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第7章 新国テンプルム
第334話 いざ法王国へ
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「ユーリ様、もう少しで法王国へ着きます。ご足労おかけしますが、今しばし辛抱してくださいませ」
「僕は全然平気だよ。久魅那のおかげで移動も楽で助かるよ」
「お褒めいただきありがとうございます! ああ、ユーリ様のお力になれることが、わたしにとって至上の幸せです」
うーん……久魅那がもうすっかり僕の信者になっちゃって、どうにもやりにくい……。
とはいえ、すでにメジェールたちとはすっかり打ち解けたようなので、もうピリピリするようなことはないんだけど。
ただ打ち解けすぎのせいで、別な問題が浮上したけどね。
いま僕たちは久魅那の『時空通穴』で、パスリエーダ法王国へと向かっている。
牙無魔たちが法王国へ帰るついでに、いい機会だから僕も行ってみたいと思って同行したのだ。
牙無魔たちも、法王国を案内してくれるというしね。
「しっかし、あんなに言い寄られても誰にもなびかなかった久魅那が、まさか『魔王ユーリ』に惚れちまうとはなあ……」
「『魔王』じゃないでしょ牙無魔!」
「いやまあ、魔王みてーにつえーヤツって意味で言ったんだけどな」
「久魅那が俺っちたちと離れると思うと、さすがに何かショックだぜ」
「ボクちんもですよ……」
実は久魅那は、法王国を抜けて僕の国テンプルムの国民になりたいと言い出した。
異世界人たちは元々法王国の国民登録もされてないので、テンプルムへの移住自体は特に問題ないと思うけど、法王国の人たちはあまりいい気はしないと思う。
後々何か問題にならなければいいけど……。
そのことについても、もし法王国の担当者と話せるなら調整したいとは思うけど、今回は『テンプルム国王』として公式に行くのではなく、あくまでもプライベートでの訪問なんだよね。
いきなりなので、もちろん法王国へ事前連絡もなしだ。
なので、とりあえず法王国の要人と会うつもりはないし、僕の正体をバラすつもりもない。
この僕の唐突な行動を宰相であるアニスさんに連絡したら、さすがに無計画すぎると怒られちゃったけど、一度法王国を訪問しておけば、次からは『空間転移』で簡単に行けるからね。
シャルフ王も内密であちこち行ってたみたいだし、これくらいはいいだろう。
ちなみに、『時空通穴』を使っても法王国までは丸一日掛かるので、昨夜一度みんなで『空間裂狭邸館』に泊まっている。
これは異次元空間に宿泊施設を出せるアイテムだけど、その泊まった一夜でとんでもないことが起こった。
なんと、眷女たち+久魅那が、いつの間にか僕の寝室に入ってきていたのだ!
侵入防止の結界を張っていたはずなのに、いったいどうやってと思ったら、久魅那の『時空通穴』で結界を抜けてきたのだった。
『空間裂狭邸館』自体は異次元空間にあるけど、施設の中は通常空間扱いなので、『時空通穴』が開けたのだった。
コレを思いついたのは、どうやらリノとフィーリアらしい。それで久魅那を唆して、こっそり僕の部屋へと侵入したようだ。
まったく、悪知恵だけはよく働くんだから……リノとフィーリアのコンビは、最初の頃からホント全然変わらないな。
久魅那がみんなと打ち解けすぎたというのはこのことだ。
牙無魔たちに気付かれないように、なんとか彼女たちを帰したよ。
久魅那には、今度コレをやったら嫌いになるよって脅したら、もう二度とやりませんと泣きながら謝ってきたので、多分もう大丈夫だと思う。
まあでも、久魅那がみんなと仲良くなってくれたのは助かるけどね。
「それにしても、法王国のヤツらも人が悪いぜ。ユーリのような怪物がいるってのに、わざわざオレたちを異世界から召喚したんだからな」
「本当ですぞ。おかげで大変な目に遭いましたし」
「俺っちたちを元の世界に還してほしいよな。まあその方法が分からないってことらしいけど」
「いや、僕のことは法王国の人もよく知らないと思う。たまたま強くなっただけだし……」
「たまたまであの強さなのかよ。ゴーグってヤツもつえーらしいしよぉ。ちなみに、お前とゴーグはどっちが強いんだ?」
