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第7章 新国テンプルム
第351話 神の血
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「ワシを殺せ。ヴァンルーグがおらぬなら、ワシも生きる理由がない」
ヴァンルーグの居ない世界に絶望し、自暴自棄になる吸血姫。
きっと、ヴァンルーグが生きている可能性に一縷の望みをかけて、僕の部屋にやってきたに違いない。
なぜメジェールではなく、僕に『勇者』を感じているのかは分からないが……。
「勇者ヴァンルーグがキミに生きてほしいと願ったんだ、殺すことなんて僕にはできない。キミがどれくらい生きるのかは知らないけど、少なくとも僕の前では死なせたくない」
「ふん、相変わらず『勇者』とは甘いヤツばかりだな」
「だから僕は『勇者』じゃないんだってば」
「いいのか? ワシを殺さねば、これから生き血を求めてワシは彷徨うぞ。血の渇きには耐えられぬからな」
「ええ~っ、それは困るけど、でも……」
そっか、それはまいったな。
吸血行為は、人間と吸血鬼の共存が難しい理由の1つでもある。
あれ、でもヴァンルーグはその辺をどう解決してたんだ?
「勇者ヴァンルーグは、キミを仲間にしたあと血はどうしてたの?」
「……ヤツ自らがワシに血を飲ませてくれた」
ああ、勇者の血を飲んだってのはそういうことか!
ようやく真相が分かった。
「ヤツの血を飲んでからは、何故か勇者の結界などがワシに効かなくなった。能力を奪ったわけでもないのだがな」
それは……ちょっと分からないけど、吸血によって勇者の力の一部を得たのかもしれない。
そう、きっともうこの吸血姫は魔族じゃないんだ。
今はまだ吸血鬼としての体質が残ってるけど、いずれ血を必要としなくなる気がする。
それまで、何かで代用できれば……。
あ、ヴァンルーグと同じく、僕の血を飲んでもらうというのはどうだろう?
僕ならどんなに血を飲まれても、すぐ再生できるから死なないしね。もちろん吸血鬼化することもないだろうし。
「あの……キミさえ良ければ、僕の血を飲んでもいいよ?」
「なんだと!? このワシをバカにするな、誰の血でも良いわけではない! 貴様のような小僧の血など……」
グウウウウウウウウウウウウウウ~。
…………なんというデカい腹の音。もちろん、この吸血姫から発せられたモノだ。
血が飲めると思って、急にお腹が空いたのかもしれない。
こんなに空腹ってことは、目が覚めてから誰も人間を襲ってないだろうな。
仮にもっと空腹になっても、この吸血姫は人間を襲うことはしない気がするけど。
「……ふん、寝起きであまりにも腹が減りすぎだから、仕方なく貴様の血を飲んでやる。ありがたく思え」
ぷっ、やせ我慢して変な吸血姫だ。
仕方なく血を飲んでやるだなんて、前代未聞のセリフだろうな。
「なんだ、なんか文句あるのか!?」
「い、いや、まあとにかく、好きなだけ飲んでいいよ」
やりとりが面倒くさくなりそうなので、適当に受け流すことにする。
やっぱりいらないと言われても困るしね。
「それでは血をいただくぞ。少し痛いが我慢せえよ」
「どうぞ遠慮なく」
僕は左腕の袖をまくって、吸血姫の口元へと差し出す。
それを両手で掴んで、吸血姫は一気にかぶり付いた。
「んご? ひゃんだこれは!? 全く血が飲めぬぞ? というか、ワシの牙が跳ね返される!?」
あ、あれ? こりゃどういう事態だ?
