竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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出会い編

驚愕の事実1

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 次の朝、目覚めてから恥ずかしそうにもじもじしていたローリーであったが、我らに向かって、すまなかったと頭を下げて謝ってきた。
 自分の事情に巻き込んだことや力不足で危険に晒したことは、自分勝手な振る舞いであったと。
 そして、それは自分が過信し、驕っていたからなのだとしょんぼりしていた。
 我に助けてくれて本当にありがとうとお礼を言った後、ローリーは魔獣狩りの中止と元の道に戻ることを告げた。

 元の道に戻ると言っても、来た道を戻るわけではなく、先で合流するという。
 洞窟を出てから、ローリーは口を閉ざしたまま、黙々と歩き続ける。
 ディーンが泣き疲れて寝ちまうなんてガキだよなーとからかっても、そうだねと受け流すだけで、いつものように喧嘩になることもない。
 ディーンもそんなローリーを心配そうに眺めている。
 
 そんなローリーを見ていると我も悲しくなってくる。
 我は前を歩くローリーに近付き、捕まえると肩の上に乗せた。

「あっ」

 ローリーが驚いて声を上げる。

「もう、また? いいよ、降ろしてくれよ」

「嫌だ」

「もう、そればっかだな」

 ローリーは、はぁ~とため息をついたが、その後は何も言わないで肩に乗ったままじっとしていた。

 
 しばらくして、また大いにため息をついた後、

「アルってほんとに変わってる。ディーンもだけど、二人とも優しすぎるよ。こんな子供のご機嫌なんてうかがってさ、ほんとおかしいよ。こんなことされたら、落ち込んでふてくされることも出来ないないじゃないか」

 ほんとに困るんだけど、とぶつくさ文句を言った。
 そして気分を変えるように我に話しかける。

「アルってものすごく強いんだね。一発で仕留めてさ。オレの魔法もディーンの剣も全然効かなかったのに」
「いや、あの時は我も必死だった。仕留め損ねて、お前達を巻き込んではならぬとな」

「ふーん、それとさ、なんでかわからないけど、この辺りに魔物が一匹もいないんだ。昨日のレッドグリズリーとの戦いの影響かなあ? こんなことオレ初めてだよ」

「・・・・・・」

「まあ、面倒くさくなくていいけどね。それより、もう少し行くといいところがあるんだ。そこに寄って行こう」


 ローリの言ういいところとは、美しい大きな湖だった。

「うおー!! すげー!!」

 ディーンはもう服を脱ぎかけている。泳ぐ気満々だな。
 竜族は水浴びが好きだ。
 これだけ大きい湖ならば、竜体でも十分に泳げる。気持ちいいだろうな。
 我も竜だから当然水浴びが好きだ。

「ディーンは泳ぐつもりだな。ローリーはどうする?」

 ローリーを肩から降ろして聞いた。

「オレ、泳げないから。アルは泳いで来て良いよ。ディーン、もう行っちゃったよ?」
 
 ディーンは水を得た魚のように、ウキウキワクワク潜ったと思ったらとんでもない方向に顔を出し、奇声を発して泳ぎまわっている。
 
「ディーンが湖の中が綺麗だから見に来いと言っておる。一緒に行こう。我の背に乗って行けばよい」

 水辺で手と足を浸すローリーに話しかけた。

「うーん、オレはいいよ。アルだけ行っ」

 躊躇するローリーの上着を脱がすと、有無を言わさず抱き上げ、水の中に入る。

「ちょ、ちょっと! おい、やめろよ!!」

「泳げない子供は皆同じだ。初めて水の中に入るのは怖いものだ。ディーンだってそうだった。でも、今はあの通りだ。ローリーだってすぐにうまく泳げるようになる。我がいる。怖い事は何もない」

 ディーンの時は水に放りこんでやったが、ローリーにそんなことはしない。
 人間だからな。決して嫌われるのが怖いわけではない。
 水に十分慣れさせてから、背に乗せて湖の中央に向かって泳いで行く。

「息を思いっきり吸って、鼻をつまめ。水の中に入ったら目を開けるんだぞ。さあ、行くぞ」

 二人で眺めた水の中は本当に美しかった。
 ローリーの息は長く続かないので、何度も同じ動作を繰り返すうち、我にしがみ付いていた力が自然に抜けていく。
 水の中を夢中で見入っているうちに泳げるようになっていた。

 

 岸に上がると、ディーンがいつの間に捕まえたのか、数匹の魚を焼いていた。
 濡れた服はローリーが魔法で乾かしてくれる。

 ディーンが焼けましたよと言って魚を差し出すので、受け取って食べた。うまいな。
 ローリーにも食え食えとしきりに勧めている。
 するとローリーがうまいうまいと食べながら、あれ?なんで涙が勝手に出てくるのかな、と泣き始めた。

「ど、ど、どうした? 骨が刺さったか?」

 我は喉に骨でも刺さったのかと焦っていると、そうじゃないと首を振る。

「オレ、こんなふうに面倒を見てもらったのが久しぶりだったから。なんでかな、嬉しいのかな。アルには泳げるようにしてもらって、あんなに綺麗なものが見れた。ディーンには魚を食わせてもらった。すごく楽しかった! ありがとう。いい思い出になったよ!」

 泣き笑いの顔で言うローリーに、ディーンは満足気に頷いているが、我はローリーの最後の言葉にそれどころではなかった。
 
 いい思い出になった? 思い出? 我はハッと気付いた。
 
 あぁぁぁぁぁ!! 我は失念していた! 
 我はローリーを道案内に雇っただけの客だった。
 我は毎日が楽しくて、一緒にいるのが自然すぎて、このままずっとどこまでも、三人で旅をし続けるつもりでいたのだ。





 
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