43 / 86
3章
同じ魂
しおりを挟む
ラドゥ様の結界に守られた馬車の中は静かで、外の物音も何も聞こえなかった。
僕は気が付くとぴたりとレオリムに身を寄せていた。
レオリムは僕の手を握って安心させるように、手の平から魔力を流し続けていた。僕がその肩に体重を掛けると、繋いだ手を持ち上げて、だいじょうぶだよ、と手の甲に唇を落とした。
別に怖いわけじゃないからね!
静かすぎて、なんとなく、くっついていたくなっただけ!
「不安にさせてしまったかな。すまないね」
そんな僕たちを見て、ラドゥ様は眉を下げた。
別に、不安な顏はしてなかったと思うけどな?! レオが宥めるように手にキスするから……。
父さんたちの前では、ちょっと恥ずかしいよ、レオ……。
でも今更それを言うのもなんだか気恥ずかしいし、僕は首をふるふると左右に振った。
レオは、特に何も変わらず。いつも通りと言うか、僕に触れるのは通常運転。
「私たちは普段から魔獣の相手をしている。騎士たちはとても優秀だから、心配はいらないよ」
ラドゥ様が騎士を伴って、各地の魔獣を退治していることは、精霊湖の湖畔の宿屋で聴いた。
ラドゥ様は、更に話をしてくれた。
西の果てに封じられた『闇』は、魔を生み出す。『闇』の生み出す魔と、僕たちの使う魔法は、似て非なるもの。
僕たちの魔法は、魂の持つエネルギーで、それは魂が蓄えた『光』のエネルギーのこと。
『光』は、愛や慈しみ、信じる心、高潔さや、世界を識り、成長や向上したいという前向きな気持ち……そう言った正の気持ちから生まれる。
『闇』はその対極、負の気持ちから生まれる。怒りや憎しみ、疑い、妬み嫉み……それらに囚われて、昏く冷たい闇に沈んだ魂。
『光』を奪い、取り込めば、自分もそうなれると信じて足掻き彷徨う憐れなもの。
「……元は我々と同じ魂だった」
ラドゥ様は遠くを見て、悲し気に言った。
同じ魂。
僕は、まるで、冷たい海の底に凝る汚泥に埋まってしまったように、胸の奥が苦しくなった。
「天人方は皆そうだが、巫覡殿は特に慈悲深い方でね。闇に堕ちた魂を救おうと、炎と天人と誰よりも奔走された」
光を思い出してくれたら。そう願って、一人の天人が自らの『光』と共に『闇』を封じたお陰で、『光』を手に入れた『闇』は、永きに渡り、西の果てで大人しくしていたのだと言う。
けれど『闇』はどこまでも貪欲で、天人から分け与えられた『光』だけでは満足できず、いつの頃からか、もっと多くの『光』を求めて、また魔を放つようになった。
西の果てと人の住む大地の間にある結界は、強固な分、編み目が大きいそうだ。多くの魔は結界の森から出て来られないが、人の心にも闇はある。
西の果てに封じられた『闇』が出てくることは、結界が解かれない限りないけれど、その隙間から魔は人の世に滲み出してくる。人の心に巣食う汚れ淀みは、魔を呼び寄せる。
ラドゥ様たちは、そうして人の世に翻れた魔や、それに憑りつかれた魔獣を滅するために、各地を廻っている。
「それが、身を賭して『闇』を封じてくださった水の巫覡のご意思を守ることだからね」
はっと息を呑む僕の手を、レオリムがぎゅうっと握った。
「水の巫覡が、西の果てに『闇』を封じた天人……?」
僕がそう呟くと、ラドゥ様が、そうだ、と頷いた。
「天人たちは何度も『闇』の封印をしたが、それらの封印は時間が経つと破られてきた。『光』と共に封じることで、今も強固に西の果てに『闇』を封じる最後の封印となった。その代わり、水の巫覡は天人としての光の力を失い、徒人として輪廻の輪に入ることになった」
海に沈んだ飾りの取れた宝石を探すようなものだった、そう呟いたラドゥ様の言葉に、僕の頭の中で『輪廻の先で待っていて。必ず君の元に戻ってくるから』という声が重なった。
誰の言葉だった?
