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夏休み4
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夏休みも終盤になってきた。去年の同じ時期なら、宿題の残りに頭を抱えていたはずだ。
そんな夏休みの終盤に、夜奈から再び電話がかかってきた。
内容は、今日の夕方の六時に駅に来て!との事だ。
何となくは、察しがつく。恐らく、夏祭りである。
駅に到着すると、夜奈が浴衣姿で待っていた。その姿を見て、可能性から確実のものへと変わった。
「待った?」
夜奈はふるふると首を横に振った。
「それより、ど、どうかな?」
夜奈は恥ずかしそうに、俺に言ってきた。
紺色ベースに、朝顔の花が入っている浴衣。普段は下ろしている髪を三つ編みにし、それをお団子状態にしてから、かんざしをつけていた。
「う、うん。可愛いよ」
「そ、そう」
「とりあえず、夜店を回るか。花火が打ち上がるまで時間もあるし」
「うん!」
「どこ行きたい?」
「じゃあ…あれやりたい」
夜奈は射的屋を指差しながらそう言った。
「それじゃあ、行こうか」
俺たちは、入り口近くでやっていた射的屋に向かった。
「おじさん。二人、一回ずつで」
「はいよ」
コルク栓式の銃を二丁貰い、コルク栓を銃口にはめた。
コルク栓は三発。
俺は、狙いを定めて引き金を引いた。
ポン!という独特の音と共にコルク栓が飛び出し、景品に命中した。しかし、倒れる事なく、その場にとどまった。
「くそっ!夜奈の方はどうだ?」
俺は右横で同じようにやっている夜奈に話しかけた。
「え?取れたよ?」
夜奈の手元には、いつの間か景品が三つも持っていた。
これは、負けちゃあいられない。
俺は再び構えた。
「たっくん!頑張れ!」
結果は残念の二文字であった。
応援してくれた夜奈には申し訳ないが、取れなかったものは仕方ない。
夜奈も、
「大丈夫!そう言う日もあるよ!」
と、気を使ってそう言ってくれた。
「それにしても、三つも取れるとは……さては熟練者だな?」
「射的屋に行くのは初めてだよ?」
「え?じゃあ…」
「強いて言うなら、普段から銃を使い慣れているからかな?」
「え!?使い慣れている?」
「あっ!ち、違うの!冗談だよ、冗談。こう言えばたっくんが驚くかな~と思っただけだから!」
「もしかして、サバゲーをやっていたりする…とか?」
「まあ…うん。そんな感じかな?」
それは、射的が得意なわけだ。動いている人相手に比べれば、動いていない景品なんぞ簡単でしかない。
でも、夜奈にサバゲーの趣味があったとは、驚きだ。
「それよりもたっくん!あれが食べたい」
続いて俺たちが向かったのは、りんご飴が売っている屋台であった。
「りんご飴か…。俺も長いこと食べてないな」
「私、食べたことないから、一度食べてみたかったの!」
「そうか。……じゃあ、おじさん。りんご飴二つ」
「はいよ!りんご飴二つね」
お金を払い、俺と夜奈はそれぞれりんご飴を貰うと、人の邪魔にならないところへと向かった。
「どうだ?」
「うん!美味しい!」
「それは良かった」
花火まであと三十分くらいある。もう少し、屋台を回ることが出来そうだ。
「次、どこ回る?」
「私、金魚すくいってやつをやってみたい!」
「金魚すくいってやつをって…もしかして、やった事がないのか?」
「うん。だからこそ、やってみたいの!」
「よし!これを食べ終えたら、行こうか」
少々苦戦しながらりんご飴を食べ終わると、金魚すくいの屋台へと向かった。
「沢山いる…」
水槽には沢山の金魚がいており、中には出目金も泳いでいた。
「おじさん。一つお願い」
「はいよ」
俺は、ポイと少し大きめのプラスチックの容器を店主から貰い、それを夜奈に渡した。
「え!?いいの?」
「いいよ。俺は夜奈のお手並み、拝見させてもらうから」
夜奈はプラスチックの容器に水を入れ、ポイを水槽の中に入れた。そしてゆっくりと金魚を追いかけ、勢いよく上に上げた。その瞬間ポイが破け、金魚はすくわれる事なく、水槽を泳いでいった。
「あっ!破けちゃった…」
「ハハハハハ。仕方ない。おじさん、ポイを二つくれないか?」
「はいよ」
お金を払い、ポイを二つ手に入れ、片方を夜奈に渡した。
「俺もうまいって程じゃあないが、夜奈、まずこの水槽を見て何か思わないか?」
「何かって……。さっぱり」