「……分からない。一度だけ戦ったけど、そのときは僕のほうが上だったかもしれない。でも今では不明だ」
「そんなにつえーのか……仲間の仇を討ちたかったが、オレたちは出会わなくて幸運だったってことか」
牙無魔から聞いた話では、一緒に召喚された仲間は、全員ゴーグに殺されてしまったらしい。
ゴーグらが何をしているか不明だったけど、異世界人たちを消していたとは……。
確かに、ゴーグくらい強くないと、異世界人を倒すのは難しいかもしれない。
牙無魔たちには、絶対ゴーグとは戦わないことをお願いした。
「ユーリ様、法王国へ着きました! 『時空通穴』を解除しますね」
「ユーリ、あらかじめ言っておくが、法王国の連中にはあまり期待すんなよ。どうもお前たちは法王国を特別に思っているフシがあるが、あいつら言うほど正義じゃないからな」
「そうですぞ。彼らはエリート意識……というか、自分たちは神から選ばれた、いわゆる選民思想みたいなモノを抱いてます。気を付けたほうがいいですぞ」
「ああ、法王国は異世界から勝手に俺っちたちを喚んでおきながら、ロクに協力もしてくれず、何かと振り回してくれたしな」
「ゴーグに仲間がやられたときも、神徒如きに負ける役立たずと言われたぜ。正直、法王国の連中には少々恨みがある。だが、元の世界に戻るには、あいつらに協力するしかねえし……それに、この世界は嫌いじゃねーしな。守ってやりたいヤツが居るんだ」
牙無魔たち、いいヤツらだな。
今のところ戻る方法はないみたいだけど、もし僕がそういうスキルを授かったら、牙無魔たちを元の世界に還してあげよう。
『時空通穴』が解除されると、溢れるほどの聖なる力で輝いた法王国が現れた。
***********************************
是非是非、書籍版『無限のスキルゲッター』もよろしくお願いいたしますm(_ _)m
「僕は全然平気だよ。久魅那のおかげで移動も楽で助かるよ」
「お褒めいただきありがとうございます! ああ、ユーリ様のお力になれることが、わたしにとって至上の幸せです」
うーん……久魅那がもうすっかり僕の信者になっちゃって、どうにもやりにくい……。
とはいえ、すでにメジェールたちとはすっかり打ち解けたようなので、もうピリピリするようなことはないんだけど。
ただ打ち解けすぎのせいで、別な問題が浮上したけどね。
いま僕たちは久魅那の『時空通穴』で、パスリエーダ法王国へと向かっている。
牙無魔たちが法王国へ帰るついでに、いい機会だから僕も行ってみたいと思って同行したのだ。
牙無魔たちも、法王国を案内してくれるというしね。
「しっかし、あんなに言い寄られても誰にもなびかなかった久魅那が、まさか『魔王ユーリ』に惚れちまうとはなあ……」
「『魔王』じゃないでしょ牙無魔!」
「いやまあ、魔王みてーにつえーヤツって意味で言ったんだけどな」
「久魅那が俺っちたちと離れると思うと、さすがに何かショックだぜ」
「ボクちんもですよ……」
実は久魅那は、法王国を抜けて僕の国テンプルムの国民になりたいと言い出した。
異世界人たちは元々法王国の国民登録もされてないので、テンプルムへの移住自体は特に問題ないと思うけど、法王国の人たちはあまりいい気はしないと思う。
後々何か問題にならなければいいけど……。
そのことについても、もし法王国の担当者と話せるなら調整したいとは思うけど、今回は『テンプルム国王』として公式に行くのではなく、あくまでもプライベートでの訪問なんだよね。
いきなりなので、もちろん法王国へ事前連絡もなしだ。
なので、とりあえず法王国の要人と会うつもりはないし、僕の正体をバラすつもりもない。
この僕の唐突な行動を宰相であるアニスさんに連絡したら、さすがに無計画すぎると怒られちゃったけど、一度法王国を訪問しておけば、次からは『空間転移』で簡単に行けるからね。
シャルフ王も内密であちこち行ってたみたいだし、これくらいはいいだろう。
ちなみに、『時空通穴』を使っても法王国までは丸一日掛かるので、昨夜一度みんなで『空間裂狭邸館』に泊まっている。
これは異次元空間に宿泊施設を出せるアイテムだけど、その泊まった一夜でとんでもないことが起こった。
なんと、眷女たち+久魅那が、いつの間にか僕の寝室に入ってきていたのだ!
