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恋人編
二人の関係5
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終わった・・・
捨てられる・・・
我はもう捨てられる・・・
「見損ないましたわ、竜王様!」
「番いがいて、そのような真似をするはずはないのだが。竜王様、これは一体どういう事なのですか?」
我にはもう何も見えない聞こえない。
何もない空間に、我一人おいてきぼりにされたみたいだ。
どうしてこのような事になってしまったのだ?
我が愛するのはただ一人、ローリーだけ、その真実は何も変わらないというのに。
今や我は、真実がどうであろうとも、ローリーにしてみれば、誤魔化そうとした大嘘つきの浮気もの・・・
浮気などする気も、つもりもないのに。
涙がポロリとこぼれた。
「竜族の風上にも置けない」
「いや、きっと竜王様にも何か訳があるのだよ」
ん? フランミルドか? 味方の声だけは聞こえた。
よくぞ言ってくれた! そうなのだ。これには深い訳が!
もっと言ってやれ!
皆にもっと言ってやってくれ!!
「リアが現場を押さえておりますのよ? 番い以外の者と、一体どのような訳があってそのような事をするというのです」
「・・・・・・」
おい、黙ってどうする!
何か言え!
言ってくれぇ!!
「ちょっといいかしら」
食堂の入口付近から、クリスティーネの声が上がった。
ああ、ローリーのことで頭が一杯だったから、すっかりその存在を忘れていた。
「リアと言ったかしら、私の軽率な行いのせいで、辛い思いをさせてしまったようね。申し訳ないことをしたわ。でも、あの場所にいたのなら、私がアルベルトにキスした時、何て言ったか聞いていたのよね」
「はい。さようならと。だから、わたしはアルがクリスティーネさんを遠ざけようとしているのだと思ったのです。クリスティーネさんはあの時泣いていました」
「そうね。でも、私が別れを告げたのはアルベルトじゃない。アルベルトの中のアルフレッドに別れを告げたの。アルフレッドはアルベルトの兄よ。同じ黒竜だったわ。私の番いになるはずの人だった。でもね、私を置いて逝ってしまったの。番いを失った者がどうなるか、あなたはご存知かしら」
クリスティーネの急な話の展開に皆困惑しているようだ。
ローリーも必死に話の内容を理解しようと努めている。
そして、クリスの問いにコクンと頷いた。
「私はずっと生きる屍だった。何度後を追おうと思ったか知れない。だけど、アルフが別れ際に、私のところに必ず戻って来るから待ってて欲しいって言ったの。でも、番いのいない世界は辛くて無意味なものでしかなかったわ。唯一、アルフの面影を宿すアルベルトだけが私の支えだった。そんな私をアルベルトは受け入れてくれていただけ。アルベルトが話した通り、私達は恋人でも、恋人であったこともないわ。それに、」
クリスティーネの悲しい物語に皆が聴き入っていた。
そして、その中でクリスは自身の言葉で我との恋人疑惑もはっきりと否定する。
よし! よくやった! ぐっじょぶだ!
もうひと押しで誤解も解けると思ったその時、突如、話し手の現実的な言葉が悲しい物語の続きを遮った。
「エルランド、今、時はいくつかしら?」
はあ?
時などどうでもよいから、さっさと話の続きをして誤解を解いてくれ。
「そうですな、もうすぐ9つになります」
「それは大変だわ! とにかく、私とアルベルトは無関係よ!」
返事を聞いたクリスが焦り始め、途中はすっとばして強引に結論だけ述べる。
いきなり何なのだ。
いいところまで来ているというのに。
全く、何を考えているのだ、クリスは!
「だから、リア、この厄介な氷をなんとかしてもらえないかしら? さっきから何とか抜け出せないかしらと頑張っていたのだけど、ちっとも溶けてくれないのよ。申し訳ないけど、急いでくれる? 私、新しいアルフと朝の散歩をする約束をしてるの」
己の都合か!
「本当に悪かったと思っているのよ? でも、ほら、五百五十年振りの再会でしょ、私もアルベルトも有頂天になってて、皆がそんなふうに思っていたなんて全く気が付かなかった。配慮が足りなかったわ。だから、そう、ありがとう。急いで。そう、本当にごめんなさい。もう、分かってると思うけど、昨日の晩、新しいアルフに会ったの。美しく成長したねって褒めてくれたわ。ああ、ありがとう。後の話はアルベルトに聞いてちょうだい。じゃあ、私はお先に失礼するわね」
ローリーに氷魔法の解除をしてもらうと、呆気にとられている我らをよそに、クリスティーネは疾風のごとく去って行った。
氷がすっかり消えてしまうと、ローリーが我の元にやって来る。
「アル、ごめんなさい。わたしったら勝手に我慢して、勝手に焼きもちやいて、魔力を暴走させて。最初からアルにちゃんと訊けば良かった。みんなもごめんなさい」
「いや、我も悪かった。クリスも言っていたが、我らは有頂天になっていたのだな。そなたが誤解するのも仕方がない。我こそ済まなかった」
ローリーをそうっと愛おしむように抱き寄せると、反対にぎゅうぎゅうと抱き付いてくる。
我は拒絶されなかった事に安堵し、ぎゅうっと抱きしめ返した。
抱き合い、頬ずりして、お互いの存在を確かめ合う。
「竜王様、後のことはどうぞお任せ下さい」
エルランドの申し出はありがたかった。
「そうか? 済まんな。では、頼む」
ローリーと早く二人きりになりたい。
我は、いつもの丘に向かって転移した。
終わった・・・
捨てられる・・・
我はもう捨てられる・・・
「見損ないましたわ、竜王様!」
「番いがいて、そのような真似をするはずはないのだが。竜王様、これは一体どういう事なのですか?」
我にはもう何も見えない聞こえない。
何もない空間に、我一人おいてきぼりにされたみたいだ。
どうしてこのような事になってしまったのだ?
