文字の大きさ
大
中
小
203 / 258
第7章 新国テンプルム
第370話 至高の召喚士
「魔王ユーリよ、八つ裂きになるがいい、『斬鉄刃嵐舞』!」
帝国からの使者――『至高の召喚士』ラスティマが、精霊を召喚する。
これは……風の精霊『盾斬りイイズナ』か!
長い尻尾が特徴的な1mほどの可愛い動物の姿をしているが、その鋭い風刃は金属すら切断する能力を持ち、相手を盾ごと斬り刻むという強力な精霊だ。
通常は1体しか召喚できないはずだが、ラスティマは10体も喚び出している。凄い制御力だ。
なるほど、コレで僕のゴーレムを真っ二つにしたのか。
それにしても、僕のゴーレムだって弱くない。そう簡単には斬られないはずだけど、この『盾斬りイイズナ』は力が漲っている。
恐らく、通常の数倍の強さはあるだろう。
精霊の召喚は、術者の能力によって喚び出される精霊の力も変わる。弱い者が喚び出しても、精霊の力は上手く発揮できない。
だがこの『盾斬りイイズナ』は、見たことないほどの精霊力を秘めている。
『至高の召喚士』とも呼ばれているラスティマは、それほど能力が高いということか。
しかし、『盾斬りイイズナ』程度は、残念ながら僕には通じない。
10体もの精霊が目にもとまらぬ速さで乱舞するが、僕は棒立ちのまま、その攻撃を全て受けまくった。
「な……なんだと!? ワタシの斬鉄刃を受けて無傷だというのですか!?」
「『至高の召喚士』ともあろう人が、こんな可愛い精霊をけしかけて、僕をどうしたいんだ?」
「クッ、あなたを少しナメ過ぎてしまったようですね……では、本気でやらせていただきましょう!」
ラスティマはまた次の詠唱を始める。
召喚魔法は、通常の魔法よりも強力なモノが多い。精霊の力は、人間を遙かに凌駕しているからだ。
「出でよ、『蒼白に輝く大火竜』! この男を焼き殺し、この国全てを焦土と化すのです!」
ラスティマが喚び出したのは、火の精霊『火蜥蜴』の最上位種で、青白い炎を纏った15mほどの火竜だった。
外見はドラゴンに酷似しているけど、竜族ではなくて火の精霊なので、大きさはドラゴンよりも小さい。
しかしその力は、体長5mの下級『火蜥蜴』ですら、ノーマルドラゴンのブレスに匹敵するほどの火力がある。
その上位種の『灰燼の火竜』は10mほどの大きさで、場合によっては1つの町を壊滅させるほどの破壊力だ。
そしてこの『蒼白に輝く大火竜』は、邪黒竜にも匹敵するほど危険な存在で、まず喚び出せる人なんていない。
仮に召喚できたとしても、力を上手く発揮させるのは難しく、そして長時間の制御も無理だ。
すぐにコントロール不能となって帰還してしまうだろう。
しかし、この『蒼白に輝く大火竜』は、文句なしの力を発揮できているようだ。
その身体から発する超高熱の炎で、頑丈に作った『王の間』の壁が熔け出している。
制御も非常に安定しているし、確かにこのテンプルム国を焼き尽くすほど、長時間召喚し続けることも可能かもしれない。
「さあ行くのです『蒼白に輝く大火竜』!」
ラスティマがけしかけると、青白い火竜は僕のもとにまっすぐ突っ込んできた。
触れたモノ全てを瞬時に蒸発させるその突進を、僕は左手1本で止める。
もちろん、この程度の火力では、僕の身体には傷1つ付きはしない。
「こ……れは…………な、なぜあなたは消滅しないのです!? これ1体で、この国全てを焼き払えるほどなのに……!」
「この程度で? この王城の壁を溶かすくらいがせいぜいじゃないの?」
僕が手で押さえていると、『蒼白に輝く大火竜』は大人しくなり、そのまま精霊界へと還っていった。
まあ確かに凄いけど、僕はサクヤが喚び出した精霊の王『闇の炎王』と戦っているからね。
火竜を倒すのも簡単だけど、精霊を攻撃するのは可哀想だから、素直に攻撃を喰らってあげたよ。
それにしても、凄い召喚力だ。いくら『至高の召喚士』といっても、明らかにおかしい。
それに、『石化視線』をラスティマに使ってみたけど、まるで効果がない。
僕の強力な石化攻撃をモノともしないとは……やはり『亜天使』というのが謎のカギとなりそうだ。
「そ、そうか……なるほど、『魔王ユーリ』と呼ばれるだけはある。ここまでの存在とは、ワタシも思っていませんでしたよ。ならば、このワタシの最大の召喚術でお前を屠ろうではないか! 四神に申し上げる! 色成す物、音成す物、匂い成す物、痛み成す物……」
あ、この詠唱って……コイツ、こんな魔法まで使えるのか!
