竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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出会い編

驚愕の事実2

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 まずいまずいまずい。
 このままでは、レノルド国で魔石を換金して山分けにしたら、じゃあね、バイバイということになってしまう。
 なんとかせねば。

 湖を後にして、元の道へ向かう。
 ローリーを再び肩に乗せようとしたが、察知されて逃げられた。
 まずいまずいまずい。

 どうする?
 もっと親交を深めて、客から知り合い、もしくは友人いや親友になったらどうだ?
 いいな、それはいい。親友ならしょっちゅう一緒にいたっておかしくない。
 でも、どうやったら親友になれるのだ?

 ・・・・・・

 ま、まずは仲良くなることだ。
 仲良くなるには、プレゼントだな! 
 番いに求婚する時だって、気を引くために珍しい獲物を贈り物にするのだから、効果はあるはずだ。

 ローリーの欲しい物って何だ? 
 うむ? 
 ・・・カネ?
 換金したカネ全部やるから、もうしばらく我に付き合え?

 アレ? なんか、ちょっと違う気がする。

 でも、ローリーはカネが欲しい。これは真実である。
 相手の欲しい物を贈り物にするのは、あってると思うのだが。
 しかし、なぜか卑劣なおこないのような気がするのは、我の気のせいか?

 うむ・・・・・・最終手段として頭の片隅に残しておこう。



 悶々と頭を悩ませ歩きながら、ローリーの後姿を眺めていると、様子がなにやらおかしい。
 心なしかふらついているようにも見える。
 
 あ、眠いのか。今日は泳いだしな、疲れたのかもしれない。

「ローリー、眠いのか? 我におぶされ。ほれ」

 前で屈んで促すが、当然素直におぶさるはずがないので、ディーンにローリーを捕まえさせて背負わせてもらう。
 背中で暴れたが、まあいつもの事だから、知らんぷりをした。

「ここをまっすぐ行けば、その道に合流するんだろう? 我らの事は気にしなくともよい。寝ておれ」
 
 ローリーは、魔物は近くにいないみたいだから、ゴメン、じゃあ少しだけと言うと、我の背ですぐに寝てしまった。
 やっぱり眠かったんだな。子供だからな、子竜と同じだ。

 そうか、子竜と同じか! 子竜が好んだ事をすれば良いのだ。
 しかし、子竜と言えば肩に乗せる事しか思い浮かばないな。

 そういえば、我から引きはがすのに宰相の奴が菓子で釣っていたな。
 しかし、今は菓子の持ち合わせがない。
 あるのはディーンからもぎ取ったカネが少々・・・
 駄目だ駄目だ。ソレは頭の片隅に置いておくと決めたのだ。

 つらつら考え事をしながら歩いていたら、あっという間に道に合流し休憩所に到着していた。
 ローリーも起きて、恥ずかしそうに礼を言うと、休む準備や食事の用意を始める。



「何事もなく順調にいけば、明後日夕方にはレノルドに着くよ。その足でオレの知り合いの店に行って、魔石を換金しよう」

 食事をしながら、ローリーが話す。
 明後日! あと二日! 時間がない!!!!

「オレ今日は疲れたから、先に休ませてもらうね。結界はちゃんと張っておいたから」

 そう言うと、一人でさっさと片付けて寝支度に入る。
 え?  もう、寝てしまうのか? 語らい親交を深めるという計画が・・・

「ローリー、ちょっと待て」
「何?」

「・・・えーと、ほ、ほら、魔獣狩りも中止になったことだし、料金の徴収を再開したらどうだ?」

「??? えー?! いいよ、もう。二人には世話になったし、魔石は山分けしても十分あるから」

「まあ、そう言わずに。早く壷を出せ。我が入れてやるから」
 
 怪訝な顔をしながらも、ローリーは壷を差し出した。

「今日は食事代と敷物と雨避けと毛布代か、銀貨四枚だな。あー、しまった銀貨の持ち合わせがない!!
 悔しいが金貨しかないから、コレを入れるしかないな」

 我は金貨を一枚、壷に投入した。
 ローリーはきっと大喜びすると信じて。

「・・・・・・」
 
 アレ?

