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第7章 新国テンプルム
第359話 守銭奴?
子供だと思ってた少女は、なんとドワーフだった。
僕には分からなかったが、ゼルマはその正体に一目で気付いたらしい。
そして解析してみると、その身体能力は大人顔負けどころか、超一流の戦士のそれだった。
ドワーフは小さな身体ながら、通常の人間では到底敵わないほどの怪力と強靱な肉体を持っていて、そして魔法に対する耐性も高い。
この少女(?)は戦闘スキルのレベルも非常に高く、ドワーフの中でも相当上位の力を持っていると思われる。
まさに超人的な戦士で、恐らく本職は鍛冶師のはずなのに、剣妃ゾディーさんクラスの強さはあるだろう。
こんな子が1人で歩いてて心配したけど、そもそもこの子に勝てる人なんてそうはいないのだ。
そして持っている称号はSSランクの『天匠鍛人』。
これは鍛冶と錬金を併せ持つような能力らしく、通常の刀剣製作では到達できないような品質の剣を生み出すことができるらしい。
ちなみに、僕の『魔道具作製』スキルと違って、完成品の剣がポンと出てくるわけじゃなく、あくまでも鍛冶能力を上げる称号だ。
そう、この幼い少女こそ、ドマ・ギンガイムその人に違いない。こんな能力を持つ人がほかにいるとも思えないし、ドワーフだったのも納得だ。
ドワーフ族は高い身体能力以外にも非常に器用という特性があり、鍛冶の技術も他の種族の追随を許さず、名工と呼ばれる鍛冶屋は大抵ドワーフだからだ。
しかしそうなると、当然だけど見た目通りの年齢じゃないな。
なんてったって、数十年にわたって剣を作り続けていた人だ。僕のことを『坊主』なんて呼んでるし、僕よりもかなり上と思っていいだろう。
敬語を使わないと!
「あの……あなたが伝説の鍛冶師ドマ・ギンガイムさんですよね?」
一応確認のため、少女に訊いてみる。
「あ、あたいがそのドマというヤツなわけないでしゅ! まだ子供でしゅよ?」
「なんだこのドワーフ女は。貴様100歳を超えているのではないのか? ワシの目はごまかせぬぞ」
「な、なんで分かるんでしゅか!? ヒゲまで剃ってるというのに……お前いったい何者でしゅっ?」
ひゃ……100歳だって!?
いや、それくらいでも全然おかしくないのか。
それにしても、少女をドワーフと見破ったことといい、ゼルマはすごいな。
まあ長年生きてるから、ドワーフの女性をたくさん見ているのかもしれないけど。
「うう~、……そうでしゅ、あたいがドマ・ギンガイムでしゅ」
観念した少女(見た目)は、とうとうドマ本人だということを認めた。
こんな幼い子が天才鍛冶師だなんて誰も思わないだろうから、長い間その正体が謎とされていたのも当然だ。
「やっぱり! お会いできて光栄です。それにしても、よくその姿で隠し通せましたね?」
「売買や契約などの仲介は、知り合いのドワーフに頼んでやってもらってるでしゅ。しかし不覚でしゅ、人間にバレたことなんて一度も無かったでしゅのに……」
「安心しろ、ワシは人間ではなく吸血鬼だ。ドワーフくらいは見た目や匂いで簡単に分かる」
ああ、ゼルマ、吸血鬼だということは内緒にって言ったのに!