「黄泉の果て、常世の地より四死を招き、円環の理の外の外、死せる王のもとに、その昏き肉と冥き魂を捧げる……死界召喚『四死神酷虐葬送』っ!」
凄いな、『精霊召喚』で『界域魔法』を再現するとは……!
『魔術言語』を補足詠唱して、強引に『地獄の門』を開いたんだ!
こんなことは普通は無理だけど、これも『亜天使』という謎の力が関係しているのかもしれない。
しかし、まさかこれほど強力な魔法が使えるなんて驚きだ。
召喚が成功し、僕の周りの四方から4体の死神王が浮上してくる。
「ふはははっ、生ける者全てを地獄へと導く死の王だ! さすがの貴様でも、彼らには敵うまい!」
10mにもなる巨大な死神王たちは、地上に顕現してじっと僕を見つめたあと、静かにまた地の底へと還っていった。
死神王たちも、僕には敵わないことを感じたんだろう。
彼らは無駄なことなどしない。
「そ……んなバカな……地獄の王だぞ、人間では勝てるはずなどないのに……」
「何を言ってるんだ。僕は『魔界の王』だぞ。地獄の王などに負けはしない」
誤解が解けてからは『魔王』ということを否定してきた僕だけど、帝国相手には、『魔王』と思わせたほうが得策かもしれない。
そのほうが、『魔王』という存在に対して危機感を持ってくれるかもしれないからだ。ラスティマの発言を聞く限りでは、帝国は魔王軍をナメきっているからね。
僕のことで帝国が警戒心を強めてくれるなら、『魔王』のフリをする意味がある。
帝国以外の各国は僕のことを信頼してくれているから、もう誤解は起こらないだろうし。
「ほ……本物の『魔王』だというのですか!? 『魔王』が、国を作ったと?」
「その通りだ。証拠を見せてやろう……『炎駒』よ、来い!」
僕は神獣界から『炎駒』を喚び出した。
かなり大きいだけに、この『王の間』の天井まで『炎駒』の頭が届いちゃっているけどね。狭くてゴメン。
ちなみに、『赤き天馬』のときのように常時燃えているわけじゃないので、そばに居ても別段熱くはない。
「ごぉっ、おおおおおおっ!? こ……これは精霊なのか!? こんな怪物など見たことないぞっ」
「魔獣王『炎駒』の伝説を知らないのか? 『炎駒』は僕の部下だ」
「『炎駒』だとっ!? そ、そんなの神話の存在ではないか!? それが魔王の配下だと!?」
「そういうことだ。ほかにも超巨大竜『熾光魔竜』もいる。僕が本気になれば、帝国を滅ぼすことなんて造作もない。それを皇帝に伝えろ。侵略など考えずに、自国を守ることだけ考えるんだ!」
こう言えば、帝国も馬鹿な考えを改めるんじゃないか?
「はあはあ、魔王軍がすでに国を作っていたなんて……。しかし、確かに『炎駒』は脅威ですが、それだけでは我が帝国には勝てませんよ。『帝国神命十二騎士』の力を侮られては困ります」
『帝国神命十二騎士』……皇帝直下の最強親衛隊か! それが、この『炎駒』や『熾光魔竜』よりも強くなっていると?
それも『亜天使』の力だというのか?
『亜天使』とは、いったいなんなんだ!?