「イヤミ? それともオレを小馬鹿にしてんの?」

「え?」

「ディーンじゃあるまいし、アルがそんな人だとは思わなかったよ」

 捨て台詞を残して行ってしまった。
 え? え? 今、いったい何がどうなって、ローリーは怒ったのだ?
 我は何が何だか分からなくて、助けを求めるようにディーンを見た。

「ディーン、ローリーが何故か怒っているように見えたのだが、我の気のせいか?」

「・・・・・・」

 はー、とディーンは大きなため息をついて、我に残酷な事実を告げる。

「完全に怒ってましたよ」
「なぜだ? ローリーはカネが欲しい。三日前までは喜んで受け取っていたではないか」
「三日前とは状況もローリーとの関係性も変わったんですから、アレはないですよ」

 状況? 関係性? ディーンの言うことがさっぱり分からない。
 だが、我が何かマズイ事をしたということだけは理解した。



 おかしいおかしいおかしい。
 仲良くなるどころか、嫌われてないか、ワレ。
 ローリーが朝から口をきいてくれない。

 片付けのお手伝いを申し出ても、肩に乗せてやろうと言っても、丁重に断られた。
 ローリーの態度がとてもよそよそしくて、この世の終わりじゃないかと思うくらい悲しい。
 
 イジイジしていたら、ローリーがしようがないなーと言って、手を引いてくれた。

「どっちが子供だよ」
 
 許してくれたみたいだ。良かった。

「すまぬ」

 ローリーが我の事を困った人だねと言って苦笑した。




 昼食をとっている時に、遠くに鹿の群れを見つける。良いことを思いついた。
 我もディーンのように鹿を焼いて食わせてやろう。
 魚は喜んで食べていたから、昨夜のような失敗をすることはないだろう。

「ちょっと待っていてくれ」

 我は静かに駆けて行き、さっさと一頭を仕留めて戻る。

「今晩は、我が皆に馳走する」

 二人は顔を見合わせて驚いていた。



 辺りに旨そうな匂いを漂わせながら、大きな塊の肉をじっくりと炙る。

「さあ、できたぞ」

 二人にそれぞれ骨付きの塊肉を渡す。
 ディーンは早速肉にかぶりつく。うまいうまいと食っている。よしよし。 
 ローリーはというと、肉を眺めるばかりで食いつこうとしない。あっ、そうか。

「ローリーすまなかった。気付いてやれなくて。それを貸してみろ」
 
 我はローリーの肉を受けとると、ガブリと食いついてはペッと吐き出し、食いついてはペッと吐き出して、一口大にしてやった肉を器にのせて、ローリーの前に出してやる。

「!!」
「え?」

「? どうした? これで食べやすくなっただろう? うまいぞ?」

 我も食べてみる。うん、うまい。これならローリーだって気に入るはずだ。
 なのに、目の前に置いてやった肉をじっと眺めるだけで、手を出そうとしない。

 そうか、こんなふうにされたのがきっと初めてなのだな。
 ディーンに魚を焼いてもらって、あんなに感激していたのだ。
 我はローリーに優しく話しかける。

「まだ子供だったディーンを狩りに連れて行ってやった時のことだ。上手く獲物を仕留めたまでは良かったのだがな、なかなか食おうとしないで我を悲しそうに眺めるのだ。どうやら骨が固くて食べられなかったらしい。でな、我がカミカミして前に出してやったら、嬉しそうに食っていた。誰でも子供のうちは口が小さいのだから、恥じる事はない」
 
 ローリーは、ハーと大きなため息をつくと、おもむろに肉の乗った器をディーンの前にずらし、ディーンが持っていた新しい塊肉を分捕ると、いつの間にか取り出した小刀で器用に肉を削ぎ、うん、うまいよと食べながら軽い調子で驚くべき事実を告げた。

「騙すつもりも、隠すつもりもなかったけど、こんな姿なのには理由があってさ。説明するのが面倒だからいつもはそのまま誤解させとくんだけど、もうオレ、アルがオレの事を小さな子供扱いするのがいたたまれないよ。だから、白状する。オレ小さな子供じゃないんだ」






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