文字の大きさ
大
中
小
125 / 258
第7章 新国テンプルム
第292話 王になる
シャルフ王や他国の王様からの提案――5カ国の中心地に流通の中継となる国を建国して、僕にそこを治めてほしいと言われてしまった。
僕は特に家柄も良いわけじゃないし、政治なども素人だ。人の上に立つ条件を全然満たしていない。
そんな僕のような一般人が、果たして国を運営することなんてできるんだろうか?
一時的に僕が統治していたゼルドナは、すでに国家としての体制が出来上がっていた国だ。
それに、ゼルドナで僕がやったことなんて、魔法で農作物の収穫を上げたり、前王が貯め込んでいた財産を配っただけで、政治的なことは特に何もしていない。
うーん、やっぱ無理だなあ……。
「ふふん、ユーリよ、国政など自分には無理だという諦め顔をしているが、オレを見てみろ。今でこそ世界の危機ということで毎日玉座に尻を着けちゃいるが、オレは元々ロクに王宮にも行かず世界を放浪していたくらいだ」
「あ……言われてみれば、確かに……」
「王なんて大事な決断さえ間違わずにできれば、あとの仕事は飾りだ。内政なんて優秀な部下が全てやってくれる。ま、あまり任せすぎると、バカな貴族とかにつけ込まれることはあるがな」
そういえば以前フリーデン国で、困った貴族親子に絡まれたことがあったっけ。
あのときはシャルフ王に助けられたなあ。
そっか……僕ができないことは、できる人に任せればいいのか。
思えば、エーアスト奪還を考えてたときは、とにかく力が欲しかった。
魔王軍の動きに対して迅速に対応できるように――他国が魔王軍に利用されないように、僕が全部管理したいと思ってたくらいだ。
そして、やはりそういう力は必要だということを思い知らされた。
綺麗事だけじゃ、あの悪魔たちには対抗できない。
そういう思いがあったから、無事エーアストを取り戻してゼルドナの王を降りたあと、漠然とした不安はあったんだよね。
念のため、国を動かすほどの大きな力を持っていたほうがいいのではないかと。
だけど、ゼルドナは僕の国じゃない。ゼルドナの国民たちが長い年月をかけて作り上げてきた国だ。
それを、いきなり僕が統治して自由に動かすのは、何か違うと思ってた。
魔王軍との戦いはまだ終わっていない。
このあとも第2第3の魔将が現れるし、その度に他国の王様に頼み事をするのは何かと手間だ。
僕も対等の立場になれば、色々と動きやすくなる。そう、たとえ世界最強国家グランディス帝国相手であっても……だ。
ず~っと王様として国を治めるかはともかく、魔王の脅威がなくなるまでは、僕も世界に対する力や発言力を持っていたほうがいいのかもしれない。
それに、もし国作りをするなら、魔王軍を壊滅させたこのタイミングしかない。
ヤツらがまた力を付ける前に、迎え撃つ準備を整える。
……なってみるか、本当の王様に。
自分の思いのままに、理想となる国を作ってみよう!
「まあ返事はいま決めなくてもいい。しばらく考えてくれ。いい返事を期待しているぞ」
「いえシャルフ王、いま決めちゃいました。なります……王様に!」
僕は決意が揺らがないうちに即答した。
「うそ、ほんとにユーリ!? やったー!」
「いいぜヒロ、そうこなくっちゃ! オイラも協力するぜ!」
「ああ、オレもだ! いや、是非オレをヒロの国民第1号にしてくれよ!」
「私たちも協力いたしますわ! ね、ディオーネ」
「もちろんですアニス様。国を作るなど、これほど胸躍るようなことはもう二度とないかもしれませんし」
予想通りみんなは喜んでくれている。
みんながいるというのも凄い心強いんだ。僕だけだったら、絶対に断っていたと思う。
「ユーリよ、それでこそ男だ! お前のようなヤツが王にならずにどうするというくらいだからな。ではオレのほうから色々人材も貸し出そう。他国からも全面協力を得ているから、必要ならなんでも言え」
「ありがとうございます。とりあえず現地へ行って、適正な場所を探してきます」
「おお、好きなだけ使う国土を決めてこい。まああの辺りは山や森も多いから、居住地を広く取るのは難しいかもしれんがな。整地にも苦労するだろうが、なぁに作業員は5カ国から集められるから、人手には困らんだろう」
「あ、人手は大丈夫です。僕たちだけでなんとかなります」
「ぬぁにぃ~っ!? そんなわけなかろう! ……いや、お前なら可能なのか。分かった、好きにやれ。何か困ったら言いに来い。まあお前であれば、1年もしないうちに立派な国が作れるだろう」
「魔王軍がまたいつ現れるか分からないので、そんなに時間は掛けてられないです。なんとか1ヶ月くらいで、外見としての形だけは整えたいですね」
「い、1ヶ月だとぉ~っ!? 普通は10年掛けても国など作れんというのに、お前というヤツは……。言ったのがお前でなければ、詐欺師と断定して牢にぶち込んでやるところだ。では一月の間、楽しみに待つこととしよう。それと一応これは伝えておくが、帝国とだけは連絡が取れなかった。よって、ヤツらがお前を王と認めるかは分からん」
