竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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結婚編

竜王様の愚痴5

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 そんなこんなで、私にもとうとう陣痛がやってきた。
 始まったばかりのころは、アルに抱きかかえてもらって、一緒にヒッヒッフーって張り切ってたんだけど、今はどうにも痛くてアルをベッドから追い出し、一人横向きに丸まってただひたすら耐えている。

「ああああああ、また来た。うううううーーーーーーいいいいいたいいたいっいいいいいいいっ!!!!」

 痛くて身の置き所がない。
 ベッドの上をごろごろ転がりたいくらいだけど、おなかが大きいためそれもムリ。

「ローリー、ほら、ひっひっふーだ」

 というわけで、痛くない人に横から口を出されるとイライラする。

「わかってるわよっつ!! だけど、痛くてそれどころじゃないんだもんっつ!! イタイイタイ、アルってば、さするならもっと強くさすってよ!! そーっと撫でたら、余計痛いじゃない!!」

 夜中からなんとなく痛いかなと思っていたら、朝には本格的に陣痛が始まって、そろそろ正午も近くなっている。
 
「こ、こ、こ、こうか?」

 寝てないからものすごく眠いのに、ひっきりなしに襲ってくる痛みで全然眠れない。
 お産は順調に進んでいるとルミエラは言うけれど、私は長丁場のお産に疲労困憊、もうウンザリだった。
 アルは私に八つ当たりされても、根気強く一生懸命サポートしようと努めてくれている。

「ありがとう、ごめんね」

「いや、よいのだ」

 陣痛の合間、痛みが引いている時には、アルの気遣いがすごく嬉しいし、感謝もできるのだけれど・・・

「あああああああ、また来る!! もうイヤ!! いいいいいいイタイイタイイタイイタイ、ルミエラ、まだ? まだなの? 遅くない?! 遅すぎるでしょ! マーガレットなんてあっという間だったのに!!」

「ローリー、ほら、ひっひっふーだ! ひっひっふー、ひっひっふー」

「ああもう、ある、うるさい!! できないって言ってるでしょっ!! あるがしゃべると余計に痛いから黙ってて!!」



 アルに当たり散らしながら、なんとか私は無事に竜の子を産んだ。
 私は出産をなめてた。
 いい気になってたのだと思う。
 アルの底なしの魔力に支えられて、魔法の研究はやりたい放題、成果も出して天狗になってた。

 異種の子を身ごもるなんて大仰に言ったところで誰も死んでいないし、みんな普通に子供を産んでる。
 私は、魔力が高くて病気もほとんどしたことがない健康優良児だし、どんな魔法も器用にこなせる優秀な魔法使いだから、どこの誰よりも上手に出産できると思い込んでた。

 ところが、蓋を開けてみれば一人では何も出来ず(ただ痛みにじっと耐えるだけ)、アルやルミエラ、アウラ達に助けられて、なんとか産み落としたという有り様のお産だった。
 本当にみんなには感謝しかない。
 
 特にアルには暴言を吐いたりして迷惑をかけたのに、ずっと励まし続けてくれて。
 産まれた時には、涙を流してすごく喜んでくれたし、よくがんばったって労ってもくれた。
 すごく嬉しかった。
 アルの赤ちゃんをちゃんと産む事が出来て、本当に良かったと思う。

 
 その赤ちゃん竜は、アルと同じつやっつやの黒い鱗に、金色のぱっちりおめめがとってもかわゆい男の子だった。
 ゼファイドと名付けられた子竜は、私とアルを親だとちゃんと認識して、懐いてくれている。

 私にすり寄って眠ったり、顔を長い舌でペロペロ舐めて愛情を示してくれたり、すごく可愛い。
 だけど、おっぱいをあげるわけでもなし、姿かたちもトカゲのようなので、自分で産んでおいてなんだけど、赤ちゃんという感じが全然しない。

 なんていうか・・・頭のいい爬虫類のペット?
 自分で思っておいて、それはちょっと酷いんじゃないのと反省した。
 こんな母さまでごめんね、ゼファー。
 
 でも、大きな竜と小さな竜がぴょこぴょこと後を追ってくる様を想像してみれば、やっぱり二人とも可愛いペットみたいに思えた。
 夫と息子、現竜王と次代竜王をペットだなんて私ったらと、思わずくすっと笑いが漏れる。

「どうした?」

「ううん、なんでもない。幸せだなと思って」

「ああ、我もとても幸せだ」

 キスを交わし、二人で私の隣でスヤスヤ眠るゼファーを眺める。
 ゼファーは、まだ生まれたばかりの赤ちゃんだから、一日の大半の時間を眠って過ごす。
 おっぱいは飲まず、今はまだ何も食べない。
 もう少し経ったら、生肉を少しずつ食べさせていき、人間の食べ物はもっとずっと大きくなってからにしなければならない。

 人間の赤ちゃんと大きく違うのは、竜の子はもう目はばっちり見えているし、自分で動くこともできる。
 さっきまで隣で寝てたのに、アルがいるのを見付けた途端、ゼファーは体によじ登ってアルに甘えている。



「ゆっくり休め」

「もう行っちゃうの?」

 お産をしてから四日目、ルミエラには、お産の後一週間はベッドにいるようにと言われているから、
ゼファーと一緒にベッドで大人しく寝ているわけだけど、私はアルに魔力を分けて貰えるおかげで、もうすっかり元気いっぱいだった。
 
「ちょっと、やることがあるのだ」

 アルは一昨日まではずっとべったり私にくっついて部屋にいたのに、昨日からまたどこかに出掛けるようになった。
 
「やることって?」

「やることとは、我ががんばってやらねばならんことだ。では、行ってまいる」

 アルはまたおかしな言い訳をして出て行く。
 けれど、私はもう浮気を疑ってはいなかった。
 出産の時だって、心配なのを必死に我慢して、逃げずに頑張ってくれたんだもん。
 それに、私の体力が戻るにつれて、魔力をもらうための口づけにも熱がこもり、アルの情熱がひしひしと伝わってきていた。

 きっと、アルはまた竜族特有の習性的な何かに精を出しているに違いない。
 私は、心待ちにしているアルのためにも、体を早く回復させるべくベッドに横になった。
 




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