うっかり喋っちゃったんだろうけど……。
「きゅ、吸血鬼~っ!? ……ほ、本当でしゅ、この気配はウソではないでしゅ! 大変でしゅ、なんでこんな所に吸血鬼が!? おのれ、今すぐあたいが退治してやるでしゅ!」
そう言うが早いか、ドマさんは腰に下げていた剣を抜いてゼルマに斬り掛かる。
見た目は幼い子供なのに、それは超一流の動きだった。
その鋭い一撃でゼルマを斬り捨てようとしたが、その剣をゼルマは易々と片手で掴んで止めた。
「あ、あたいの斬撃を片手で!? お前、ただの吸血鬼じゃないでしゅね!?」
「ワシは『吸血姫』だ。ドワーフ如きに負けはせぬ」
「ならば、あたいも奥義で応えるしかないでしゅ! 今あたいの愛剣を取ってくるから、そこで待ってるでしゅ!」
「あ~待って待って、ドマさん、この吸血鬼は敵じゃないんです!」
死闘が始まりそうになっちゃったんで、慌ててドマさんを止める。
まあゼルマのほうはまるで相手にはしてないようだけど、こじれちゃうのは困る。
僕は丁寧に1からゼルマのことを説明した。
「ほう、そういうことでしゅか。なら退治するのは勘弁してやるでしゅ」
「ドマさん、信じていただけるんですか?」
「坊主はあたいの剣を言い値で買ってくれたでしゅからね。それにこう見えても長く生きてましゅし、人を見る目はあるでしゅよ」
こ……こんなにいい人は初めてかもしれない。
今まで分からず屋の人ばかりだったから……。
「その代わり、吸血鬼のことをバラさない口止め料として白金貨100枚よこせでしゅ。……いや、やっぱり200枚にするでしゅ。いいでしゅね?」
そうきたか。
理解力のあるやさしい人格者だと思ってたのに、世の中そう上手くはいかないもんだなあ……ドマさんて、ひょっとして守銭奴なのかな?
まあお金で解決できるなら、それに越したことはないか。
僕はアイテムボックスから白金貨200枚取り出して、積み上がっているお金の山に追加する。
「ぼ、坊主、お前本当に金持ちでしゅ! こんなにあっさりくれるなら、1000枚と言えば良かったでしゅ、あたいとしたことがうっかり手加減しちまったでしゅ」
「じゃ、じゃあ1000枚にしますか?」
「……くっ、それはいいでしゅ、一度言ったことを変えると、あたいの信用問題に関わるでしゅ」
変なことに律儀だなあ……よく分からない倫理観だ。
まあでも、自分が言った値段をコロコロ変えたら、取り引きするときに信用されなくなっちゃうか。
守銭奴でも、その辺の常識はあるみたいだ。
「それでは坊主、良い取り引きをしてくれて感謝するでしゅ」
「あ、待ってドマさん!」
「まだ何か用があるでしゅか?」
門を閉めようとするドマさんを、慌てて僕は引き留めた。
むしろ、僕の目的はここからが本題なのだから。
「ドマさん、実はあなたの鍛冶作業を見学したいのですが……」
そう、天才鍛冶師ドマさんが、どのように剣を作るのかが見たかったんだ。
天才の仕事を直に見ることで、今後の魔装備作りに大きなプラスとなるはずだ。
「あたいの仕事を見るというのでしゅか!? なんという図々しい坊主でしゅ。あたいの剣作りは門外不出の技術でしゅ、赤の他人に見せるなんてプライドが許さないでしゅ!」
ああ、やっぱりそうだよね。部外者なのに見せてもらおうなんて失礼だよね。
ドマさんが長い年月を掛けて会得した秘伝の技だろうし、当然の反応だ。
でも、ちょっとだけでもいいから見てみたいなあ……。
……お金払えば見せてくれたりするかな?
いや、ドマさんがお金に困っているとはいえ、さすがにそれは失礼か。技術はお金で買えるモノじゃないしね。
…………一応、聞くだけ聞いてみようかな?
「あの……白金貨1000枚お支払いしますから、ちょっとだけ見せてもらうなんてことは……?」
「ぼっ、坊主っ、お前というヤツは、お前というヤツは……!」
まずい、怒らせちゃった!? ドマさんは目を見開いて、小さな身体を震わせる。
いくらなんでもこれは失礼すぎたよね、お金で懐柔しようだなんて我ながら最低だった。
もしくは、白金貨1000枚というのが安すぎたという可能性も?
ドマさんほどの天才鍛冶師に対して、白金貨1000枚は安く見積もりすぎた。
それこそ、10000……いや20000枚以上お支払いしなくては、技術の公開に釣り合わないはずだ。
どのみちドマさんのプライドを傷付けてしまった。すぐに謝ろう!
「あ、あの、すみま……」
「そういうことはもっと早く言えでしゅ! 実を言うと、隠す技術なんて何もないでしゅ、喜んで見せてやるでしゅ~っ!」
………………………………えっ、OKなの?
よほど嬉しいのか、ドマさんは小さな手足をバタ付かせながら小躍りしている。
自分でお願いしておいてなんだけど、そのドマさんのあまりの歓喜ぶりにちょっと引いちゃうんですが……プライドってなんだろう?