吸血姫はガジガジと僕の腕にかじり付いてるけど、どうやら全然血が飲めないようだ。
そういや僕の再生能力だと、この程度の噛み付きじゃ一瞬で治っちゃって、血管まで牙が到達しないかも。
筋肉に阻まれて、牙が押し出されちゃうみたいだし。
「思いっきり噛みちぎるくらいやっていいよ?」
「いや、それでも上手く牙を突き立てられぬ。いったい貴様の身体はどうなっておるのだ? 仕方ない、首に噛みつかせろ」
「ええっ、首はちょっと……」
首に噛みつかれるのはさすがに抵抗あるな。
うーん……そうだ、指とかどうだろう? 指なら、牙が筋肉に跳ね返されるということもないだろうし。
僕は左手の人差し指と中指を揃えて吸血姫の前に出す。
「首の前に、コレで試してみて? ギュッと噛んでいいから」
「このワシに指から飲めだと? ……仕方ない小僧じゃ、どれ、吸うてみるぞ」
吸血姫は僕の指に牙を突き立て、血を吸い上げる。今度は上手くいったようだ。
指からだと飲みづらいかと思ったけど、しかしさすが吸血鬼、吸い上げるパワーがハンパないな。
指からなのに、ゴクゴクと飲んでいくよ。
って、あれ? なんか少し様子がおかしいぞ。
吸血姫は僕の左手を両手で掴み、目の色を変えてむさぼるように僕の血を吸い続ける。
まさに無我夢中といった感じだ。
かなり空腹だったとはいえ、さっきまでの偉そうな態度とはだいぶ違うな。
「き、きひゃま、この血……なんとひう力を秘めておるのひゃ! しんじられにゅ、ヴァンのパワーを遙かに超えるひょ! いやひょんなレベルへはにゃい、コレはでんへちゅの『神の血』ではにゃいのか!?」
吸いながら喋ってるから、ナニ言ってるのかよく分からないな。
『神の血』ってなんだ?
「きひゃまいっひゃいナニモノにゃ! ただのゆうひゃではにゃいな? ほおおお、わひの力がみにゃぎっていくぅ~っ」
吸血姫はまるで赤ん坊のように、僕の指にチューチューと吸い付きながら血を飲んでいる。
……えっと、飲み過ぎじゃない? 確かに好きなだけ飲んでいいとは言ったけど、これ普通の人間ならそろそろ死んじゃうところですよ?
もうしばらく経ったところでようやく吸う量が緩やかになり、そして舐めるような仕草に変わっていった。
傷は瞬時に治っちゃうのでもう指から血は出てないけど、後味を味わっているかのようにしゃぶり続ける。
「あの……も、もういいかな?」
「無粋なヤツめ、久々に血を吸ったのだ、もうしばらく余韻を楽しませろ」
いや、指を一心不乱に舐められてるのは、何かちょっと気恥ずかしいというかバツが悪いというか……。
こんなところ眷女のみんなに見られでもしたら、どんなことになるおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!?
「ユーリ……いったい ナ ニ を し て る の か し ら ?」
どわああああっ、メジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウ、そして久魅那まで……!?
ふと何かの気配に振り返ってみれば、眷女のみんなが鬼の形相で並んでいた。
「変な胸騒ぎがしてアンタの部屋に行ってみれば、結界は無いしアンタは居ないしで、アタシたち凄い心配したのにっ!」
「私の『超五感上昇』でなんとかユーリを探知して、久魅那ちゃんの『時空通穴』で慌てて来てみれば……」
「こんな所で知らない女に指をナメさせていたなんて、殺されても文句は言えませんわよユーリ様」
「っていうか、そいつは魔族……それも吸血鬼じゃないデスか!? ご主人様、ワタシたちにはナニもしてくれないのに、こんな人類の敵とイチャイチャしていたなんて……!」
「ま、まって、違う、誤解だ、僕の話を聞いて……」
そうだ、前にリノが、正直に話せば許してくれると言ってた!