僕は、レオリムを見た。
その瞳は、愛しさに溢れている。
レオ、僕は……。
「水の精霊たちがシーランに気付いた。やはり魂を見るのだね。魂は同じと言っても、シーランは水の巫覡とは別の人間だ。魔獣が、シーランと封印の天人である水の巫覡を同一視しないならば、このことを告げる必要はないんだが……」
ゆっくりと首を振ると、ラドゥ様は一つ大きな溜息を吐いた。
「餌を撒いたと言ったね」
ただ、首を縦に振る。
「魔獣を誘き出すのに、私たちは魔石の欠片を使うのだが、警戒心の強い魔獣は喰い付かない。しかし、かつて巫覡殿の作った魔石の欠片には必ず喰い付く。刻まれているのだろうな、『闇』の渇望が。『闇』は天人の『光』に強く惹かれるが、共に封じられた『光』の持ち主、水の巫覡の魂を、特に強く欲している」
レオリムの魔力が、不穏に膨れあがる。
「レオリム、魔力を抑えなさい」
「…………はい」
不承不承に返事をして、レオリムの魔力が、一瞬大きく揺らめいて、すーっと鎮火するように小さくなった。
その様子をじっと見て、よし、とラドゥ様は笑った。
それから、小さく肩を竦めて、すぅと大きく息を吸うと、僕たちを真っ直ぐ見た。
「レオリム、シーラン」
「「はい」」
「天人の生まれ変わりということを、気負うことはしなくていい。二人共、私たちの大事な息子だ。レオリムも言ったね。そこに、誰の生まれ変わりかは関係ない。ただ、気を付けなくてはならないことが、あるというだけだ」
父さんが、僕とレオリムを見て、大きく頷いた。
父さんはずっと言葉少なに、見守っている。元々言葉数の多い人ではないけど。
海の上では誰よりも頼もしい海の男の父さんも、陸の上では普通の父親で、急に息子とその婚約者が天人の生まれ変わりだと聞かされて、戸惑っているんだろうな。でも、多分、僕の気持ちを察して、黙って見守ってくれているんだと思う。
僕は、父さんの顔を見て、うん、と頷いた。僕も、ただの、父さんの子供。
そして父さんは、レオリムにも、同じ目を向けている。
レオリムも、こくりと頷いた。
「何の責務を感じる必要は全くない。二人には、天人の枷から離れ、自由に生きてほしいと願っている」
ラドゥ様はそこで一度言葉を切ると、微笑んだ。
「レオリムとシーラン、二人一緒にね」
僕は気が付くとぴたりとレオリムに身を寄せていた。
レオリムは僕の手を握って安心させるように、手の平から魔力を流し続けていた。僕がその肩に体重を掛けると、繋いだ手を持ち上げて、だいじょうぶだよ、と手の甲に唇を落とした。
別に怖いわけじゃないからね!
静かすぎて、なんとなく、くっついていたくなっただけ!
「不安にさせてしまったかな。すまないね」
そんな僕たちを見て、ラドゥ様は眉を下げた。
別に、不安な顏はしてなかったと思うけどな?! レオが宥めるように手にキスするから……。
父さんたちの前では、ちょっと恥ずかしいよ、レオ……。
でも今更それを言うのもなんだか気恥ずかしいし、僕は首をふるふると左右に振った。
レオは、特に何も変わらず。いつも通りと言うか、僕に触れるのは通常運転。
「私たちは普段から魔獣の相手をしている。騎士たちはとても優秀だから、心配はいらないよ」
ラドゥ様が騎士を伴って、各地の魔獣を退治していることは、精霊湖の湖畔の宿屋で聴いた。
ラドゥ様は、更に話をしてくれた。
西の果てに封じられた『闇』は、魔を生み出す。『闇』の生み出す魔と、僕たちの使う魔法は、似て非なるもの。
僕たちの魔法は、魂の持つエネルギーで、それは魂が蓄えた『光』のエネルギーのこと。
『光』は、愛や慈しみ、信じる心、高潔さや、世界を識り、成長や向上したいという前向きな気持ち……そう言った正の気持ちから生まれる。
『闇』はその対極、負の気持ちから生まれる。怒りや憎しみ、疑い、妬み嫉み……それらに囚われて、昏く冷たい闇に沈んだ魂。
『光』を奪い、取り込めば、自分もそうなれると信じて足掻き彷徨う憐れなもの。
「……元は我々と同じ魂だった」
ラドゥ様は遠くを見て、悲し気に言った。
同じ魂。
僕は、まるで、冷たい海の底に凝る汚泥に埋まってしまったように、胸の奥が苦しくなった。
「天人方は皆そうだが、巫覡殿は特に慈悲深い方でね。闇に堕ちた魂を救おうと、炎と天人と誰よりも奔走された」