侵入防止の結界を張っていたはずなのに、いったいどうやってと思ったら、久魅那の『時空通穴』で結界を抜けてきたのだった。
『空間裂狭邸館』自体は異次元空間にあるけど、施設の中は通常空間扱いなので、『時空通穴』が開けたのだった。
コレを思いついたのは、どうやらリノとフィーリアらしい。それで久魅那を唆して、こっそり僕の部屋へと侵入したようだ。
まったく、悪知恵だけはよく働くんだから……リノとフィーリアのコンビは、最初の頃からホント全然変わらないな。
久魅那がみんなと打ち解けすぎたというのはこのことだ。
牙無魔たちに気付かれないように、なんとか彼女たちを帰したよ。
久魅那には、今度コレをやったら嫌いになるよって脅したら、もう二度とやりませんと泣きながら謝ってきたので、多分もう大丈夫だと思う。
まあでも、久魅那がみんなと仲良くなってくれたのは助かるけどね。
「それにしても、法王国のヤツらも人が悪いぜ。ユーリのような怪物がいるってのに、わざわざオレたちを異世界から召喚したんだからな」
「本当ですぞ。おかげで大変な目に遭いましたし」
「俺っちたちを元の世界に還してほしいよな。まあその方法が分からないってことらしいけど」
「いや、僕のことは法王国の人もよく知らないと思う。たまたま強くなっただけだし……」
「たまたまであの強さなのかよ。ゴーグってヤツもつえーらしいしよぉ。ちなみに、お前とゴーグはどっちが強いんだ?」
「……分からない。一度だけ戦ったけど、そのときは僕のほうが上だったかもしれない。でも今では不明だ」
「そんなにつえーのか……仲間の仇を討ちたかったが、オレたちは出会わなくて幸運だったってことか」
牙無魔から聞いた話では、一緒に召喚された仲間は、全員ゴーグに殺されてしまったらしい。
ゴーグらが何をしているか不明だったけど、異世界人たちを消していたとは……。
確かに、ゴーグくらい強くないと、異世界人を倒すのは難しいかもしれない。
牙無魔たちには、絶対ゴーグとは戦わないことをお願いした。
「ユーリ様、法王国へ着きました! 『時空通穴』を解除しますね」
「ユーリ、あらかじめ言っておくが、法王国の連中にはあまり期待すんなよ。どうもお前たちは法王国を特別に思っているフシがあるが、あいつら言うほど正義じゃないからな」
「そうですぞ。彼らはエリート意識……というか、自分たちは神から選ばれた、いわゆる選民思想みたいなモノを抱いてます。気を付けたほうがいいですぞ」
「ああ、法王国は異世界から勝手に俺っちたちを喚んでおきながら、ロクに協力もしてくれず、何かと振り回してくれたしな」
「ゴーグに仲間がやられたときも、神徒如きに負ける役立たずと言われたぜ。正直、法王国の連中には少々恨みがある。だが、元の世界に戻るには、あいつらに協力するしかねえし……それに、この世界は嫌いじゃねーしな。守ってやりたいヤツが居るんだ」
牙無魔たち、いいヤツらだな。
今のところ戻る方法はないみたいだけど、もし僕がそういうスキルを授かったら、牙無魔たちを元の世界に還してあげよう。
『時空通穴』が解除されると、溢れるほどの聖なる力で輝いた法王国が現れた。
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