無限のスキルゲッター! 毎月レアスキルと大量経験値を貰っている僕は、異次元の強さで無双する

まるずし

文字の大きさ
183 / 258
第7章 新国テンプルム

第350話 勇者と吸血姫

「何故泣く? 勇者ヴァンルーグがいないと、どうして生きていても仕方がないんだ? お前……いや、キミと勇者ヴァンルーグはいったいどういう関係なんだ?」

 僕は思い違いをしていた。
 この吸血姫は、勇者に復讐をしに来たんじゃない。何か別の目的があったんだ。
 まさか、この吸血姫は……?

「ワシが封印される前……その時代、吸血鬼一族と人間は大きな戦争をしていた」

「人間と吸血鬼一族で戦争?」

 昔から敵対してるのは知ってたけど、そんな大規模な戦いがあったとは……。

「そうだ。それは何十年にもわたって続き、最初こそ我らは優勢だったものの、しょせん多勢に無勢。人類よりも遙かに人数の少ない我らは、徐々に押され始めてしまった。我らの弱点を知りつくした『吸血鬼ハンター』なる存在も出現し、次々と仲間は狩られてしまった」

『吸血鬼ハンター』か……今では失われた存在だけど、吸血鬼討伐の秘術は、現在でも一部で受け継がれているという。
 確かに、吸血鬼は最強の魔族だけど、弱点は色々ある。その弱点を突けば、能力的には大きく劣る人類でも対等に戦うことができる。

「我らの王4人のうち、2人をハンターたちに滅ぼされ、我らの敗戦も時間の問題だった。だがちょうどそのとき魔王復活の兆しが現れ、人間たちは我ら吸血鬼以外にも悪魔と戦わなくてはならなくなった。人間どもは疲弊し、それにつれて我ら吸血鬼も次第に盛り返していった。ワシもここぞとばかりに人間どもを殺しまくり、一国を滅ぼす寸前までいったほどだ」

 悪魔と吸血鬼両方を相手にしたら、そりゃ人類もキツイだろう。
 今こうして人類が生き残ってるってことは、もちろんその戦いに勝ったということなので、当時死力を尽くして戦ってくれた人たちにはどんなに感謝しても足りないくらいだ。

「そんなとき、あやつ――ヴァンルーグがワシの前に現れた。ヤツが勇者だということは知っておったが、ワシは一族の王に並ぶほどの力を持っていた。大勢の吸血鬼ハンターを相手にするならともかく、1対1なら勇者であろうともワシは負ける気はなかった。……しかし、為す術なくワシは負けたのだ」

 やはり勇者ヴァンルーグのほうが強かったのか。
 勇者の血を飲んだと言うから、この吸血姫も同クラスの力を持っていたのかと思ったけど、さすがにそんなわけはなかった。
 覚醒した勇者は、魔王とやり合える存在だからな。たとえ吸血鬼の王族でも、勇者の相手にはならないだろう。

 しかし、この吸血姫はそのヴァンルーグの攻撃でも滅ぼされなかったのだから、かなり生命力が強いのかもしれない。
 殺すことを諦めて、ヴァンルーグは仕方なく封印したのかな?

「ヤツは圧倒的だった。勇者の力にワシは生まれて初めて恐怖を覚え、死を覚悟した。だが、あやつはワシにトドメを刺さなかった……」

 えっ、それってつまり、見逃してくれたってこと?
 生命力が強くて殺せなかったのではなく、あえて殺さなかった?
 勇者ヴァンルーグは、人間を大勢殺した敵を許したのか?
 いったいどういうことなんだ?

「そのとき、ワシは女だから舐められたと思った。人間如きに情けをかけられたのが死ぬほど悔しかった。こんな甘いヤツが魔王に勝てるはずがない、魔王に殺される前にこのワシが殺してやろうと憎悪を燃やした。自らを鍛え上げ、何度もあやつに襲い掛かった……しかし、7度挑んで7度ともワシは敗れたのだ」

「7回も? そんなに勇者ヴァンルーグはキミを見逃し続けたのか?」

「……そうだ。ヤツはけっしてワシを滅ぼそうとはしなかった。何故殺さぬのか、どうしてもワシには理解できなかった」

 す……すごいな。
 僕も女性と戦うのは苦手だけど、それでも魔族が相手なら、そこまで容赦はできないかもしれない。
 やはり人類のほうが大事だからね。
 ヴァンルーグって人は、もの凄いフェミニストだったのかな?

