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第7章 新国テンプルム

第302話 久々の冒険?

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 テンプルム建国から2週間。
 今のところとても順調に人は増えていて、そして国としての評判も上々である。
 ぼちぼち観光地の案内なども整ってきたんで、訪れる人にも対応できるようになった。

 街のお店にも移住者が入って、すでにいくつか開店し始めている。
 移住希望者には商売目的の人も多いので、今後も飲食店や物品販売店が続々とオープンしていくだろう。今ならライバルも少ないので繁盛間違いなしだし。
 もちろん、ずっと続けていくためには、ちゃんと努力が必要だろうけど。

 行商人のアパルマさんも、やっと仕事が一段落したので、現在このテンプルムに移住をしている。
 商人ギルドのテンプルム支部長をやってもらっているんだけど、アパルマさん個人のお店も開いていて、そこで僕が作ったアイテム=国の品物を委託販売してもらってるのだ。

 比較的お手頃価格で購入できる『鋼の剣+3』から、ミスリル製、アダマンタイト製、さらに『炎の剣+5』などよりどりみどりの取り扱いで、これは値段的にはほぼ相場通りに付けてもらった。
 あまり安く売ってしまうと、価格破壊を起こしてしまうからだ。

 それと、強すぎる魔装備は、あえて置かずにいる。
 迷宮最下層クラスの武器などが出回りすぎると、色々とバランスを崩して危険だからね。
 実力相応の装備を使うのが、やはり冒険者として自然だと思うし。

 ほか、手頃なサイズのアイテムボックスを、多少割安で置いてもらった。
 アイテムボックスは保持者が増えても危険は無いだろうし、まあ既存の価格を破壊しない程度に普及してくれればと思う。
 エクスポーションなども割安にしたので、ここで道具を補充してもらって、より冒険者活動を頑張ってもらえればという狙いだ。
 同じように、ケットさんが管理する盗賊シーフギルドにも、迷宮必需品をたくさん置いてもらったんで、迷宮攻略に役立つだろう。

 これはもちろん金策に困ってるとかじゃなくて、これらの武器やアイテムを目当てに、このテンプルムに来てくれる人が増えてくれればという考えだ。


 そのうちもっと人が増えたら、大きな会場を使ってオークションの開催も予定している。
 そのときは、ちょっと凄い武器を出品してもいいかなと。
 1つくらい目玉がないと、盛り上がらないからね。

 気を付けているのは希少金属レアメタル系だ。
 僕は『物質生成』スキルで、金や白金程度ならいくらでも作れてしまう。そりゃあもう通貨の価値が大暴落するほどに。
 なので、高価な金属は作らないことにしている。

 ミスリルやアダマンタイトは通貨に使われていないので、そこまで直接的な価値暴落には繋がらないが、やはり作りすぎには注意が必要だ。

 あとは闘技場も作ってあるので、将来的には何かイベントをやってみたいね。
 メジェールやリノは動物園も作りたいって言ってたけど、今のところは保留だ。
 この近辺にはあんまりパッとする動物が居ないんだよねえ……大陸北側のほうには多彩な動物が居るので、北に位置するグランディス帝国の動物園はなかなか凄いという噂は聞くけど。

 エーアストや法王国、そして僕の国テンプルムなどは、このイストリア世界の南側にあるんだけど、南は山や森が多く、モンスターの棲息地がかなり広いんだ。
 だからあまり野生の動物が棲んでいない。
 ソロルの故郷アマゾネス村の近辺では、割と動物が多かったけどね。

 まあ動物園というアイデアは悪くないので、動物を集めることが可能ならチャレンジしてみたいところだ。


 ◇◇◇


「ご主人様、冒険に行きましょう!」

 ある朝突然、フラウが提案してきた。
 いや、フラウは冒険大好きだから出掛けたいだろうけど、こっちはそんな場合じゃ……。

「いえ、ヒロ様、ちょうど良いかもしれません。少し外に出てみてはいかがでしょう」

「えっ、なんでアニスさん?」

「実はシャルフ陛下からお借りしている専門家から、採鉱をやってみてはどうかという進言があったのです」

「採鉱?」

「はい。この近くに鉱物資源の豊富な山があるそうなので、そこから採掘して鉱業をこのテンプルムでやるのです」

 鉱業……? それは全然考えてなかったな。
 なにせ、その手の物質は、僕がなんでも作れちゃうんで……。

 でも、それじゃダメなんだ。ちゃんと国として産業を高めていかないと。
 採鉱して、その鉱物資源で色々賄っていくか……いいかもしれないな。国民の働き口にもなるし。
 そうと決めたら、ぐずぐずせず早めにやっていこう。


「よし、その山をちょっと見に行ってみるか」

「やったー! 頑張りマスですよ!」

「あ、いや、フィーリアとか忙しいよな。アニスさんもそれどころじゃないだろうし、今回は僕だけで……」

「あら、わたくしに気にせず、皆さんでお出掛けしてきてよろしいですわ」

「ヒロ様、私のことも気にしないでください」

「えっ? 2人ともいいのかい?」

「フラウさんは手持ちぶさたでおヒマされているのでしょう。ユーリ様も毎日休まる日がありませんし、今日くらい息抜きされてきては?」

「その通りです。こちらは私たちがなんとかいたしますので」

 冒険者活動が息抜きってのも凄い感覚だけど、実際良い気晴らしになりそうだな。
 そもそも冒険者らしい活動って、もうずっとやってないんだよね。
 せっかくだから2人の厚意に甘えさせてもらうか。

「フィーリアとアニスさんがそう言うなら……」

「ああ、アタシも今回はパス! ちょっと今やることあるんで」

「私もメジェールのお手伝いしてるから留守番してるよ」

「ワタシも将軍として今は手が離せぬ状況だ」

「ネネも今日は仕事がある」

 あれ、メジェールやリノ、ディオーネさん、ネネまで行かないの?
 こんなのも珍しいな。
 メジェールたちはこの前から動物園について色々考えてるみたいだけど、作る場所とか色々アイデアがまとまらないらしいんだよね。
 なにかテーマパークみたいなものを作りたいようなんだけど。
 そんなに集中してるのなら、邪魔するのも申し訳ないか。

「じゃあ今回は、僕とフラウとソロルの3人パーティーで行くことにしよう」

「ムフフ、腕が鳴りマスよー!」

「ユーリ殿、オレに任せとけって!」

 まあこんなのもいいかな。
 僕たちは早速出掛ける準備をした。
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