「えっ、帝国も魔王対策に協力してくれてるんじゃなかったんですか?」
「それを調べにフォルスも行っているんだが、ヤツとも連絡が取れなくてな。帝国に関しては、あまり信用しないほうが良いかもしれん」
嫌な予感はしてたけど、やっぱり帝国は協調せず、独自路線で行くのか。
まあ人類の敵にさえならなければ、どういう行動を取ってくれても構わないけど……杞憂に終わることを祈りたいところだ。
「世界が1つにならなければいけない状況だというのに、帝国には困りましたね」
「なぁに、いざとなれば帝国以外の国をすべてお前がまとめて、帝国以上の巨大連合国家を作ればいい。そのときお前は皇帝を超える連合国大帝になれるだろう」
「や、や、やめてください大帝だなんて! 外を出歩けなくなりますよ!」
そんな肩書き、考えただけでもゾッとする。
たった一国の王様ですら、僕にはかなり荷が重いというのに……。
「はぁ~それほどの力を持ちながら、どうしてお前はそう及び腰なのか……。まあいい、大帝はいざとなったらという話だ。まずは建国に専念しろ。頑張れよ、ユーリ」
「はい!」
「ふうううんっ、私のユーリがとうとう本物の王様になっちゃううう~っ」
「リノ、興奮しすぎよ! あんただけのじゃなく、みんなのユーリなんだからね」
「ダーリンが王になると、ネネは王妃か……ふふふふ」
「そこのチビ助、勝手な妄想するんじゃないデス!」
「誰が第一夫人になるか勝負ってことか。アマゾネスの血が騒ぐぜ」
「エーアストの王女として、これは負けられない戦いですわ」
「私も最初に婚約した者として譲れませんわね」
「ワタシも譲れませんな。ヒロ、誰を選ぶか考えておけ!」
いや、別に建国したら誰かと結婚するってわけじゃないから……。
うう、どうかこじれませんように。
そういえば、ディオーネさんはシャルフ王に心酔してたけど、もうあまり気にかけてないみたいだな。
それくらい僕は好かれているということで、光栄に思うことにしよう。
さて、じゃあ早速土地を見に行こう!
僕は特に家柄も良いわけじゃないし、政治なども素人だ。人の上に立つ条件を全然満たしていない。
そんな僕のような一般人が、果たして国を運営することなんてできるんだろうか?
一時的に僕が統治していたゼルドナは、すでに国家としての体制が出来上がっていた国だ。
それに、ゼルドナで僕がやったことなんて、魔法で農作物の収穫を上げたり、前王が貯め込んでいた財産を配っただけで、政治的なことは特に何もしていない。
うーん、やっぱ無理だなあ……。
「ふふん、ユーリよ、国政など自分には無理だという諦め顔をしているが、オレを見てみろ。今でこそ世界の危機ということで毎日玉座に尻を着けちゃいるが、オレは元々ロクに王宮にも行かず世界を放浪していたくらいだ」
「あ……言われてみれば、確かに……」
「王なんて大事な決断さえ間違わずにできれば、あとの仕事は飾りだ。内政なんて優秀な部下が全てやってくれる。ま、あまり任せすぎると、バカな貴族とかにつけ込まれることはあるがな」
そういえば以前フリーデン国で、困った貴族親子に絡まれたことがあったっけ。
あのときはシャルフ王に助けられたなあ。
そっか……僕ができないことは、できる人に任せればいいのか。
思えば、エーアスト奪還を考えてたときは、とにかく力が欲しかった。
魔王軍の動きに対して迅速に対応できるように――他国が魔王軍に利用されないように、僕が全部管理したいと思ってたくらいだ。
そして、やはりそういう力は必要だということを思い知らされた。
綺麗事だけじゃ、あの悪魔たちには対抗できない。
そういう思いがあったから、無事エーアストを取り戻してゼルドナの王を降りたあと、漠然とした不安はあったんだよね。
念のため、国を動かすほどの大きな力を持っていたほうがいいのではないかと。
だけど、ゼルドナは僕の国じゃない。ゼルドナの国民たちが長い年月をかけて作り上げてきた国だ。
それを、いきなり僕が統治して自由に動かすのは、何か違うと思ってた。
魔王軍との戦いはまだ終わっていない。
このあとも第2第3の魔将が現れるし、その度に他国の王様に頼み事をするのは何かと手間だ。
僕も対等の立場になれば、色々と動きやすくなる。そう、たとえ世界最強国家グランディス帝国相手であっても……だ。
ず~っと王様として国を治めるかはともかく、魔王の脅威がなくなるまでは、僕も世界に対する力や発言力を持っていたほうがいいのかもしれない。
それに、もし国作りをするなら、魔王軍を壊滅させたこのタイミングしかない。
ヤツらがまた力を付ける前に、迎え撃つ準備を整える。
……なってみるか、本当の王様に。
自分の思いのままに、理想となる国を作ってみよう!
