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第7章 新国テンプルム
第358話 少女の正体は
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透明化の魔法を使って少女を尾行してみると、かなり街外れにある家に着いた。
まあ家というよりも、風情のあるお屋敷といったような感じの大きな家屋だけど。
周りは石積みの塀に囲まれていて、金属製の門が出入り口となっている。
テンプルムにもこんなお屋敷があったんだな。
国としては当然国内のことは記録管理してあるけど、僕個人としては、次々に作られる建造物を全て把握しているわけじゃない。
なので、見知らぬ建物も結構あるのだ。
とりあえず、門に付いている『呼び出し金具』を叩いて鳴らしてみる。
……出てこない。少女は今さっき家に入っていったので、誰も居ないということはないはず。
もう一度鳴らしてみる。
……やはり出てこない。
こっそり中に入るのは可能だけど、他人の家に勝手に入るのは、王様といえどもやってはいけないことだ。
犯罪の調査とかならともかく、今回は完全に私的な理由だし。
『超能力』スキルの『千里眼』で中を覗くというのも当然アウトだ。
仕方ない、王城に帰って調べればこの家の情報が分かるし、そのあとでもう一度来てみることにしようか。
いや待て、あの少女が犯罪に巻き込まれている可能性もあるのか?
それなら中を調査する理由にはなるけど……うーん、我ながらこじつけで能力を使うようで、あまり気分は良くない。
周囲から特に危険な気配も感じないし、一度帰ってから考え直すかと思ったところ、金属製の門が開いた。
「忙しいというのに、いったいなんのようでしゅ……お前はさっきの坊主!? どうしてここが分かったのでしゅか!?」
こんな小さな子に『坊主』と呼ばれるのは少し違和感があるけど、開けてもらって助かった。
勝手に調べたりするのは気が進まなかったからね。
「あの……ちょっとお尋ねしたいんだけど、ひょっとしてこのお屋敷ってドマ・ギンガイムさんと何か関係あるのでは?」
「ぬおおっ、な、なにを言ってるのでしゅか!? ここがそんなわけないでしゅ!」
あ、ウソを言ってる。
ってことは、ここがドマ・ギンガイムさんの住んでる屋敷なの?
オークションに剣を出品してたから、もしかしてテンプルムに来てるかもって思ってたけど、まさかこんなところに住んでいたなんて!
うわ、どうしよう、会ってみたいと思ってたんだ!
しかし、どうもこの子は何かを隠しているようだし、なんとか信用してもらわないと、このままじゃ僕はただの怪しい男だ。
ドマ・ギンガイムさんに嫌われたくないし、落ち着いて交渉しよう。
「いきなりお伺いして申し訳なかったけど、僕は怪しい者ではないよ。以前からドマ・ギンガイムさんにお会いしたいと思っていただけなんだ」
「だ、だからここは違うと言ってるでしゅ!」
「でも、ドマ・ギンガイムさんの剣をたくさんここに運んでたよね? あんなに持ってる人なんて、そうはいないと思うよ。キミはドマ・ギンガイムさんのお子さんなんじゃ?」
「だ、そっ、んぐ…………坊主、なぜあの剣がドマ・ギンガイムの物だと分かったんでしゅか?」
お、ドマ・ギンガイムの剣って認めてくれた。
ウソつくのは無駄と観念したのかも。
「ドマ・ギンガイムさんの剣は僕の憧れだから、かな」
「そんな理由で分かったと!? 信じられないでしゅ!」
実は、ドマ・ギンガイムさんの剣を1本だけ持ってるんだよね。オークションに何度か出品されていたので、それを競り落としたんだけど。
開催主である僕が買うのはどうかと思ったけど、どうしても1本だけ欲しかったんだ。剣を作る参考にしたかったし。
その素晴らしい出来を、何度も研究や観察してたから気付けたんだ。
ただ、さっきのミスリルソード30本は、ドマ・ギンガイムさんの剣にしては少々完成度が低く感じた。
量産するために手を抜いたのかもしれないけど。
「うぐぐ、アレは出来損ないの剣だったでしゅのに、一目で見破るとは……」
「ところで、あんなにたくさん持ち歩いて、どうしようと思ってたの?」
「……街の武器屋に売りに行ったのでしゅ」
「え? あんなに重い物を持って町まで行ったの? で、なんで持って帰ってきちゃったの?」
「売れなかったんでしゅ。正確には、安値で買いたたかれそうになったから、仕方なく持って帰ってきたんでしゅ」
「安値? ドマ・ギンガイムさんの剣なのに!?」
「製作者の名前は出さなかったでしゅ」
「ええっ、なんで? ドマ・ギンガイム作の剣だと分かれば、かなりの高値が付いただろうに?」
「アレは失敗作でしゅ。アレの製作者を知られたら、ドマの名前に傷が付きましゅ。お前にバレたのも屈辱でしゅ」
名前に傷が付くだなんて、そんなことないと思うけど……。
いや、至高とも言える剣を作る人だから、納得のいかない剣を他人に見られるのが許せないのかもしれない。
だから製作者を隠すために、この小さな子にお使いを頼んだんだろうな。
と、その気持ちは分からなくもないけど、そもそもなんで売ろうとしたんだ?