我が愛するのはただ一人、ローリーだけ、その真実は何も変わらないというのに。
今や我は、真実がどうであろうとも、ローリーにしてみれば、誤魔化そうとした大嘘つきの浮気もの・・・
浮気などする気も、つもりもないのに。
涙がポロリとこぼれた。
「竜族の風上にも置けない」
「いや、きっと竜王様にも何か訳があるのだよ」
ん? フランミルドか? 味方の声だけは聞こえた。
よくぞ言ってくれた! そうなのだ。これには深い訳が!
もっと言ってやれ!
皆にもっと言ってやってくれ!!
「リアが現場を押さえておりますのよ? 番い以外の者と、一体どのような訳があってそのような事をするというのです」
「・・・・・・」
おい、黙ってどうする!
何か言え!
言ってくれぇ!!
「ちょっといいかしら」
食堂の入口付近から、クリスティーネの声が上がった。
ああ、ローリーのことで頭が一杯だったから、すっかりその存在を忘れていた。
「リアと言ったかしら、私の軽率な行いのせいで、辛い思いをさせてしまったようね。申し訳ないことをしたわ。でも、あの場所にいたのなら、私がアルベルトにキスした時、何て言ったか聞いていたのよね」
「はい。さようならと。だから、わたしはアルがクリスティーネさんを遠ざけようとしているのだと思ったのです。クリスティーネさんはあの時泣いていました」
「そうね。でも、私が別れを告げたのはアルベルトじゃない。アルベルトの中のアルフレッドに別れを告げたの。アルフレッドはアルベルトの兄よ。同じ黒竜だったわ。私の番いになるはずの人だった。でもね、私を置いて逝ってしまったの。番いを失った者がどうなるか、あなたはご存知かしら」
クリスティーネの急な話の展開に皆困惑しているようだ。
ローリーも必死に話の内容を理解しようと努めている。
そして、クリスの問いにコクンと頷いた。
「私はずっと生きる屍だった。何度後を追おうと思ったか知れない。だけど、アルフが別れ際に、私のところに必ず戻って来るから待ってて欲しいって言ったの。でも、番いのいない世界は辛くて無意味なものでしかなかったわ。唯一、アルフの面影を宿すアルベルトだけが私の支えだった。そんな私をアルベルトは受け入れてくれていただけ。アルベルトが話した通り、私達は恋人でも、恋人であったこともないわ。それに、」
クリスティーネの悲しい物語に皆が聴き入っていた。
そして、その中でクリスは自身の言葉で我との恋人疑惑もはっきりと否定する。
よし! よくやった! ぐっじょぶだ!
もうひと押しで誤解も解けると思ったその時、突如、話し手の現実的な言葉が悲しい物語の続きを遮った。
「エルランド、今、時はいくつかしら?」
はあ?
時などどうでもよいから、さっさと話の続きをして誤解を解いてくれ。
「そうですな、もうすぐ9つになります」
「それは大変だわ! とにかく、私とアルベルトは無関係よ!」
返事を聞いたクリスが焦り始め、途中はすっとばして強引に結論だけ述べる。
いきなり何なのだ。
いいところまで来ているというのに。
全く、何を考えているのだ、クリスは!
「だから、リア、この厄介な氷をなんとかしてもらえないかしら? さっきから何とか抜け出せないかしらと頑張っていたのだけど、ちっとも溶けてくれないのよ。申し訳ないけど、急いでくれる? 私、新しいアルフと朝の散歩をする約束をしてるの」
己の都合か!
「本当に悪かったと思っているのよ? でも、ほら、五百五十年振りの再会でしょ、私もアルベルトも有頂天になってて、皆がそんなふうに思っていたなんて全く気が付かなかった。配慮が足りなかったわ。だから、そう、ありがとう。急いで。そう、本当にごめんなさい。もう、分かってると思うけど、昨日の晩、新しいアルフに会ったの。美しく成長したねって褒めてくれたわ。ああ、ありがとう。後の話はアルベルトに聞いてちょうだい。じゃあ、私はお先に失礼するわね」
ローリーに氷魔法の解除をしてもらうと、呆気にとられている我らをよそに、クリスティーネは疾風のごとく去って行った。
氷がすっかり消えてしまうと、ローリーが我の元にやって来る。
「アル、ごめんなさい。わたしったら勝手に我慢して、勝手に焼きもちやいて、魔力を暴走させて。最初からアルにちゃんと訊けば良かった。みんなもごめんなさい」
「いや、我も悪かった。クリスも言っていたが、我らは有頂天になっていたのだな。そなたが誤解するのも仕方がない。我こそ済まなかった」
ローリーをそうっと愛おしむように抱き寄せると、反対にぎゅうぎゅうと抱き付いてくる。
我は拒絶されなかった事に安堵し、ぎゅうっと抱きしめ返した。
抱き合い、頬ずりして、お互いの存在を確かめ合う。
「竜王様、後のことはどうぞお任せ下さい」
エルランドの申し出はありがたかった。
「そうか? 済まんな。では、頼む」
ローリーと早く二人きりになりたい。
我は、いつもの丘に向かって転移した。
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