「まあ返事はいま決めなくてもいい。しばらく考えてくれ。いい返事を期待しているぞ」
「いえシャルフ王、いま決めちゃいました。なります……王様に!」
僕は決意が揺らがないうちに即答した。
「うそ、ほんとにユーリ!? やったー!」
「いいぜヒロ、そうこなくっちゃ! オイラも協力するぜ!」
「ああ、オレもだ! いや、是非オレをヒロの国民第1号にしてくれよ!」
「私たちも協力いたしますわ! ね、ディオーネ」
「もちろんですアニス様。国を作るなど、これほど胸躍るようなことはもう二度とないかもしれませんし」
予想通りみんなは喜んでくれている。
みんながいるというのも凄い心強いんだ。僕だけだったら、絶対に断っていたと思う。
「ユーリよ、それでこそ男だ! お前のようなヤツが王にならずにどうするというくらいだからな。ではオレのほうから色々人材も貸し出そう。他国からも全面協力を得ているから、必要ならなんでも言え」
「ありがとうございます。とりあえず現地へ行って、適正な場所を探してきます」
「おお、好きなだけ使う国土を決めてこい。まああの辺りは山や森も多いから、居住地を広く取るのは難しいかもしれんがな。整地にも苦労するだろうが、なぁに作業員は5カ国から集められるから、人手には困らんだろう」
「あ、人手は大丈夫です。僕たちだけでなんとかなります」
「ぬぁにぃ~っ!? そんなわけなかろう! ……いや、お前なら可能なのか。分かった、好きにやれ。何か困ったら言いに来い。まあお前であれば、1年もしないうちに立派な国が作れるだろう」
「魔王軍がまたいつ現れるか分からないので、そんなに時間は掛けてられないです。なんとか1ヶ月くらいで、外見としての形だけは整えたいですね」
「い、1ヶ月だとぉ~っ!? 普通は10年掛けても国など作れんというのに、お前というヤツは……。言ったのがお前でなければ、詐欺師と断定して牢にぶち込んでやるところだ。では一月の間、楽しみに待つこととしよう。それと一応これは伝えておくが、帝国とだけは連絡が取れなかった。よって、ヤツらがお前を王と認めるかは分からん」
「えっ、帝国も魔王対策に協力してくれてるんじゃなかったんですか?」
「それを調べにフォルスも行っているんだが、ヤツとも連絡が取れなくてな。帝国に関しては、あまり信用しないほうが良いかもしれん」
嫌な予感はしてたけど、やっぱり帝国は協調せず、独自路線で行くのか。
まあ人類の敵にさえならなければ、どういう行動を取ってくれても構わないけど……杞憂に終わることを祈りたいところだ。
「世界が1つにならなければいけない状況だというのに、帝国には困りましたね」
「なぁに、いざとなれば帝国以外の国をすべてお前がまとめて、帝国以上の巨大連合国家を作ればいい。そのときお前は皇帝を超える連合国大帝になれるだろう」
「や、や、やめてください大帝だなんて! 外を出歩けなくなりますよ!」
そんな肩書き、考えただけでもゾッとする。
たった一国の王様ですら、僕にはかなり荷が重いというのに……。
「はぁ~それほどの力を持ちながら、どうしてお前はそう及び腰なのか……。まあいい、大帝はいざとなったらという話だ。まずは建国に専念しろ。頑張れよ、ユーリ」
「はい!」
「ふうううんっ、私のユーリがとうとう本物の王様になっちゃううう~っ」
「リノ、興奮しすぎよ! あんただけのじゃなく、みんなのユーリなんだからね」
「ダーリンが王になると、ネネは王妃か……ふふふふ」
「そこのチビ助、勝手な妄想するんじゃないデス!」
「誰が第一夫人になるか勝負ってことか。アマゾネスの血が騒ぐぜ」
「エーアストの王女として、これは負けられない戦いですわ」
「私も最初に婚約した者として譲れませんわね」
「ワタシも譲れませんな。ヒロ、誰を選ぶか考えておけ!」
いや、別に建国したら誰かと結婚するってわけじゃないから……。
うう、どうかこじれませんように。
そういえば、ディオーネさんはシャルフ王に心酔してたけど、もうあまり気にかけてないみたいだな。
それくらい僕は好かれているということで、光栄に思うことにしよう。
さて、じゃあ早速土地を見に行こう!
感想 679
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
処刑される悪役貴族に転生したので、全財産配って逃げます ~俺が全部手放した瞬間、王国が回らなくなったけどもう遅い~
「ヴァルトハイム伯爵家嫡男ユリウス。貴様の断罪を、ここに宣言する」
断罪の場で、俺は前世の記憶を取り戻した。ここはかつて遊んだノベルゲームの世界で、悪役貴族ユリウスは一年後に処刑される。
冗談じゃない。領地も金も地位も、全部置いて逃げる。それだけを決めた。
ところが、解放した罪人が。配った財産が。放り出したはずの領民が。
なぜか勝手に力をつけて、次々と俺のところへ戻ってくる。
一方その頃、王都では――ユリウスなしで回らない事態が始まっていた。