「名前に傷を付けたくないなら、売らなければいいと思うんだけど?」
「……お金が欲しかったのでしゅ」
「お金? ひょっとしてドマ・ギンガイムさんは、何かお金に困ってるのかい?」
「剣の製作にはお金が掛かるでしゅ。いくらあっても足りないでしゅ。っていうか、ド、ドマは関係ないでしゅ!」
そうか……ドマ・ギンガイムさんはお金を必要としてるのか。
僕でよければ力になるけどなあ。
こんな小さな子に大きな荷物を持たせたということは、アイテムボックスも持ってない可能性が高いな。
きっと、剣作り以外に余計なお金を使う余裕がないのかも?
「そういえば、ドマ・ギンガイムさんは剣作りをやめて隠居していたのに、最近また作り始めた理由をキミは知ってる?」
「ライバルを見つけたからでしゅ。生まれて初めて、他人の剣をすごいと思ったでしゅ。そいつに負けたくないから、引退していた刀剣作りを再開した……ということらしいでしゅ」
へ~っ、ドマ・ギンガイムさんほどの人がライバルと思う存在がいたなんて、初耳だ。
まだまだすごい人はいるんだな。
「いま作っている剣は生涯最高傑作になるはずでしゅが、お金が足らなくなったでしゅ。今まで稼いだお金は全て無くなってしまったでしゅ。このままでは完成させることができない……らしいでしゅ」
ええっ、ドマ・ギンガイムさんの最高傑作が、未完成になりそうだって!?
そんなことは世界の損失だ、絶対にあってはならない!
お金程度で解決するなら、僕が喜んで協力するぞ!
「お嬢ちゃんはそれを助けてあげるために、ミスリルの剣を売りに行ってあげたってことだよね? よかったら、その売ろうとしていた剣を僕が全部買おうか? 製作者の名前も内緒にしてあげるよ」
剣の使い道はいくらでもある。
僕は強力な魔装備を作れるけど、兵士や騎士たちには与えていない。何かに悪用されたら困るからだ。
なので、街の装備屋から仕入れることにしている。
ドマ・ギンガイムさんの武器は、通常の物とは比べものにならないほど使いやすいので、大いに役立ってくれるはず。
「ふん、申し出はありがたいでしゅが、お前のような坊主に払えるような金額ではないでしゅ」
「いくらなの?」
「ずばり、白金貨10000枚でしゅ! なんちゃって~でしゅ。アレなら……」
「そんなもんでいいの? じゃあこれで」
僕はアイテムボックスから白金貨10000枚を取り出して、少女の前に山盛りにして置いた。
もちろんこれは国家の予算なんかではなく、僕のポケットマネーだ。
ちなみに、白金貨10枚あれば、1年くらいは楽に暮らしていけると言われてる。
「どっひゃあああああああ~っ、な、なんでしゅかコレ!?」
「え? だって白金貨10000枚って言ったから……」
「じょ、冗談に決まってるでしゅっ、普通は本気にするヤツなんていないでしゅ! さすがのあたいでも、あの剣30本ならせいぜい500枚がいいとこでしゅのに」
「たった500枚でいいの?」
「うんぎゃ、貰えるものは貰っておくでしゅ! す、すごいお金でしゅ、頭がクラクラするでしゅ! っていうか失敗したでしゅ、こんな世間知らずのボンクラ坊主なら20000枚と言えば良かったでしゅ!」
ドマ・ギンガイムさんの力になれるなら、別に20000枚どころかいくら払ってもいいけど、そんな正直な告白を聞いちゃうとなんか躊躇っちゃうな。
というより、この子はいったいドマ・ギンガイムさんとはどういう関係なんだ?