「金魚を良く見たら、水槽の角の方へと固まっているだろ?」
「そうだけど…」
「金魚などの魚っていうのは、隠れる習性がある。マグロやカツオみたいに動き続けなければいけない魚は置いといて。で、そこに狙いを定める」
「けど、たっくんのところは角じゃあ、ないよね?」
「そうだな。そこで、人の影を使うんだ。さっきも言ったが、魚は隠れる習性がある。そこで、人の影で隠れる場所を作ってあげると…」
「集まってきた…」
「そして集まった金魚たちに向かって、ポイを斜めに入れて水の抵抗を最小限に。そして、金魚の下に潜り込ませ、水の抵抗を極力少なくしてあげると…」
「おお!取れたー!すごい!」
「さあ、やってみ」
と言った瞬間、夜奈はすぐに一匹手に入れていた。
「取れた、取れた!」
「すごいな。もう一度破るかと思ったが…」
「へへーん!コツさえ分かれば、問題無し!」
夜奈の言葉は、嘘ではなかった。
二匹目、三匹目と次々と取っていくではないか。
気付けば、十匹は余裕で超える程であった。
「あっ!破けちゃった」
ここで、ポイが破けて終了した。
夜奈は結果的に十七匹という結果を残した。人生二回目の金魚すくいでこの数は凄い方であろう。
「さて、そろそろ花火の時間だし、行こうか」
「うん!」
俺たちは花火が打ち上げられる、海の方へと向かった。
すでに、海の方では沢山の人が今か今かと待ち望んでいた。
そして、ピューという花火が打ち上がる独特の音を合図に次々と花火が打ち上がった。
「きれい…」
「…うん。そうだな」
次々と打ち上がる花火に見とれ、時間という概念を忘れてしまう。
気がつけば、最後の一発。特大の大玉が打ち上げられ、夜空に大きな火の花が開花し、観覧客を魅了した。
「さて、帰るか」
「うん…」
夜奈は元気無さそうな顔で、頷いた。
「どうした?」
「もうそろそろ、夏も終わりなのか。と思うと、切なく感じて…」
「…………」
「たっくん。また来年も一緒に、来よ?」
「当たり前だ。来年と言わず、毎年来ようぜ」
「約束だからね!」
「ああ。約束だ!」
夜奈は少し元気が出たのか、俺の腕に抱きついてきた。
「絶対だからね…」
ボソッと呟くように言った夜奈の言葉は、周りの人の声に遮られ、良く聞き取れなかった。
「……?なにか、言ったか?」
「何も、言ってないよ!」
夜奈はとびっきりの笑顔で、俺にそう言った。
そんな夏休みの終盤に、夜奈から再び電話がかかってきた。
内容は、今日の夕方の六時に駅に来て!との事だ。
何となくは、察しがつく。恐らく、夏祭りである。
駅に到着すると、夜奈が浴衣姿で待っていた。その姿を見て、可能性から確実のものへと変わった。
「待った?」
夜奈はふるふると首を横に振った。
「それより、ど、どうかな?」
夜奈は恥ずかしそうに、俺に言ってきた。
紺色ベースに、朝顔の花が入っている浴衣。普段は下ろしている髪を三つ編みにし、それをお団子状態にしてから、かんざしをつけていた。
「う、うん。可愛いよ」
「そ、そう」
「とりあえず、夜店を回るか。花火が打ち上がるまで時間もあるし」
「うん!」
「どこ行きたい?」
「じゃあ…あれやりたい」
夜奈は射的屋を指差しながらそう言った。
「それじゃあ、行こうか」
俺たちは、入り口近くでやっていた射的屋に向かった。
「おじさん。二人、一回ずつで」
「はいよ」
コルク栓式の銃を二丁貰い、コルク栓を銃口にはめた。
コルク栓は三発。
俺は、狙いを定めて引き金を引いた。
ポン!という独特の音と共にコルク栓が飛び出し、景品に命中した。しかし、倒れる事なく、その場にとどまった。
「くそっ!夜奈の方はどうだ?」
俺は右横で同じようにやっている夜奈に話しかけた。
「え?取れたよ?」
夜奈の手元には、いつの間か景品が三つも持っていた。
これは、負けちゃあいられない。
俺は再び構えた。
「たっくん!頑張れ!」
結果は残念の二文字であった。
応援してくれた夜奈には申し訳ないが、取れなかったものは仕方ない。
夜奈も、
「大丈夫!そう言う日もあるよ!」
と、気を使ってそう言ってくれた。
「それにしても、三つも取れるとは……さては熟練者だな?」
「射的屋に行くのは初めてだよ?」
「え?じゃあ…」
「強いて言うなら、普段から銃を使い慣れているからかな?」
「え!?使い慣れている?」
「あっ!ち、違うの!冗談だよ、冗談。こう言えばたっくんが驚くかな~と思っただけだから!」