僕が1000枚の白金貨を出すと、ドマさんは満面の笑顔で僕を門の中に迎え入れた。
僕には分からなかったが、ゼルマはその正体に一目で気付いたらしい。
そして解析してみると、その身体能力は大人顔負けどころか、超一流の戦士のそれだった。
ドワーフは小さな身体ながら、通常の人間では到底敵わないほどの怪力と強靱な肉体を持っていて、そして魔法に対する耐性も高い。
この少女(?)は戦闘スキルのレベルも非常に高く、ドワーフの中でも相当上位の力を持っていると思われる。
まさに超人的な戦士で、恐らく本職は鍛冶師のはずなのに、剣妃ゾディーさんクラスの強さはあるだろう。
こんな子が1人で歩いてて心配したけど、そもそもこの子に勝てる人なんてそうはいないのだ。
そして持っている称号はSSランクの『天匠鍛人』。
これは鍛冶と錬金を併せ持つような能力らしく、通常の刀剣製作では到達できないような品質の剣を生み出すことができるらしい。
ちなみに、僕の『魔道具作製』スキルと違って、完成品の剣がポンと出てくるわけじゃなく、あくまでも鍛冶能力を上げる称号だ。
そう、この幼い少女こそ、ドマ・ギンガイムその人に違いない。こんな能力を持つ人がほかにいるとも思えないし、ドワーフだったのも納得だ。
ドワーフ族は高い身体能力以外にも非常に器用という特性があり、鍛冶の技術も他の種族の追随を許さず、名工と呼ばれる鍛冶屋は大抵ドワーフだからだ。
しかしそうなると、当然だけど見た目通りの年齢じゃないな。
なんてったって、数十年にわたって剣を作り続けていた人だ。僕のことを『坊主』なんて呼んでるし、僕よりもかなり上と思っていいだろう。
敬語を使わないと!
「あの……あなたが伝説の鍛冶師ドマ・ギンガイムさんですよね?」
一応確認のため、少女に訊いてみる。
「あ、あたいがそのドマというヤツなわけないでしゅ! まだ子供でしゅよ?」
「なんだこのドワーフ女は。貴様100歳を超えているのではないのか? ワシの目はごまかせぬぞ」
「な、なんで分かるんでしゅか!? ヒゲまで剃ってるというのに……お前いったい何者でしゅっ?」
ひゃ……100歳だって!?
いや、それくらいでも全然おかしくないのか。
それにしても、少女をドワーフと見破ったことといい、ゼルマはすごいな。
まあ長年生きてるから、ドワーフの女性をたくさん見ているのかもしれないけど。
「うう~、……そうでしゅ、あたいがドマ・ギンガイムでしゅ」
観念した少女(見た目)は、とうとうドマ本人だということを認めた。
こんな幼い子が天才鍛冶師だなんて誰も思わないだろうから、長い間その正体が謎とされていたのも当然だ。
「やっぱり! お会いできて光栄です。それにしても、よくその姿で隠し通せましたね?」
「売買や契約などの仲介は、知り合いのドワーフに頼んでやってもらってるでしゅ。しかし不覚でしゅ、人間にバレたことなんて一度も無かったでしゅのに……」
「安心しろ、ワシは人間ではなく吸血鬼だ。ドワーフくらいは見た目や匂いで簡単に分かる」
ああ、ゼルマ、吸血鬼だということは内緒にって言ったのに!