「買ったついでというわけではないけど、キミが誰なのか教えてほしいな。ギンガイムさんのお子さんでいいのかな?」
「え? あ、あたいは、その……」
少女の目が泳いで、オロオロと挙動不審な動きをする。
そこまで隠さないといけない関係なのかな?
まさかお子さんじゃなくて、ドマ・ギンガイムさんの奥さんなんてことは……?
だとしたら、いくらなんでも幼すぎるということで、世間体を気にして隠すのも無理はないけど。
まあ結婚に年齢制限はないから、誰を妻にしようと自由なんだけどね。
でも、こんな子供が奥さんなんてことはまずないだろうし……。
と、少し気まずい時間が流れたと思ったら、空からこの場へと降りてくる存在が。
「小僧、貴様こんなところでドワーフ女と何をしている?」
ゼルマだった。そういえば、ゼルマの家からここはそんなに離れてなかったな。
……て、えっ? 今なんて言った?
「貴様の気配がこの辺りからずっと消えぬから、少々気になって見に来てみれば、ドワーフ女を口説いておったとはな。まさに呆れかえる女たらしよ」
ドワーフ女? この子、ドワーフなの?
そういえば、身長に対して頭部が若干大きめ、手足も少し短く、そして少々ガッシリしてるかも?
ドワーフの少女って初めて見た。
そもそも少女に限らず、ドワーフの女性は人前に出ることが滅多にないと言われてるので、通常見掛けることはまずない。
ドワーフは女性でもヒゲがあるって聞いたけど、この子はまだ小さいから生えてないのかな?
そうか、あのたくさんのミスリルソードは、ドワーフだからか。
ドワーフ族は、ミスリルを大量に所持してるっていう噂だしね。
それにしても、僕がこんな子供を口説いてると勘違いするなんて、ゼルマも……
ちょっと待てよ、ドワーフもかなり長寿な種族だ。エルフとまではいかなくても、人間よりも遙かに長生きする。
この子も外見は少女でも、実は……なんてことが……?
子供だと思ってたので、まともに『真理の天眼』で見てなかったけど、改めてこの少女の能力を解析してみる。
…………………………………………………………………………。
ウ、ウソ……だろ? 僕は自分の目を疑う。
とても信じられないけど、この子、いや、この人が……。
ドマ・ギンガイムさんだったのか!
まあ家というよりも、風情のあるお屋敷といったような感じの大きな家屋だけど。
周りは石積みの塀に囲まれていて、金属製の門が出入り口となっている。
テンプルムにもこんなお屋敷があったんだな。
国としては当然国内のことは記録管理してあるけど、僕個人としては、次々に作られる建造物を全て把握しているわけじゃない。
なので、見知らぬ建物も結構あるのだ。
とりあえず、門に付いている『呼び出し金具』を叩いて鳴らしてみる。
……出てこない。少女は今さっき家に入っていったので、誰も居ないということはないはず。
もう一度鳴らしてみる。
……やはり出てこない。
こっそり中に入るのは可能だけど、他人の家に勝手に入るのは、王様といえどもやってはいけないことだ。
犯罪の調査とかならともかく、今回は完全に私的な理由だし。
『超能力』スキルの『千里眼』で中を覗くというのも当然アウトだ。
仕方ない、王城に帰って調べればこの家の情報が分かるし、そのあとでもう一度来てみることにしようか。
いや待て、あの少女が犯罪に巻き込まれている可能性もあるのか?
それなら中を調査する理由にはなるけど……うーん、我ながらこじつけで能力を使うようで、あまり気分は良くない。
周囲から特に危険な気配も感じないし、一度帰ってから考え直すかと思ったところ、金属製の門が開いた。
「忙しいというのに、いったいなんのようでしゅ……お前はさっきの坊主!? どうしてここが分かったのでしゅか!?」
こんな小さな子に『坊主』と呼ばれるのは少し違和感があるけど、開けてもらって助かった。
勝手に調べたりするのは気が進まなかったからね。
「あの……ちょっとお尋ねしたいんだけど、ひょっとしてこのお屋敷ってドマ・ギンガイムさんと何か関係あるのでは?」
「ぬおおっ、な、なにを言ってるのでしゅか!? ここがそんなわけないでしゅ!」
あ、ウソを言ってる。
ってことは、ここがドマ・ギンガイムさんの住んでる屋敷なの?
オークションに剣を出品してたから、もしかしてテンプルムに来てるかもって思ってたけど、まさかこんなところに住んでいたなんて!
