ゆるふわ系乙男召喚士、異世界に舞い降りる

玲音

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第21話 白銀のドラゴン⑤

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「はぁ・・・・・・やっと一息つける。」


ヴァルファード辺境伯は屋敷へと戻ると侍女さんが淹れてくれた紅茶を飲み深く息を吐いた。

あった時より若干疲れたような表情に立て続けにありえないことが起こったら疲れるよねと、紅茶を飲みながら同情の視線を向ける。

リンドグレーンで広く扱われている紅茶は日本でよく飲んでいたダージリンに似ていて飲みやすい。

クラウディオさんとヴァルファード辺境伯がお仕事の話をしている横で、のほほんと紅茶を味わっていると、ヴァルファード辺境伯に書類を持ってきた男性の使用人さんとパッと目が合う。

そのまま無視するように逸らすのも失礼かな?と微笑みかけると、使用人さんの顔がボンッと真っ赤に染まり、持っていた書類をバサバサと床に落とす。


「昴広様、私が致しますのでそのままお座りになっていて下さいませ。」

「は、はい・・・・・・。」


顔を赤く染めたまま慌てて落ちた書類をかき集める使用人さんを僕が手伝おうと腰を浮かせると、ポンッと僕の肩に手が置いたセバスチャンに有無を言わせない、迫力のある笑顔を向けられる。

僕はコクコクと首を縦に振って頷き、セバスチャンから目をそらす。


「昴広は無意識に人を落とすのぉ。」


いつの間にか仕事の話を終えていたクラウディオさんとヴァルファード辺境伯は僕達の一部始終を見ていたようでやれやれと言うように肩を諌める。

僕はただ微笑みかけただけなのになぜだと納得がいかないと頬を僅かに膨らます。

リンドグレーンに来てからこのような出来事は日常茶飯事とかしているが、日本では自身の美貌が原因で避けられていた為、腑に落ちないのだ。


「まぁ、その事は今は置いておいてだな。
アルジェント殿はこれから昴広と共にクラウディオ殿の所に行くということで宜しいのですよね ?」

「主様がクラウディオ殿の所に居られるということですのでそうなります。」


ヴァルファード辺境伯は拗ねている僕をスルーし、書類を集め終わったセバスチャンと共に僕の後ろにたっているアルジェントを見上げて問いかける。

その事にアルジェントは当然だと同意を示す。


「ドラゴン部隊の者達はアルジェント殿の正体が白銀のドラゴンだと既にバレているので箝口令を敷く。

ヴァルファード内では人の姿のまま生活することになるので、こちらで身分を証明できるものをすぐに準備する。

クラウディオ、アルジェント殿の身分証ができるまで、この紙を渡しておくから何か問題が起こった時は活用してほしい。」

「ふむ。あいわかった。
印章だけだと偽造したと思われるかもしれぬから直筆のサインもかいてくれぬかのぉ?」


当事者である僕とアルジェントを放置し、アルジェントから話を聞き終えたヴァルファード辺境伯とクラウディオさんとテキパキと要件を片付けていく。

難しい会話のやり取りに付いていけず、信頼しているクラウディオさんに任せておけば大丈夫だろうと判断し、2杯目の紅茶を飲む。

横に伏せていたスハイルが、僕は主だというのに他人任せで情けないなと肩を落としているのに気づき擦り寄ってくる。

スハイルの気遣いに頬を緩ませフワフワした体毛を楽しむ。

僕とスハイルのほのぼのとした光景に、壁に控えていた侍女さん達のキラキラした視線が集まる。

アルジェントが羨ましそうにこちらを見るが、スハイルを愛でるのに忙しい僕はその事に全く気づかず、初めは耐えていたアルジェントも耐えるのをやめ、傍らに跪き頭を差し出してきた。


「スハイルだけではなく我も撫でて欲しい。」

「では私もお2人と同じようにお願い致します。」


そう言い跪きチラチラと期待の眼差しを向ける2人に、仕方ないなと苦笑しながら2人の頭に手を伸ばす。

セバスチャンとアルジェントは感極まったようにプルプルと身体を震わせ、その様子を見ていた侍女さん達からきゃあっと甲高い黄色い歓声が上がる。

その声に驚き視線を上げると、侍女さん達の何名かが鼻に手を当てて蹲っているのが目に入り、何かあったのかと首を傾げる。


「全く無自覚にイチャイチャしおって・・・・・・。
今日はもう遅いしお暇するとしようかのぉ。」


クラウディオさんは小声でなにかを言うとヴァルファード辺境伯に帰る旨を伝え椅子から立つ。

クラウディオ殿も大変だなと苦笑するヴァルファード辺境伯は蹲る侍女さん達を下がらせるように指示する。


「今度はちゃんとドラゴン部隊の練習風景おか見せるからまたこいよ。」


お見送りの為に玄関まで一緒にきたヴァルファード辺境伯はそう言うとソフィーナさんへのお土産を僕に手渡し、当初の目的であるドラゴン部隊の様子を見れなかったことに少し残念に思っていた僕は、一も二もなく絶対また来ますと言葉を返す。

出発しますという言葉と共に馬車の扉が閉められ街の方角に向かってゆっくりと動き出した。
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