ここは落ち着いて、ちゃんと1からみんなに説明すれば分かってくれるはず。
「あのね、みんな……」
「問答無用っ!」
……リノのうそつき。
みんなの気が済むまでボコられたあと、ようやく吸血姫について説明を求められる。
「で、この吸血鬼はアタシが退治しちゃっていいのね?」
「いやメジェール、彼女は敵じゃないんだ」
「ナニ言ってんの? まさかアンタ、魔族の女にもそんなに甘いの? そんなことじゃ……」
「なんだこの女は? どうも勘に障るヤツだ。このワシを退治するなどと笑わせおる」
「キミは散々勘違いしてたけど、当代の『勇者』は僕じゃなくて、このメジェールなんだよ」
「この小娘が『勇者』だと? バカを言うでない」
「あら、じゃあアタシの力を思い知らせてあげるわ」
「よかろう、ならば我が『吸血姫』の力を知るがいい」
「フフフ、わたくしたちも加勢しますわ。ユーリ様の血を飲んだ罪はその身で償っていただきましょう」
「オレがバラバラに刻んでやるぜ!」
あ~もう、なんで僕の周りはすぐに戦いたがる女の子ばかりなんだ?
みんな血の気が多すぎるよ……。
僕は吸血姫と眷女たちの間に割り込み、戦いを制止する。
「なんなのユーリ!? アンタ本当にこの魔族の肩を持つの?」
「メジェール、みんな、落ち着いて僕の説明を聞いて、この吸血姫は……」
「もうよい、興を削がれた。小娘たちとの決着はいずれ付けよう。一応血をもらった礼は言っておくぞ。さらばだ小僧」
「ちょ、待って! 僕はユーリ、キミの名前はなんていうんだ?」
「…………ゼルマ。ワシの名はゼルマラージャだ」
「ゼルマラージャ……? キミはなぜ僕の所に来た? 死にたかっただけが理由じゃないだろう?」
「……ふん、あやつと……ヴァンルーグと約束したので貴様を探してみたが、だがヤツがおらぬのならもうどうでもよくなったわ」
ヴァンルーグとどんな約束をしたんだろう?
気になるが、今は教えてくれないだろうな。
「……分かった。ゼルマラージャ、また会えるかな?」
「いいや、貴様とはもう二度と会うこともなかろう。……ではさらばだ」
ゼルマラージャが暗い夜空へと消えていく。
血の渇きについては、恐らく人間を襲う心配はないとは思うが……。
勇者ヴァンルーグの居ない世界で、これから彼女はどう生きていくのだろう。
いずれまた会いたいところだ……。
***********************************
次回更新は3~4日後になります。
以降、数日に一度の不定期更新となりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
ヴァンルーグの居ない世界に絶望し、自暴自棄になる吸血姫。
きっと、ヴァンルーグが生きている可能性に一縷の望みをかけて、僕の部屋にやってきたに違いない。
なぜメジェールではなく、僕に『勇者』を感じているのかは分からないが……。
「勇者ヴァンルーグがキミに生きてほしいと願ったんだ、殺すことなんて僕にはできない。キミがどれくらい生きるのかは知らないけど、少なくとも僕の前では死なせたくない」
「ふん、相変わらず『勇者』とは甘いヤツばかりだな」
「だから僕は『勇者』じゃないんだってば」
「いいのか? ワシを殺さねば、これから生き血を求めてワシは彷徨うぞ。血の渇きには耐えられぬからな」
「ええ~っ、それは困るけど、でも……」
そっか、それはまいったな。
吸血行為は、人間と吸血鬼の共存が難しい理由の1つでもある。
あれ、でもヴァンルーグはその辺をどう解決してたんだ?
「勇者ヴァンルーグは、キミを仲間にしたあと血はどうしてたの?」
「……ヤツ自らがワシに血を飲ませてくれた」
ああ、勇者の血を飲んだってのはそういうことか!
ようやく真相が分かった。
「ヤツの血を飲んでからは、何故か勇者の結界などがワシに効かなくなった。能力を奪ったわけでもないのだがな」
それは……ちょっと分からないけど、吸血によって勇者の力の一部を得たのかもしれない。
そう、きっともうこの吸血姫は魔族じゃないんだ。
今はまだ吸血鬼としての体質が残ってるけど、いずれ血を必要としなくなる気がする。
それまで、何かで代用できれば……。
あ、ヴァンルーグと同じく、僕の血を飲んでもらうというのはどうだろう?