うわ、どうしよう、会ってみたいと思ってたんだ!
しかし、どうもこの子は何かを隠しているようだし、なんとか信用してもらわないと、このままじゃ僕はただの怪しい男だ。
ドマ・ギンガイムさんに嫌われたくないし、落ち着いて交渉しよう。
「いきなりお伺いして申し訳なかったけど、僕は怪しい者ではないよ。以前からドマ・ギンガイムさんにお会いしたいと思っていただけなんだ」
「だ、だからここは違うと言ってるでしゅ!」
「でも、ドマ・ギンガイムさんの剣をたくさんここに運んでたよね? あんなに持ってる人なんて、そうはいないと思うよ。キミはドマ・ギンガイムさんのお子さんなんじゃ?」
「だ、そっ、んぐ…………坊主、なぜあの剣がドマ・ギンガイムの物だと分かったんでしゅか?」
お、ドマ・ギンガイムの剣って認めてくれた。
ウソつくのは無駄と観念したのかも。
「ドマ・ギンガイムさんの剣は僕の憧れだから、かな」
「そんな理由で分かったと!? 信じられないでしゅ!」
実は、ドマ・ギンガイムさんの剣を1本だけ持ってるんだよね。オークションに何度か出品されていたので、それを競り落としたんだけど。
開催主である僕が買うのはどうかと思ったけど、どうしても1本だけ欲しかったんだ。剣を作る参考にしたかったし。
その素晴らしい出来を、何度も研究や観察してたから気付けたんだ。
ただ、さっきのミスリルソード30本は、ドマ・ギンガイムさんの剣にしては少々完成度が低く感じた。
量産するために手を抜いたのかもしれないけど。
「うぐぐ、アレは出来損ないの剣だったでしゅのに、一目で見破るとは……」
「ところで、あんなにたくさん持ち歩いて、どうしようと思ってたの?」
「……街の武器屋に売りに行ったのでしゅ」
「え? あんなに重い物を持って町まで行ったの? で、なんで持って帰ってきちゃったの?」
「売れなかったんでしゅ。正確には、安値で買いたたかれそうになったから、仕方なく持って帰ってきたんでしゅ」
「安値? ドマ・ギンガイムさんの剣なのに!?」
「製作者の名前は出さなかったでしゅ」
「ええっ、なんで? ドマ・ギンガイム作の剣だと分かれば、かなりの高値が付いただろうに?」
「アレは失敗作でしゅ。アレの製作者を知られたら、ドマの名前に傷が付きましゅ。お前にバレたのも屈辱でしゅ」
名前に傷が付くだなんて、そんなことないと思うけど……。
いや、至高とも言える剣を作る人だから、納得のいかない剣を他人に見られるのが許せないのかもしれない。
だから製作者を隠すために、この小さな子にお使いを頼んだんだろうな。
と、その気持ちは分からなくもないけど、そもそもなんで売ろうとしたんだ?
「名前に傷を付けたくないなら、売らなければいいと思うんだけど?」
「……お金が欲しかったのでしゅ」
「お金? ひょっとしてドマ・ギンガイムさんは、何かお金に困ってるのかい?」
「剣の製作にはお金が掛かるでしゅ。いくらあっても足りないでしゅ。っていうか、ド、ドマは関係ないでしゅ!」
そうか……ドマ・ギンガイムさんはお金を必要としてるのか。
僕でよければ力になるけどなあ。
こんな小さな子に大きな荷物を持たせたということは、アイテムボックスも持ってない可能性が高いな。
きっと、剣作り以外に余計なお金を使う余裕がないのかも?
「そういえば、ドマ・ギンガイムさんは剣作りをやめて隠居していたのに、最近また作り始めた理由をキミは知ってる?」
「ライバルを見つけたからでしゅ。生まれて初めて、他人の剣をすごいと思ったでしゅ。そいつに負けたくないから、引退していた刀剣作りを再開した……ということらしいでしゅ」
へ~っ、ドマ・ギンガイムさんほどの人がライバルと思う存在がいたなんて、初耳だ。
まだまだすごい人はいるんだな。
「いま作っている剣は生涯最高傑作になるはずでしゅが、お金が足らなくなったでしゅ。今まで稼いだお金は全て無くなってしまったでしゅ。このままでは完成させることができない……らしいでしゅ」
ええっ、ドマ・ギンガイムさんの最高傑作が、未完成になりそうだって!?
そんなことは世界の損失だ、絶対にあってはならない!