「もしかして、サバゲーをやっていたりする…とか?」
「まあ…うん。そんな感じかな?」
それは、射的が得意なわけだ。動いている人相手に比べれば、動いていない景品なんぞ簡単でしかない。
でも、夜奈にサバゲーの趣味があったとは、驚きだ。
「それよりもたっくん!あれが食べたい」
続いて俺たちが向かったのは、りんご飴が売っている屋台であった。
「りんご飴か…。俺も長いこと食べてないな」
「私、食べたことないから、一度食べてみたかったの!」
「そうか。……じゃあ、おじさん。りんご飴二つ」
「はいよ!りんご飴二つね」
お金を払い、俺と夜奈はそれぞれりんご飴を貰うと、人の邪魔にならないところへと向かった。
「どうだ?」
「うん!美味しい!」
「それは良かった」
花火まであと三十分くらいある。もう少し、屋台を回ることが出来そうだ。
「次、どこ回る?」
「私、金魚すくいってやつをやってみたい!」
「金魚すくいってやつをって…もしかして、やった事がないのか?」
「うん。だからこそ、やってみたいの!」
「よし!これを食べ終えたら、行こうか」
少々苦戦しながらりんご飴を食べ終わると、金魚すくいの屋台へと向かった。
「沢山いる…」
水槽には沢山の金魚がいており、中には出目金も泳いでいた。
「おじさん。一つお願い」
「はいよ」
俺は、ポイと少し大きめのプラスチックの容器を店主から貰い、それを夜奈に渡した。
「え!?いいの?」
「いいよ。俺は夜奈のお手並み、拝見させてもらうから」
夜奈はプラスチックの容器に水を入れ、ポイを水槽の中に入れた。そしてゆっくりと金魚を追いかけ、勢いよく上に上げた。その瞬間ポイが破け、金魚はすくわれる事なく、水槽を泳いでいった。
「あっ!破けちゃった…」
「ハハハハハ。仕方ない。おじさん、ポイを二つくれないか?」
「はいよ」
お金を払い、ポイを二つ手に入れ、片方を夜奈に渡した。
「俺もうまいって程じゃあないが、夜奈、まずこの水槽を見て何か思わないか?」
「何かって……。さっぱり」
「金魚を良く見たら、水槽の角の方へと固まっているだろ?」
「そうだけど…」
「金魚などの魚っていうのは、隠れる習性がある。マグロやカツオみたいに動き続けなければいけない魚は置いといて。で、そこに狙いを定める」
「けど、たっくんのところは角じゃあ、ないよね?」
「そうだな。そこで、人の影を使うんだ。さっきも言ったが、魚は隠れる習性がある。そこで、人の影で隠れる場所を作ってあげると…」
「集まってきた…」
「そして集まった金魚たちに向かって、ポイを斜めに入れて水の抵抗を最小限に。そして、金魚の下に潜り込ませ、水の抵抗を極力少なくしてあげると…」
「おお!取れたー!すごい!」
「さあ、やってみ」
と言った瞬間、夜奈はすぐに一匹手に入れていた。
「取れた、取れた!」
「すごいな。もう一度破るかと思ったが…」
「へへーん!コツさえ分かれば、問題無し!」
夜奈の言葉は、嘘ではなかった。
二匹目、三匹目と次々と取っていくではないか。
気付けば、十匹は余裕で超える程であった。
「あっ!破けちゃった」
ここで、ポイが破けて終了した。
夜奈は結果的に十七匹という結果を残した。人生二回目の金魚すくいでこの数は凄い方であろう。
「さて、そろそろ花火の時間だし、行こうか」
「うん!」
俺たちは花火が打ち上げられる、海の方へと向かった。
すでに、海の方では沢山の人が今か今かと待ち望んでいた。
そして、ピューという花火が打ち上がる独特の音を合図に次々と花火が打ち上がった。
「きれい…」
「…うん。そうだな」
次々と打ち上がる花火に見とれ、時間という概念を忘れてしまう。
気がつけば、最後の一発。特大の大玉が打ち上げられ、夜空に大きな火の花が開花し、観覧客を魅了した。
「さて、帰るか」
「うん…」
夜奈は元気無さそうな顔で、頷いた。
「どうした?」
「もうそろそろ、夏も終わりなのか。と思うと、切なく感じて…」
「…………」
「たっくん。また来年も一緒に、来よ?」
「当たり前だ。来年と言わず、毎年来ようぜ」
「約束だからね!」
「ああ。約束だ!」
夜奈は少し元気が出たのか、俺の腕に抱きついてきた。
「絶対だからね…」
ボソッと呟くように言った夜奈の言葉は、周りの人の声に遮られ、良く聞き取れなかった。
「……?なにか、言ったか?」
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