「ワシは7度目に負けたあと、何故トドメを刺さぬのかヤツに聞いてみた。人間に情けの理由を聞くなど屈辱だったが、どうしても理由が知りたかったのだ。……ヤツの答えは、ワシの思いもよらぬものだった」

「……彼は……なんと?」

「吸血姫であるこのワシが、ヤツの愛した女と瓜二つなのだと。だから殺すことができぬのだと。ワシは思わずほうけてしまったわ。勇者ともあろう男が、そんな理由で敵の命を奪えぬとはな」

 それは僕にとっても意外な答えだった。
 しかし、その勇者ヴァンルーグの気持ちはよく分かる。僕ももし眷女の誰かに似ている敵と出会ったら、簡単にはそれを殺せないだろう。
 気になるのは、『』ということは、その女性はすでに居なかったということか?

「あやつは言った。その愛した女は、自分の命を救って死んだと。将来を誓い合う仲だったらしいが、ヴァンルーグを生き返らせるために、その女は命を失ったらしい」

生命譲渡サクリファイス』! 神様から僕が授かったスキルだ!
 そうか、その女性は、『勇者』が真に覚醒するための犠牲になったんだ!
 僕にも理解できるが、『生命譲渡サクリファイス』を授かった人は、運命的にも精神的にも勇者と強くリンクする。
 恋人同士になっても全然不思議じゃない。

「その女の分までワシには生きてほしいと、いつまでも生き続けてほしいとあやつは言っていた。……ワシは言葉が出なかった。そして何故か分からぬが、ワシはあやつのために命を使おうと思った。だから、魔王軍を討ち倒すために、あやつに力を貸した」

 この吸血姫が勇者ヴァンルーグを想う気持ち、それは愛だ。
 2000年もの間、吸血鬼一族の姫として生きてきたので、そのことに気付いていないかもしれないが……。

 基本的に魔族と人間は敵対しているが、実は共存している例もある。
 極まれではあるけど、お互いを愛して夫婦として暮らす人たちも居るのだ。
 ヴァンルーグとこの吸血姫も、きっとそういう関係だったんだろう。

「ヴァンルーグと共に戦う日々は心地良かった。一族からは裏切り者とそしられたがな。そしていよいよ魔王との決戦が近付いたとき、突然あやつはワシを突き放したのだ。決戦にはワシを連れていけぬと言いだし、そしてごねるワシを封印した。仲間だと思っておったのに……」

「いや、それは違うぞ、勇者ヴァンルーグはキミを仲間外れにしたわけじゃ……」

 ヴァンルーグは、この吸血姫が決戦で死んでしまうことを恐れたんだ。
 だから連れていけなかった。僕でもそうするかもしれない。

「ふん、ヤツが何を考えていたかなどもうどうでもよい。魔王との戦いがどうなったのかは知らぬが、こうして人類が生き延びている以上、無事討ち果たしたのであろう。だがワシを迎えに来てはくれなかった、ワシはいらない存在だったのだ」

「違う! そうじゃない!」

 恐らく、ヴァンルーグは魔王と相討ちになったんだ。
 魔王と戦って生きて帰れるかは分からない。いや、むしろ生き残れるほうが奇跡だ。
 きっとヴァンルーグは、命と引き替えに魔王を封印したんだと思う。
 だからこの吸血姫を迎えに行けなかった。

 そうか……遠い昔に、そんな悲しい出来事があったのか。
 この吸血姫が封印されていたのは、勇者でも滅ぼせないほど手強いからという理由じゃなかった。
 いつか誰かが封印を解いてくれること、そしていつまでも生き続けてほしいというヴァンルーグの願いが込められていたんだ。

 ***********************************

 4日連続更新と告知いたしましたが、明日も更新できそうです。
 そのあとは、3~4日に一度の不定期更新となる予定です。
感想 679

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 ――結婚しています!  それは二人だけの秘密。  高校二年の遙と遥は結婚した。  近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。  キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。  ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。 *結婚要素あり *ヤンデレ要素あり

戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件

さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。 数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、 今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、 わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。 彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。 それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。 今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。   「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」 「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」 「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」 「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」   命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!? 順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場―― ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。   これは―― 【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と 【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、 “甘くて逃げ場のない生活”の物語。   ――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。 ※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗@オートスキル第1巻発売中
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

Bグループの少年

櫻井春輝
青春
 クラスや校内で目立つグループをA(目立つ)のグループとして、目立たないグループはC(目立たない)とすれば、その中間のグループはB(普通)となる。そんなカテゴリー分けをした少年はAグループの悪友たちにふりまわされた穏やかとは言いにくい中学校生活と違い、高校生活は穏やかに過ごしたいと考え、高校ではB(普通)グループに入り、その中でも特に目立たないよう存在感を薄く生活し、平穏な一年を過ごす。この平穏を逃すものかと誓う少年だが、ある日、特A(特に目立つ)の美少女を助けたことから変化を始める。少年は地味で平穏な生活を守っていけるのか……?