光を思い出してくれたら。そう願って、一人の天人が自らの『光』と共に『闇』を封じたお陰で、『光』を手に入れた『闇』は、永きに渡り、西の果てで大人しくしていたのだと言う。
けれど『闇』はどこまでも貪欲で、天人から分け与えられた『光』だけでは満足できず、いつの頃からか、もっと多くの『光』を求めて、また魔を放つようになった。
西の果てと人の住む大地の間にある結界は、強固な分、編み目が大きいそうだ。多くの魔は結界の森から出て来られないが、人の心にも闇はある。
西の果てに封じられた『闇』が出てくることは、結界が解かれない限りないけれど、その隙間から魔は人の世に滲み出してくる。人の心に巣食う汚れ淀みは、魔を呼び寄せる。
ラドゥ様たちは、そうして人の世に翻れた魔や、それに憑りつかれた魔獣を滅するために、各地を廻っている。
「それが、身を賭して『闇』を封じてくださった水の巫覡のご意思を守ることだからね」
はっと息を呑む僕の手を、レオリムがぎゅうっと握った。
「水の巫覡が、西の果てに『闇』を封じた天人……?」
僕がそう呟くと、ラドゥ様が、そうだ、と頷いた。
「天人たちは何度も『闇』の封印をしたが、それらの封印は時間が経つと破られてきた。『光』と共に封じることで、今も強固に西の果てに『闇』を封じる最後の封印となった。その代わり、水の巫覡は天人としての光の力を失い、徒人として輪廻の輪に入ることになった」
海に沈んだ飾りの取れた宝石を探すようなものだった、そう呟いたラドゥ様の言葉に、僕の頭の中で『輪廻の先で待っていて。必ず君の元に戻ってくるから』という声が重なった。
誰の言葉だった?
僕は、レオリムを見た。
その瞳は、愛しさに溢れている。
レオ、僕は……。
「水の精霊たちがシーランに気付いた。やはり魂を見るのだね。魂は同じと言っても、シーランは水の巫覡とは別の人間だ。魔獣が、シーランと封印の天人である水の巫覡を同一視しないならば、このことを告げる必要はないんだが……」
ゆっくりと首を振ると、ラドゥ様は一つ大きな溜息を吐いた。
「餌を撒いたと言ったね」
ただ、首を縦に振る。
「魔獣を誘き出すのに、私たちは魔石の欠片を使うのだが、警戒心の強い魔獣は喰い付かない。しかし、かつて巫覡殿の作った魔石の欠片には必ず喰い付く。刻まれているのだろうな、『闇』の渇望が。『闇』は天人の『光』に強く惹かれるが、共に封じられた『光』の持ち主、水の巫覡の魂を、特に強く欲している」
レオリムの魔力が、不穏に膨れあがる。
「レオリム、魔力を抑えなさい」
「…………はい」
不承不承に返事をして、レオリムの魔力が、一瞬大きく揺らめいて、すーっと鎮火するように小さくなった。
その様子をじっと見て、よし、とラドゥ様は笑った。
それから、小さく肩を竦めて、すぅと大きく息を吸うと、僕たちを真っ直ぐ見た。
「レオリム、シーラン」
「「はい」」
「天人の生まれ変わりということを、気負うことはしなくていい。二人共、私たちの大事な息子だ。レオリムも言ったね。そこに、誰の生まれ変わりかは関係ない。ただ、気を付けなくてはならないことが、あるというだけだ」
父さんが、僕とレオリムを見て、大きく頷いた。
父さんはずっと言葉少なに、見守っている。元々言葉数の多い人ではないけど。
海の上では誰よりも頼もしい海の男の父さんも、陸の上では普通の父親で、急に息子とその婚約者が天人の生まれ変わりだと聞かされて、戸惑っているんだろうな。でも、多分、僕の気持ちを察して、黙って見守ってくれているんだと思う。
僕は、父さんの顔を見て、うん、と頷いた。僕も、ただの、父さんの子供。
そして父さんは、レオリムにも、同じ目を向けている。
レオリムも、こくりと頷いた。
「何の責務を感じる必要は全くない。二人には、天人の枷から離れ、自由に生きてほしいと願っている」
ラドゥ様はそこで一度言葉を切ると、微笑んだ。
「レオリムとシーラン、二人一緒にね」
31
あなたにおすすめの小説
異世界で8歳児になった僕は半獣さん達と仲良くスローライフを目ざします
み馬下諒
BL
志望校に合格した春、桜の樹の下で意識を失った主人公・斗馬 亮介(とうま りょうすけ)は、気がついたとき、異世界で8歳児の姿にもどっていた。
わけもわからず放心していると、いきなり巨大な黒蛇に襲われるが、水の精霊〈ミュオン・リヒテル・リノアース〉と、半獣属の大熊〈ハイロ〉があらわれて……!?
