竜王様のヘタレな恋 ーR18バージョンー

Arara

文字の大きさ
117 / 144
外伝 レオンハルト編

魔物の神2

しおりを挟む
 あの時何が起こったのか、今でもよく分からない。
 ただ、レフティが居なくなった。

 
 レフティも居ない。
 つまらない日々がまた続く。
 何か新しい面白い遊びはないだろうか。
 竜族は相変わらず引き籠ったままだしなと考えて、ふと、思い出した。

 そう言えば、あの後、竜族の魔石ってどうしたんだっけ? 
 竜族の心臓や肝や血は人間にやったが、魔石は俺達が持ち帰ったはず。
 ええと、随分昔の事だからな、頭を捻って記憶を掘り起こす。
 そうだ、怨嗟の声がうるさくて眠れないってレフティが言うから、神殿の奥にまとめて封印したんだった。すっかり忘れていた!

 神殿の奥から魔石を入れた袋を引っ張り出し、久々に禍々しい邪気を放つ赤に黒いまだら模様が入った物体をじっと眺める。
 元は竜族だった魔石だ。
 再び竜族に戻せないかなとしばらく思案してみたけれど、あいにく器用な俺でもそんな魔法は思い付かなかった。
 こぶし大の大きな魔石は、流石に元は竜族のものだけあって、今なお大量の魔力を有し且つ恨みを忘れず怨嗟を撒き散らしている。
 しぶといというかなんというか、哀れ過ぎて、くっくっくっ、愉快極まりないよ。
 ああそうだ、この魔石を使って何か面白い遊びが出来ないかな。フフ、楽しくなってきたぞ。

 魔石を神殿の周りに住んでいる魔獣に与えてみたら、やっぱり愉快な事が起こった。
 人間を探して、襲い始めたのだ。
 通常、魔獣と人間は住み分けているから、どちらかがテリトリーを侵さなければ交わる事はない。
 あれだけの邪気を放つ魔力なのだから、魔獣も何らかの影響は受けるだろうなとは予想していたが、まさか人間に復讐をし始めるとは思わなかった。
 人間に生きたまま血や心臓や肝を抜かれ、無惨に殺された恨みが怨讐となってそうさせるのだろうか。 
 ハハッ、やっぱり竜族はすごい。魔石になってまで、俺を愉しませてくれる。

 いつの間にかしもべ以外、神殿の周囲から人間は居なくなって、それに伴い復讐心にかられた魔獣もどこかに行ってしまった。
 まぁいい、魔石はまだたくさんあるし、人間はどこにでもいる。
 ああ、あそこにしよう、俺はこの前レフティと出掛けて行った南の国で遊ぶ事に決めた。
 あそこは魔素が少ないから、居心地はあまり良くないけど、人間がうじゃうじゃいるのは好都合だ。

 それに、前に来た時、レフティの希望通り国を滅ぼすつもりだったものの、余りの手応えの無さに興ざめして、途中で投げ出して帰ってしまっていた。
 当のレフティが居なくなって滅ぼす理由が無くなったし、そこの魔法使いはカスばかりで碌な抵抗も出来ず、俺にとっては面白くもなんともなかったからだ。
 でも、魔獣に蹂躙させるには、ちょうどいいかも知れない。
 それに、レフティは居ないけど、一旦引き受けた事だし初志貫徹しておこう。

 
 魔獣がいなかったから、代わりに大きな獣を選んで魔石を埋め込んでやった。
 東と西と南に一頭ずつだ。魔獣対人間、どんな戦いが展開されるのか、ワクワクする。
 人間も少しくらいは反撃するだろうか。少々は踏ん張って欲しいな。
 三方向から追い立てられた人間はどうするだろう。北に逃げるかな?
 北に逃げてくれるといいな。さらに面白いものが見られるに違いない。

 ところが、思惑は外れ、魔獣が蹂躙したのは一つの街だけ、おまけに魔獣化させた獣は全て始末されるという予想外のことが起こった。
 国を滅ぼす計画はお蔭で台無しだが、あの魔石は結果的にもっといい仕事をしたと言える。
 竜族を竜王国から引っ張り出してくれた。竜族はあの魔石に反応している。
 
 さて、どうする? 
 これまでのように不用意に近付いて、せっかく見付けた獲物を逃がすのはもったいないからな。
 慎重に動かなければならない。さあ、どうやって遊ぼうかとあれこれ考えを巡らせる。

 プッ、ハハハ、楽しいよ! やっぱり竜族はサイコーだよ!

 
 

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

最弱白竜ですが、なぜか学園最強の銀竜に番認定されました

斉藤めめめ
恋愛
竜の血を引く者だけが貴族になれるこの世界で、白竜は最も格の低い竜の証。 白竜の男爵令嬢リーゼロッテは、特待生として国内最高峰の王立竜騎学園に入学する。待っていたのは上位貴族からの蔑みと、学園を支配する四人の御曹司「四竜」。 その筆頭、銀竜公爵家の嫡男ルシアンに初日から啖呵を切ったリーゼは、いじめと嫉妬の嵐に巻き込まれていく。 それでも彼女は媚びない、逃げない、折れない。 やがてルシアンはリーゼから目が離せなくなり―― 白竜の少女が、学園と王国の運命を変える。 身分差×竜×学園ラブファンタジー、開幕。

拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました

星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎ 王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝―― 路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。 熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。 「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」 甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。 よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、 気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて―― しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!? 「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」 年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。 ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...