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第7章 新国テンプルム

第299話 吸収スキルゲット

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 いよいよ本日、僕の国テンプルムが正式に建国となり、新たな歴史がスタートすることになる。
 結構不安もあるけど、ゼルドナで一度王様を経験しているので、我ながら意外に落ち着いている部分もあったりする。
 まるで経験無しの状態でいきなり王様になったら、もう少しパニックになってたかもね。

 それと、経済力や軍事力に余裕があるというのも、落ち着いていられる理由の1つだ。
 何せ僕は、1国を買えるほどの資産(希少金属を含め)を持っているし、戦力的にも問題ない。
 だから、何かあってもなんとかなるかなという安心感がある。
 もちろん、国家の運営は敵を倒すのとはわけが違うので、ちゃんと気を引き締めないとダメだけど。

 でも、みんなのフォローも頼もしいし、なんとかやっていけそうな手応えはある。
 とりあえず、頑張ってみるだけだ。


 ……と、建国式典の前に、今日は神様から経験値を貰う日でもある。
 いつも通り100億をいただきました。神様ありがとうございます。

 そして今月の女神様からのレアスキルは、『エナジー吸収』というSSSランクスキルだった。
 ちょっとよく分からないスキルだなあ……でもSSSランクだからきっと凄いんだろう。
 とりあえず、経験値1億使ってコレを取得する。

 早速調べてみると、これは魔法やブレスなど、何かのエネルギー波を吸収できるスキルだった。

 ……え? それってめっちゃ凄いんじゃないの!?

 もちろん全てを吸収できるというわけじゃなく、スキルレベルによって対象範囲や吸収能力が変わるらしい。
 例えば、熾光魔竜ゼインのブレスみたいな強力なエネルギー波は、低レベルじゃ吸収できないだろうけど、スキルレベルを上げれば可能になるようだ。
 吸収できる種類もスキルレベルによって変わる。

『重力魔法』とか結構特殊だけど、あれも吸収できたりするのかなあ。
『エネルギー波』というのが曖昧だ。『空間魔法』などはエネルギー波というわけじゃないから、多分吸収できない気がする。『念動力サイコキネシス』も無理だろうな。
 通常の魔法や剣技の衝撃波などは、問題なく吸収できるみたいだ。

 それと、常時パッシブ発動ではなくて、随時自分で発動しないといけないので、不意打ちされると吸収できずに喰らってしまう。
 まあ僕を不意打ちするのって、相当難しいと思うけどね。
 手の平をエネルギー波にかざせば、そこから全て吸収してくれるようだ。

 どれくらいレベル上げるか悩んだけど、とりあえず追加で経験値30億使って、レベル5まで上げてみた。
 このスキルのいいところは、僕だけじゃなくて周りも守れることだ。

 仮に敵が強力な魔法を使った場合、僕だけなら『神盾の守護イージスフィールド』があるので、よほどのことがない限りダメージを受けないけど、周りの人が巻き添えになる可能性がある。
 でもこの『エナジー吸収』があれば、たとえ強力な魔法を使われても、それを吸収することで周りの人を守れる。

 どれくらい使い勝手がいいか分からないので、まずはレベル5で使ってみて、不足があるようならさらにレベルを上げよう。


 そして余った経験値から64億使って、『空間魔法』をレベル7にした。
 攻撃だけじゃなく、色んな用途に使える便利魔法なので、多少無理してでも上げてみたんだけど……レベル7にも『次元牢獄』は無かった。
 凄い封印魔法らしいもんね。そう簡単には手に入らないか……。

 一応、『大次元断グレートスラッシュ』とか『虚空絶界クロノクレバス』、『超次元連結ハイパーゲート』などというのがあったんで、あとで試してみよう。
 今回95億使ったので、残りの経験値は56億。これはストックしておこう。


 ◇◇◇


「おおう、これは凄いな。しかしユーリよ、お前というヤツは、本当に1ヶ月で国を作ってしまうとはな……。この宮殿も素晴らしい出来じゃないか」

「ありがとうございます。式典にもわざわざシャルフ王自ら来ていただけて光栄です」

「なあに、せっかくのお前の晴れ姿だ、この目で拝まねばなるまい」

 シャルフ王が式典の前に、他国より一足先に宮殿へと来てくれた。
 他国から来るのは全員大使なので、王様はシャルフ王だけだ。

 この宮殿は一番最初に完成させたので、それ以来僕たちは『空間裂狭邸館コモド・アルベルゴ』ではなくて宮殿に住んでいる。
 内装も、各部屋ごとに好みに合わせて作った。

 意外なのは、メジェールが割と少女趣味だったことだ。
 もっと男っぽい部屋が好みかと思ってたんだけどね。そういや、メジェールって料理も上手だったっけ。

 逆にネネの部屋は、アマゾネスのソロルよりも簡素なモノだった。
 殺風景で必要最低限の家具しかないんだよね。任務で出かけることが多いから、部屋に余計な物を置かないクセが付いたのかもしれないけど。
 まあネネは歳も歳だし、少女というのはもう違うのかも……見た目は14歳くらいなんだけどなあ。

 ちなみに、アピはフィーリアと一緒に寝ている。
 以前からだけど、フィーリアとは何やら気が合うようだ。


「先日、もうすぐ国が完成すると他国の王に伝えたら、誰も信じておらなんだぞ」

「だいぶ急仕上げではありますけどね」

「ここまで完成していれば充分だろう。この国が軌道に乗るまでは、オレの部下も好きに使ってくれ」

「人手が全然足らないので、ご厚意に甘えさせていただきます」

「本来は国王会議にてお前の顔見せができれば良かったのだが、まだまだ先でな。これもお前が有能すぎて、建国が早すぎた弊害とも言える」

 国王会議とは、年に1回シャルフ王の国フリーデンで行われる、全世界の王様が集まる会議だ。
 フリーデンはこの世界の中心に位置している国なので、他国も集まりやすい。だから会場に選ばれている。
 よほどのことがない限りは各国の王様が参加する重要なイベントだ。
 エーアストが魔王軍に支配されていたときは、王の体調不良ということで欠席してたみたいだけどね。

 建国前にまずそこで僕が報告して、各国に承認してもらえれば良かったんだけど、そんな悠長なことしている時間も無かったし、これは仕方ないと思ってる。

「まあ帝国以外はお前の建国には賛成している。……いや、法王国は少し難色を示していたがな」

「えっ、そうなんですか!?」

「ふむ、魔王の名をかたった者が王になるのだから、神聖な法王国としては気分は良くないだろう」

「なるほど……そうですよね」

「いや、認めていないわけではない。どこの馬の骨か分からぬ王……お前のことが気になってるだけだ。のちほど挨拶にでも行ってくれば問題なかろう」

「そうですね。折を見て法王国に行ってきます」

 あとで時期を考えておこう。


 さて、そろそろ式典開始に備えないと。
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