お金程度で解決するなら、僕が喜んで協力するぞ!
「お嬢ちゃんはそれを助けてあげるために、ミスリルの剣を売りに行ってあげたってことだよね? よかったら、その売ろうとしていた剣を僕が全部買おうか? 製作者の名前も内緒にしてあげるよ」
剣の使い道はいくらでもある。
僕は強力な魔装備を作れるけど、兵士や騎士たちには与えていない。何かに悪用されたら困るからだ。
なので、街の装備屋から仕入れることにしている。
ドマ・ギンガイムさんの武器は、通常の物とは比べものにならないほど使いやすいので、大いに役立ってくれるはず。
「ふん、申し出はありがたいでしゅが、お前のような坊主に払えるような金額ではないでしゅ」
「いくらなの?」
「ずばり、白金貨10000枚でしゅ! なんちゃって~でしゅ。アレなら……」
「そんなもんでいいの? じゃあこれで」
僕はアイテムボックスから白金貨10000枚を取り出して、少女の前に山盛りにして置いた。
もちろんこれは国家の予算なんかではなく、僕のポケットマネーだ。
ちなみに、白金貨10枚あれば、1年くらいは楽に暮らしていけると言われてる。
「どっひゃあああああああ~っ、な、なんでしゅかコレ!?」
「え? だって白金貨10000枚って言ったから……」
「じょ、冗談に決まってるでしゅっ、普通は本気にするヤツなんていないでしゅ! さすがのあたいでも、あの剣30本ならせいぜい500枚がいいとこでしゅのに」
「たった500枚でいいの?」
「うんぎゃ、貰えるものは貰っておくでしゅ! す、すごいお金でしゅ、頭がクラクラするでしゅ! っていうか失敗したでしゅ、こんな世間知らずのボンクラ坊主なら20000枚と言えば良かったでしゅ!」
ドマ・ギンガイムさんの力になれるなら、別に20000枚どころかいくら払ってもいいけど、そんな正直な告白を聞いちゃうとなんか躊躇っちゃうな。
というより、この子はいったいドマ・ギンガイムさんとはどういう関係なんだ?
「買ったついでというわけではないけど、キミが誰なのか教えてほしいな。ギンガイムさんのお子さんでいいのかな?」
「え? あ、あたいは、その……」
少女の目が泳いで、オロオロと挙動不審な動きをする。
そこまで隠さないといけない関係なのかな?
まさかお子さんじゃなくて、ドマ・ギンガイムさんの奥さんなんてことは……?
だとしたら、いくらなんでも幼すぎるということで、世間体を気にして隠すのも無理はないけど。
まあ結婚に年齢制限はないから、誰を妻にしようと自由なんだけどね。
でも、こんな子供が奥さんなんてことはまずないだろうし……。
と、少し気まずい時間が流れたと思ったら、空からこの場へと降りてくる存在が。
「小僧、貴様こんなところでドワーフ女と何をしている?」
ゼルマだった。そういえば、ゼルマの家からここはそんなに離れてなかったな。
……て、えっ? 今なんて言った?
「貴様の気配がこの辺りからずっと消えぬから、少々気になって見に来てみれば、ドワーフ女を口説いておったとはな。まさに呆れかえる女たらしよ」
ドワーフ女? この子、ドワーフなの?
そういえば、身長に対して頭部が若干大きめ、手足も少し短く、そして少々ガッシリしてるかも?
ドワーフの少女って初めて見た。
そもそも少女に限らず、ドワーフの女性は人前に出ることが滅多にないと言われてるので、通常見掛けることはまずない。
ドワーフは女性でもヒゲがあるって聞いたけど、この子はまだ小さいから生えてないのかな?
そうか、あのたくさんのミスリルソードは、ドワーフだからか。
ドワーフ族は、ミスリルを大量に所持してるっていう噂だしね。
それにしても、僕がこんな子供を口説いてると勘違いするなんて、ゼルマも……
ちょっと待てよ、ドワーフもかなり長寿な種族だ。エルフとまではいかなくても、人間よりも遙かに長生きする。
この子も外見は少女でも、実は……なんてことが……?
子供だと思ってたので、まともに『真理の天眼』で見てなかったけど、改めてこの少女の能力を解析してみる。
…………………………………………………………………………。
ウ、ウソ……だろ? 僕は自分の目を疑う。
とても信じられないけど、この子、いや、この人が……。
ドマ・ギンガイムさんだったのか!
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