「……そっちこそ、『魔王』を侮っているんじゃないのか? 僕の力をもう少し思い知ってもらおう!」
僕はラスティマの全スキルを強奪する。
『精霊召喚』も当然奪ったが、しかし、『亜天使』の能力は奪えなかった。
スキルとは違う力ということか……。
「今お前の全てのスキルを強奪した。お前はもう『至高の召喚士』ではない」
「強奪……? ああっ、無いっ! ワタシの『精霊召喚』が、スキルが全て無くなっている!? こ、こんな力まであるというのか!?」
「分かったか? これでもまだ足らないというなら、お前の命を……」
「ま、ま、待て、待ってくれ、ワ、ワタシに手を出すな、ひひひ人質がどうなってもいいのか!?」
「人質……? なんのことだ!?」
「ワタシはこの国に1人で来たわけじゃない、帝国軍総軍団長パグローム様と一緒に来たのだ! パグローム様は交渉などわずらわしいことが苦手なので、別行動をされている」
パグロームだって!? 『灰色の殺戮王』の異名を持つ、帝国軍の司令官じゃないか!
帝国軍の最高司令官はドラコス将軍だけど、実質的に軍を指揮しているのはパグロームだという。
そして、戦いでは殺戮の限りを尽くす、どう猛な戦闘狂だ。
そんなヤツまでここに来ていたのか!?
「そいつはどこに居るんだ!? 言わないと、こちらにも考えがあるぞ」
「さ、さぁて、到着してからすぐに別れましたので、今はどこへいるのやら?」
くっ……こいつ! 交渉の材料にするつもりか!?
急がないとまずい、やりたくないが自白を強要させるしかない!
「ヒロ様、ひょっとして久魅那さんが向かった場所ではないでしょうか!」
久魅那……そうだ、トラブルが起こったと言ってたっけ!
「アニスさん、それはどこですか!?」
「ヒロ様がゼルドナからお呼びした女性が、農業を営んでいる場所です」
あの郊外の農地か! パグロームはあそこになんの用が……ああっ、あそこには、奴隷商人スクラヴォスから救い出した女性たちも居たんだった!
彼女たちを奪い返しにきたってことか? それを人質に使うと?
ラスティマに確認したいけど、簡単には口を割らないだろうな。行って確かめたほうが早い!
「アニスさん、僕は今から行ってくるので、メジェールたちへの連絡をお願いします! あ、コイツも連れていきますね」
ラスティマをここに残しておくとまた何をするか分からないので、一緒に連れていくことにする。
もし現地で何もなかったら、また改めてコイツに尋問すればいい。
「では行ってきます!」
僕はアニスさんとディオーネさんに王城を任せて、女性たちの居る郊外の地へ『空間転移』した。
◇◇◇
「みんなっ、だいじょう……こ、これはっ!?」
転移してみると、大きな男――恐らくパグロームであろう男が1人、その場に立っていた。
来るのが一足遅かったらしく、すでに戦闘は終わっていて、久魅那に渡したゴーレムたちの残骸があちこちに散らばっている状態だ。
特殊任務隊長である久魅那の護衛ゴーレムはアダマンタイト製で、そのうえほかのゴーレムよりも遙かに高性能に作ってある。
それを5体……このパグロームは簡単に破壊したというのか!?
そして、その残骸の中に混じって倒れている者がいる。
うつぶせのまま動かない久魅那と、全身バラバラにされたゼルマだった。
帝国からの使者――『至高の召喚士』ラスティマが、精霊を召喚する。
これは……風の精霊『盾斬りイイズナ』か!