これは、異世界へ転移した8歳児が、しゃべる動物たちとスローライフ?を目ざす、ファンタジーBLです。
おとなサイド(半獣×精霊)のカプありにつき、R15にしておきました。
※ 造語、出産描写あり。前置き長め。第21話に登場人物紹介を載せました。
★お試し読みは第1部(第22〜27話あたり)がオススメです。物語の傾向がわかりやすいかと思います★
★第11回BL小説大賞エントリー作品★最終結果2773作品中/414位★応援ありがとうございました★
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
天涯孤独になった少年は、元軍人の優しいオジサンと幸せに生きる
ir(いる)
BL
※2025/11 プロローグを追加しました
ファンタジー。最愛の父を亡くした後、恋人(不倫相手)と再婚したい母に騙されて捨てられた12歳の少年。30歳の元軍人の男性との出会いで傷付いた心を癒してもらい、恋(主人公からの片思い)をする物語。
※序盤は主人公が悲しむシーンが多いです。
※主人公と相手が出会うまで、少しかかります(28話)
※BL的展開になるまでに、結構かかる予定です。主人公が恋心を自覚するようでしないのは51話くらい?
※女性は普通に登場しますが、他に明確な相手がいたり、恋愛目線で主人公たちを見ていない人ばかりです。
※同性愛者もいますが、異性愛が主流の世界です。なので主人公は、男なのに男を好きになる自分はおかしいのでは?と悩みます。
※主人公のお相手は、保護者として主人公を温かく見守り、支えたいと思っています。
植物チートを持つ俺は王子に捨てられたけど、実は食いしん坊な氷の公爵様に拾われ、胃袋を掴んでとことん溺愛されています
水凪しおん
BL
日本の社畜だった俺、ミナトは過労死した末に異世界の貧乏男爵家の三男に転生した。しかも、なぜか傲慢な第二王子エリアスの婚約者にされてしまう。
「地味で男のくせに可愛らしいだけの役立たず」
王子からそう蔑まれ、冷遇される日々にうんざりした俺は、前世の知識とチート能力【植物育成】を使い、実家の領地を豊かにすることだけを生きがいにしていた。
そんなある日、王宮の夜会で王子から公衆の面前で婚約破棄を叩きつけられる。
絶望する俺の前に現れたのは、この国で最も恐れられる『氷の公爵』アレクシス・フォン・ヴァインベルク。
「王子がご不要というのなら、その方を私が貰い受けよう」
冷たく、しかし力強い声。気づけば俺は、彼の腕の中にいた。
連れてこられた公爵邸での生活は、噂とは大違いの甘すぎる日々の始まりだった。
俺の作る料理を「世界一美味い」と幸せそうに食べ、俺の能力を「素晴らしい」と褒めてくれ、「可愛い、愛らしい」と頭を撫でてくれる公爵様。
彼の不器用だけど真っ直ぐな愛情に、俺の心は次第に絆されていく。
これは、婚約破棄から始まった、不遇な俺が世界一の幸せを手に入れるまでの物語。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
異世界にやってきたら氷の宰相様が毎日お手製の弁当を持たせてくれる
七瀬京
BL
異世界に召喚された大学生ルイは、この世界を救う「巫覡」として、力を失った宝珠を癒やす役目を与えられる。
だが、異界の食べ物を受けつけない身体に苦しみ、倒れてしまう。
そんな彼を救ったのは、“氷の宰相”と呼ばれる美貌の男・ルースア。
唯一ルイが食べられるのは、彼の手で作られた料理だけ――。
優しさに触れるたび、ルイの胸に芽生える感情は“感謝”か、それとも“恋”か。
穏やかな日々の中で、ふたりの距離は静かに溶け合っていく。
――心と身体を癒やす、年の差主従ファンタジーBL。
時の情景
琉斗六
BL
◎あらすじ
中学教師・榎戸時臣は聖女召喚の巻き添えで異世界へ。政治の都合で追放、辺境で教える日々。そこへ元教え子の聖騎士テオ(超絶美青年)が再会&保護宣言。王子の黒い思惑も動き出す。
◎その他
この物語は、複数のサイトに投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる