当たり前だが、人が一人消えて騒ぎにならないはずもなく。
失踪、遭難、誘拐ーー色々なケースが疑われ、件の森には捜索隊が出されていたそうだ。
私が発見された湖のそばにも捜索隊メンバーの人達がいてーーというか、溺れて底に沈んでいる可能性からまさに水中をさらっているところだったらしい。
ちょうどそのタイミングで、凄まじい音とともに何処からか私が降ってきた、らしい。
お姉ちゃんも聞いただけの話な上に内容が内容だから、らしいを連発しながらの説明だった。
ヘリや飛行機が近くを飛んでいたわけでもなく、周りに高い木もない。
また例え近くに高い木が生えていてそれに登っていたとしても、湖の真ん中に落ちれるわけもなく。
でもその時上がった水柱や大きな音、怪我の状況的に、高いところから落ちたことも間違いがない。
周りの人は皆首を捻っていたそうだ。
そしてそれらの疑問が当事者である私にぶつけられたのだがーー私はその全てに『分からない』『覚えていない』と答えたので、真相は闇の中となった。
いや、だってそうでしょ?
森で遭難しかけたらいつの間にか異世界に飛ばされていて、喋るヒト型の猫達の飼い主にされました。
その飼い猫の一匹とデートで登っていた塔が崩れて転落、その途中で元の世界に戻って湖に落ちましたーーと言うとでも?
ここでバカ正直に話したら狂人と思われるのがオチじゃない! やっと退院したと思ったら次は精神病棟に、なんて冗談じゃないわ!!
こんなもの、黙秘だ黙秘!
そんな感じで誰に何を聞かれても知らぬ存ぜぬを通し、ようやく私は姉と私の家に帰ったのだった。
『危険な目に遭った迷い子は元の世界に帰る』という話が現実になった、ということだろうか。
ーーただ、まだ今この情景が夢という可能性も捨てきれない。
死を目前にした私の脳が作り出した幻覚っていう線もーー
「お姉ちゃーーうっ、グッ?!」
「ーー! ソフィー! 無理に動いちゃダメ!」
夢か現か確かめるため身体を起こしてもう一度姉に話しかけようとしたところで、胸に強烈な痛みが走って息が詰まった。
ーーなに、コレ?
「ソフィー、あなた今ね、肋骨に何箇所かヒビがはいっているの。だから、身体を動かしたり息を大きく吸い込むだけでも酷く痛むって……お願い、無理しないで」
「なん、で、そんな……」
ああ、うん……さすがにここまで痛いなら現実っぽい。嫌な確かめ方にはなったけど。
私は顔を顰めながら視線だけで周りを見渡してみた。
白いベッド、左腕に繋がれた点滴、胸に巻かれた固定具。
病室に居るのはすぐ分かった。
部屋の中にいるのは心配そうな顔の姉一人で、他は医者も看護師もーーシアンも、いない。
でも……こんな満身創痍になってはいるけど……生きているのね。
あの勢いで地面に落ちれば助かる見込みなんて無さそうなのに。
「落ち着いて聞いてね。私もその場にいたわけじゃないから詳しくは分からないのだけど……ソフィーは昨日、森の湖に落ちたところを見つけられたの」
「……湖?」
「ええ、旅行先のコテージは覚えている? あの周りの森を進むと湖があってーーあなたはどこか高いところから落ちたみたいだ、ってお医者様が……」
言ってる自分も信じられないと言った顔で、姉は私にそう告げたのだった。
◇
結局あの後は多少は動けるようになるまでは入院ですと言われて、半月ほど病院のお世話になっていた。
私はこちらの世界だと一週間ほど行方不明になっていたらしい。
ーー向こうで過ごした時間の六分の一しか、時間が進んでいなかった。
当たり前っちゃ当たり前だが、人が一人消えて騒ぎにならないはずもなく。
失踪、遭難、誘拐ーー色々なケースが疑われ、件の森には捜索隊が出されていたそうだ。
私が発見された湖のそばにも捜索隊メンバーの人達がいてーーというか、溺れて底に沈んでいる可能性からまさに水中をさらっているところだったらしい。
ちょうどそのタイミングで、凄まじい音とともに何処からか私が降ってきた、らしい。
お姉ちゃんも聞いただけの話な上に内容が内容だから、らしいを連発しながらの説明だった。
ヘリや飛行機が近くを飛んでいたわけでもなく、周りに高い木もない。
また例え近くに高い木が生えていてそれに登っていたとしても、湖の真ん中に落ちれるわけもなく。
でもその時上がった水柱や大きな音、怪我の状況的に、高いところから落ちたことも間違いがない。
周りの人は皆首を捻っていたそうだ。
そしてそれらの疑問が当事者である私にぶつけられたのだがーー私はその全てに『分からない』『覚えていない』と答えたので、真相は闇の中となった。
いや、だってそうでしょ?
森で遭難しかけたらいつの間にか異世界に飛ばされていて、喋るヒト型の猫達の飼い主にされました。
その飼い猫の一匹とデートで登っていた塔が崩れて転落、その途中で元の世界に戻って湖に落ちましたーーと言うとでも?
ここでバカ正直に話したら狂人と思われるのがオチじゃない! やっと退院したと思ったら次は精神病棟に、なんて冗談じゃないわ!!
こんなもの、黙秘だ黙秘!
そんな感じで誰に何を聞かれても知らぬ存ぜぬを通し、ようやく私は姉と私の家に帰ったのだった。
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