僕ならどんなに血を飲まれても、すぐ再生できるから死なないしね。もちろん吸血鬼化することもないだろうし。
「あの……キミさえ良ければ、僕の血を飲んでもいいよ?」
「なんだと!? このワシをバカにするな、誰の血でも良いわけではない! 貴様のような小僧の血など……」
グウウウウウウウウウウウウウウ~。
…………なんというデカい腹の音。もちろん、この吸血姫から発せられたモノだ。
血が飲めると思って、急にお腹が空いたのかもしれない。
こんなに空腹ってことは、目が覚めてから誰も人間を襲ってないだろうな。
仮にもっと空腹になっても、この吸血姫は人間を襲うことはしない気がするけど。
「……ふん、寝起きであまりにも腹が減りすぎだから、仕方なく貴様の血を飲んでやる。ありがたく思え」
ぷっ、やせ我慢して変な吸血姫だ。
仕方なく血を飲んでやるだなんて、前代未聞のセリフだろうな。
「なんだ、なんか文句あるのか!?」
「い、いや、まあとにかく、好きなだけ飲んでいいよ」
やりとりが面倒くさくなりそうなので、適当に受け流すことにする。
やっぱりいらないと言われても困るしね。
「それでは血をいただくぞ。少し痛いが我慢せえよ」
「どうぞ遠慮なく」
僕は左腕の袖をまくって、吸血姫の口元へと差し出す。
それを両手で掴んで、吸血姫は一気にかぶり付いた。
「んご? ひゃんだこれは!? 全く血が飲めぬぞ? というか、ワシの牙が跳ね返される!?」
あ、あれ? こりゃどういう事態だ?
吸血姫はガジガジと僕の腕にかじり付いてるけど、どうやら全然血が飲めないようだ。
そういや僕の再生能力だと、この程度の噛み付きじゃ一瞬で治っちゃって、血管まで牙が到達しないかも。
筋肉に阻まれて、牙が押し出されちゃうみたいだし。
「思いっきり噛みちぎるくらいやっていいよ?」
「いや、それでも上手く牙を突き立てられぬ。いったい貴様の身体はどうなっておるのだ? 仕方ない、首に噛みつかせろ」
「ええっ、首はちょっと……」
首に噛みつかれるのはさすがに抵抗あるな。
うーん……そうだ、指とかどうだろう? 指なら、牙が筋肉に跳ね返されるということもないだろうし。
僕は左手の人差し指と中指を揃えて吸血姫の前に出す。
「首の前に、コレで試してみて? ギュッと噛んでいいから」
「このワシに指から飲めだと? ……仕方ない小僧じゃ、どれ、吸うてみるぞ」
吸血姫は僕の指に牙を突き立て、血を吸い上げる。今度は上手くいったようだ。
指からだと飲みづらいかと思ったけど、しかしさすが吸血鬼、吸い上げるパワーがハンパないな。
指からなのに、ゴクゴクと飲んでいくよ。
って、あれ? なんか少し様子がおかしいぞ。
吸血姫は僕の左手を両手で掴み、目の色を変えてむさぼるように僕の血を吸い続ける。
まさに無我夢中といった感じだ。
かなり空腹だったとはいえ、さっきまでの偉そうな態度とはだいぶ違うな。
「き、きひゃま、この血……なんとひう力を秘めておるのひゃ! しんじられにゅ、ヴァンのパワーを遙かに超えるひょ! いやひょんなレベルへはにゃい、コレはでんへちゅの『神の血』ではにゃいのか!?」
吸いながら喋ってるから、ナニ言ってるのかよく分からないな。
『神の血』ってなんだ?
「きひゃまいっひゃいナニモノにゃ! ただのゆうひゃではにゃいな? ほおおお、わひの力がみにゃぎっていくぅ~っ」
吸血姫はまるで赤ん坊のように、僕の指にチューチューと吸い付きながら血を飲んでいる。
……えっと、飲み過ぎじゃない? 確かに好きなだけ飲んでいいとは言ったけど、これ普通の人間ならそろそろ死んじゃうところですよ?
