竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

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魔法学校編

魔法学校

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 ハイネケン魔法学校は、おじい様が国のために優秀な魔法使いを養成するため創立した学校である。
 レノルドには王立の魔法学校もあるけど、こちらは平民の入学は認められていない。
 おじい様は優秀な人材は幅広く求めるべきであるとの考えから、私費を投入して平民も通える魔法学校を創ったのだった。

 そして現在では、お父様もそうだけど、ハイネケン魔法学校の卒業生である平民が王宮でも、また王宮以外の場所でも魔法使いとして活躍している。
 しかしながら、当然、平民の躍進を快く思わない者も多い。
 特に王立の魔法学校の卒業生は、ハイネケン魔法学校の卒業生を目の敵にしていて、王宮内では貴族派、平民派と名を変え派閥を作りいがみ合っていた。

 その争いの行きついた先が、七年前と今回の闇の魔法使いによる襲撃事件だった。
 首謀者は、貴族派の中心人物であるジェラルド=ターンホイザーとされていたけど、詳しく調べたところ、ジェラルドを操っていた第三者の存在が明らかになった。
 その第三者が、闇の魔法に属する隷属魔法を用いて仲間を増やし、ジェラルドに徒党を組ませて襲撃事件を起こさせていたようなのだ。
 だが、その者がどこの誰かなど、手掛かりは何も見つかっていない。
 ジェラルドの記憶を探っても、記憶自体が操作されており、曖昧模糊とした状態で役に立たないからだ。


 この事件により多くの平民派の魔法使いが犠牲になり、且つ、仲間に引き入れられていた貴族派の魔法使いが捕縛され、レノルドでは魔法使いが大いに不足する事態に陥ってしまった。
 そこで魔法使いの育成が急務となり、国からの援助を受けて、ハイネケン魔法学校は国中に大々的な募集をかけることになったのである。
 
 国中から集まった大勢の受験生の中から選ばれたのは、年齢8歳から17歳の厳選された四十名。
 魔力の高いわたしとディーンはもちろん選ばれて、新入生四十名の仲間入りを果たした。
 ディーンは今、わたしの幻影魔法で、見た目は14歳の男の子になっている。
 以前は髪の色や顔の印象くらいしか変えられなかったわたしの幻影魔法だけれど、体が成長したおかげかアルの魔力を貰っているおかげかは分からないけれど、高度な変化へんげが可能になった。
 
 ディーンの子供のふりは最初の頃こそぎこちなかったけれど、今では立派な14歳の男の子になりきっていて、というか、14歳の男の子に戻って人生を楽しんでいるようにさえ見える。
 
 わたしもクラスメイトの中に、たくさんお友達が出来た。
 入学当初は貴族ということで遠巻きに見られていたけれど、履修科目の取り方や学校の規則などを丁寧に教えてあげたら、創立者である伯爵家の一族なのに威張っていないし、お貴族様然として気どっていないところがいいって気に入って貰えて、親しく接してくれるようになった。
 

「おはようございます、リアさん」

 週が明けて、朝学校へ行くとアンがわたしを見つけて駆け寄って来る。

「おはよう、アン」

 12歳のアンジェリーナ=ポメットは、わたしを除けば新入生の中で唯一の貴族出身者であり、寄宿舎においても同室なので、特に仲が良い。
 二人で机につき、話をしているとレーナが声を掛けてくる。

「ねえ、リア、あなたは知ってる? この学校には座敷わらしが憑いてるって話」

 最年長17歳のレーナは、姉御肌でクラスメイト全員の面倒をよく見てくれる。

「座敷わらし? ううん、そんな話聞いたことないわ」

「ふーん、そうなんだ。あのね、一年間一緒に授業を受けていたはずの人が名簿になかったり、名簿の人数がいつの間にか増えていたりするんですって」

 レーナはどこで仕入れてくるのか、いろんな面白い話をわたし達に提供してくれる。

「私も聞いたわ。四十名で入学したはずなのに、いつの間にか四十一名になってるみたいな? でも、どの子も確かに知ってる生徒なんだって」

 別のクラスメイトが話に割り込んで、他にも話を聞きつけたクラスメイトがどんどん集まって来る。

「でも、それって、ただ単にスキップした生徒とか逆に落第した生徒なんじゃないの?」

「そんなのじゃないって聞いたけど・・・、やっぱり真実はそうなのかしら?」


 通常、初等科は10歳から12歳の子供が、一般常識や王宮でのしきたり、初等魔法を習う。
 初等科で習うものは、ほとんどが必須科目となっているため、わたし達新入生の四十名は必然的に一緒に授業を受けることになる。
 
 初等科の科目を修了後、中等科から高等科と進むにつれて専門の高度な魔法が学べるようになっており、大抵の生徒は6年かかって卒業する。
 
 しかし、ハイネケン魔法学校は必須の科目単位と進級するための単位数、または卒業するための単位数を習得すれば、進級も卒業もスキップ出来る制度があった。
 そして今回は特例で、年齢の高い者も新入生として入学しているので、初等科の生徒であっても、能力的に問題がなければ中等科、高等科の科目の受講も特別に許可されている。
 魔法使い不足の現在、優秀な者は早く卒業させて、即戦力として使いたいということなのだろう。

 そしてそれは、わたしを含めクラスメイト全員の望むところでもある。
 優秀で意欲的な彼らは、貴族の子弟のように生半可な気持ちではなく、確固たる野心や目的を持ち、貪欲に学ぶつもりでここに来ているのだ。
 
 そんなやる気のあるクラスメイトに恵まれて、わたしの学生生活は順調な滑り出しをした、と言いたいところなのだけれど、困った問題が一つあったりする。
 
「クラウス君、今度あなたとペア」

「ごめん! 僕のペアはもう決まってるんだ」

 ダッシュでわたしから離れて行った。

「えっと、じゃあ、ランディ君、あの」

「ち、近寄らないで!」

 ひぃーと悲鳴を上げて、蜘蛛の子を散らすようにクラスメイトの男子がわたしの周りからいなくなった。

「ねえ、ディーン、わたし何かしたかしら?」

 ほとんどの男子はわたしに怯え、わたしが半径1メートル以内に近付くと、病原菌が移るとでもいうかのような扱いをされている。

「ダンスの先生が、なるべくいろんな人とペアを組むようにと言っていたから、相手をお願いしようと思ったのだけど、逃げられてしまったわ。ディーンとはいつでも練習出来るから、またティムに頼むしかないわね」

 ティムは最年少の8歳の男の子である。
 ダンスに限らず、ディーンを除くとティム以外、わたしとペアを組んでくれる男子はいない。

「そうだな。ティムは何故か大丈夫みたいだしな」

「ダンスの練習が始まるまでは、みんな優しかったのに。わたしに足を踏み潰されるとでも思ってるのかしら」

 落ち込んでいると、ディーンが慰めてくれた。

「気にするな。お前のせいじゃないから」

 ディーンがブツブツ意味不明な独り言を呟いている。

「やっぱり、・・はショタなんじゃね? 血ってコワイなー」

 




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