うっかり喋っちゃったんだろうけど……。
「きゅ、吸血鬼~っ!? ……ほ、本当でしゅ、この気配はウソではないでしゅ! 大変でしゅ、なんでこんな所に吸血鬼が!? おのれ、今すぐあたいが退治してやるでしゅ!」
そう言うが早いか、ドマさんは腰に下げていた剣を抜いてゼルマに斬り掛かる。
見た目は幼い子供なのに、それは超一流の動きだった。
その鋭い一撃でゼルマを斬り捨てようとしたが、その剣をゼルマは易々と片手で掴んで止めた。
「あ、あたいの斬撃を片手で!? お前、ただの吸血鬼じゃないでしゅね!?」
「ワシは『吸血姫』だ。ドワーフ如きに負けはせぬ」
「ならば、あたいも奥義で応えるしかないでしゅ! 今あたいの愛剣を取ってくるから、そこで待ってるでしゅ!」
「あ~待って待って、ドマさん、この吸血鬼は敵じゃないんです!」
死闘が始まりそうになっちゃったんで、慌ててドマさんを止める。
まあゼルマのほうはまるで相手にはしてないようだけど、こじれちゃうのは困る。
僕は丁寧に1からゼルマのことを説明した。
「ほう、そういうことでしゅか。なら退治するのは勘弁してやるでしゅ」
「ドマさん、信じていただけるんですか?」
「坊主はあたいの剣を言い値で買ってくれたでしゅからね。それにこう見えても長く生きてましゅし、人を見る目はあるでしゅよ」
こ……こんなにいい人は初めてかもしれない。
今まで分からず屋の人ばかりだったから……。
「その代わり、吸血鬼のことをバラさない口止め料として白金貨100枚よこせでしゅ。……いや、やっぱり200枚にするでしゅ。いいでしゅね?」
そうきたか。
理解力のあるやさしい人格者だと思ってたのに、世の中そう上手くはいかないもんだなあ……ドマさんて、ひょっとして守銭奴なのかな?
まあお金で解決できるなら、それに越したことはないか。
僕はアイテムボックスから白金貨200枚取り出して、積み上がっているお金の山に追加する。
「ぼ、坊主、お前本当に金持ちでしゅ! こんなにあっさりくれるなら、1000枚と言えば良かったでしゅ、あたいとしたことがうっかり手加減しちまったでしゅ」
「じゃ、じゃあ1000枚にしますか?」
「……くっ、それはいいでしゅ、一度言ったことを変えると、あたいの信用問題に関わるでしゅ」
変なことに律儀だなあ……よく分からない倫理観だ。
まあでも、自分が言った値段をコロコロ変えたら、取り引きするときに信用されなくなっちゃうか。
守銭奴でも、その辺の常識はあるみたいだ。
「それでは坊主、良い取り引きをしてくれて感謝するでしゅ」
「あ、待ってドマさん!」
「まだ何か用があるでしゅか?」
門を閉めようとするドマさんを、慌てて僕は引き留めた。
むしろ、僕の目的はここからが本題なのだから。
「ドマさん、実はあなたの鍛冶作業を見学したいのですが……」
そう、天才鍛冶師ドマさんが、どのように剣を作るのかが見たかったんだ。
天才の仕事を直に見ることで、今後の魔装備作りに大きなプラスとなるはずだ。
「あたいの仕事を見るというのでしゅか!? なんという図々しい坊主でしゅ。あたいの剣作りは門外不出の技術でしゅ、赤の他人に見せるなんてプライドが許さないでしゅ!」
ああ、やっぱりそうだよね。部外者なのに見せてもらおうなんて失礼だよね。
ドマさんが長い年月を掛けて会得した秘伝の技だろうし、当然の反応だ。
でも、ちょっとだけでもいいから見てみたいなあ……。
……お金払えば見せてくれたりするかな?
いや、ドマさんがお金に困っているとはいえ、さすがにそれは失礼か。技術はお金で買えるモノじゃないしね。
…………一応、聞くだけ聞いてみようかな?
「あの……白金貨1000枚お支払いしますから、ちょっとだけ見せてもらうなんてことは……?」
「ぼっ、坊主っ、お前というヤツは、お前というヤツは……!」
まずい、怒らせちゃった!? ドマさんは目を見開いて、小さな身体を震わせる。
いくらなんでもこれは失礼すぎたよね、お金で懐柔しようだなんて我ながら最低だった。
もしくは、白金貨1000枚というのが安すぎたという可能性も?
ドマさんほどの天才鍛冶師に対して、白金貨1000枚は安く見積もりすぎた。
それこそ、10000……いや20000枚以上お支払いしなくては、技術の公開に釣り合わないはずだ。
どのみちドマさんのプライドを傷付けてしまった。すぐに謝ろう!
「あ、あの、すみま……」
「そういうことはもっと早く言えでしゅ! 実を言うと、隠す技術なんて何もないでしゅ、喜んで見せてやるでしゅ~っ!」
………………………………えっ、OKなの?
よほど嬉しいのか、ドマさんは小さな手足をバタ付かせながら小躍りしている。
自分でお願いしておいてなんだけど、そのドマさんのあまりの歓喜ぶりにちょっと引いちゃうんですが……プライドってなんだろう?
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