もうしばらく経ったところでようやく吸う量が緩やかになり、そして舐めるような仕草に変わっていった。
傷は瞬時に治っちゃうのでもう指から血は出てないけど、後味を味わっているかのようにしゃぶり続ける。
「あの……も、もういいかな?」
「無粋なヤツめ、久々に血を吸ったのだ、もうしばらく余韻を楽しませろ」
いや、指を一心不乱に舐められてるのは、何かちょっと気恥ずかしいというかバツが悪いというか……。
こんなところ眷女のみんなに見られでもしたら、どんなことになるおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!!!?
「ユーリ……いったい ナ ニ を し て る の か し ら ?」
どわああああっ、メジェール、リノ、フィーリア、ソロル、フラウ、そして久魅那まで……!?
ふと何かの気配に振り返ってみれば、眷女のみんなが鬼の形相で並んでいた。
「変な胸騒ぎがしてアンタの部屋に行ってみれば、結界は無いしアンタは居ないしで、アタシたち凄い心配したのにっ!」
「私の『超五感上昇』でなんとかユーリを探知して、久魅那ちゃんの『時空通穴』で慌てて来てみれば……」
「こんな所で知らない女に指をナメさせていたなんて、殺されても文句は言えませんわよユーリ様」
「っていうか、そいつは魔族……それも吸血鬼じゃないデスか!? ご主人様、ワタシたちにはナニもしてくれないのに、こんな人類の敵とイチャイチャしていたなんて……!」
「ま、まって、違う、誤解だ、僕の話を聞いて……」
そうだ、前にリノが、正直に話せば許してくれると言ってた!
ここは落ち着いて、ちゃんと1からみんなに説明すれば分かってくれるはず。
「あのね、みんな……」
「問答無用っ!」
……リノのうそつき。
みんなの気が済むまでボコられたあと、ようやく吸血姫について説明を求められる。
「で、この吸血鬼はアタシが退治しちゃっていいのね?」
「いやメジェール、彼女は敵じゃないんだ」
「ナニ言ってんの? まさかアンタ、魔族の女にもそんなに甘いの? そんなことじゃ……」
「なんだこの女は? どうも勘に障るヤツだ。このワシを退治するなどと笑わせおる」
「キミは散々勘違いしてたけど、当代の『勇者』は僕じゃなくて、このメジェールなんだよ」
「この小娘が『勇者』だと? バカを言うでない」
「あら、じゃあアタシの力を思い知らせてあげるわ」
「よかろう、ならば我が『吸血姫』の力を知るがいい」
「フフフ、わたくしたちも加勢しますわ。ユーリ様の血を飲んだ罪はその身で償っていただきましょう」
「オレがバラバラに刻んでやるぜ!」
あ~もう、なんで僕の周りはすぐに戦いたがる女の子ばかりなんだ?
みんな血の気が多すぎるよ……。
僕は吸血姫と眷女たちの間に割り込み、戦いを制止する。
「なんなのユーリ!? アンタ本当にこの魔族の肩を持つの?」
「メジェール、みんな、落ち着いて僕の説明を聞いて、この吸血姫は……」
「もうよい、興を削がれた。小娘たちとの決着はいずれ付けよう。一応血をもらった礼は言っておくぞ。さらばだ小僧」
「ちょ、待って! 僕はユーリ、キミの名前はなんていうんだ?」
「…………ゼルマ。ワシの名はゼルマラージャだ」
「ゼルマラージャ……? キミはなぜ僕の所に来た? 死にたかっただけが理由じゃないだろう?」
「……ふん、あやつと……ヴァンルーグと約束したので貴様を探してみたが、だがヤツがおらぬのならもうどうでもよくなったわ」
ヴァンルーグとどんな約束をしたんだろう?
気になるが、今は教えてくれないだろうな。
「……分かった。ゼルマラージャ、また会えるかな?」
「いいや、貴様とはもう二度と会うこともなかろう。……ではさらばだ」
ゼルマラージャが暗い夜空へと消えていく。
血の渇きについては、恐らく人間を襲う心配はないとは思うが……。
勇者ヴァンルーグの居ない世界で、これから彼女はどう生きていくのだろう。
いずれまた会いたいところだ……。
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