長い尻尾が特徴的な1mほどの可愛い動物の姿をしているが、その鋭い風刃は金属すら切断する能力を持ち、相手を盾ごと斬り刻むという強力な精霊だ。
通常は1体しか召喚できないはずだが、ラスティマは10体も喚び出している。凄い制御力だ。
なるほど、コレで僕のゴーレムを真っ二つにしたのか。
それにしても、僕のゴーレムだって弱くない。そう簡単には斬られないはずだけど、この『盾斬りイイズナ』は力が漲っている。
恐らく、通常の数倍の強さはあるだろう。
精霊の召喚は、術者の能力によって喚び出される精霊の力も変わる。弱い者が喚び出しても、精霊の力は上手く発揮できない。
だがこの『盾斬りイイズナ』は、見たことないほどの精霊力を秘めている。
『至高の召喚士』とも呼ばれているラスティマは、それほど能力が高いということか。
しかし、『盾斬りイイズナ』程度は、残念ながら僕には通じない。
10体もの精霊が目にもとまらぬ速さで乱舞するが、僕は棒立ちのまま、その攻撃を全て受けまくった。
「な……なんだと!? ワタシの斬鉄刃を受けて無傷だというのですか!?」
「『至高の召喚士』ともあろう人が、こんな可愛い精霊をけしかけて、僕をどうしたいんだ?」
「クッ、あなたを少しナメ過ぎてしまったようですね……では、本気でやらせていただきましょう!」
ラスティマはまた次の詠唱を始める。
召喚魔法は、通常の魔法よりも強力なモノが多い。精霊の力は、人間を遙かに凌駕しているからだ。
「出でよ、『蒼白に輝く大火竜』! この男を焼き殺し、この国全てを焦土と化すのです!」
ラスティマが喚び出したのは、火の精霊『火蜥蜴』の最上位種で、青白い炎を纏った15mほどの火竜だった。
外見はドラゴンに酷似しているけど、竜族ではなくて火の精霊なので、大きさはドラゴンよりも小さい。
しかしその力は、体長5mの下級『火蜥蜴』ですら、ノーマルドラゴンのブレスに匹敵するほどの火力がある。
その上位種の『灰燼の火竜』は10mほどの大きさで、場合によっては1つの町を壊滅させるほどの破壊力だ。
そしてこの『蒼白に輝く大火竜』は、邪黒竜にも匹敵するほど危険な存在で、まず喚び出せる人なんていない。
仮に召喚できたとしても、力を上手く発揮させるのは難しく、そして長時間の制御も無理だ。
すぐにコントロール不能となって帰還してしまうだろう。
しかし、この『蒼白に輝く大火竜』は、文句なしの力を発揮できているようだ。
その身体から発する超高熱の炎で、頑丈に作った『王の間』の壁が熔け出している。
制御も非常に安定しているし、確かにこのテンプルム国を焼き尽くすほど、長時間召喚し続けることも可能かもしれない。
「さあ行くのです『蒼白に輝く大火竜』!」
ラスティマがけしかけると、青白い火竜は僕のもとにまっすぐ突っ込んできた。
触れたモノ全てを瞬時に蒸発させるその突進を、僕は左手1本で止める。
もちろん、この程度の火力では、僕の身体には傷1つ付きはしない。
「こ……れは…………な、なぜあなたは消滅しないのです!? これ1体で、この国全てを焼き払えるほどなのに……!」
「この程度で? この王城の壁を溶かすくらいがせいぜいじゃないの?」
僕が手で押さえていると、『蒼白に輝く大火竜』は大人しくなり、そのまま精霊界へと還っていった。
まあ確かに凄いけど、僕はサクヤが喚び出した精霊の王『闇の炎王』と戦っているからね。
火竜を倒すのも簡単だけど、精霊を攻撃するのは可哀想だから、素直に攻撃を喰らってあげたよ。
それにしても、凄い召喚力だ。いくら『至高の召喚士』といっても、明らかにおかしい。
それに、『石化視線』をラスティマに使ってみたけど、まるで効果がない。
僕の強力な石化攻撃をモノともしないとは……やはり『亜天使』というのが謎のカギとなりそうだ。
「そ、そうか……なるほど、『魔王ユーリ』と呼ばれるだけはある。ここまでの存在とは、ワタシも思っていませんでしたよ。ならば、このワタシの最大の召喚術でお前を屠ろうではないか! 四神に申し上げる! 色成す物、音成す物、匂い成す物、痛み成す物……」
あ、この詠唱って……コイツ、こんな魔法まで使えるのか!
「黄泉の果て、常世の地より四死を招き、円環の理の外の外、死せる王のもとに、その昏き肉と冥き魂を捧げる……死界召喚『四死神酷虐葬送』っ!」
凄いな、『精霊召喚』で『界域魔法』を再現するとは……!
『魔術言語』を補足詠唱して、強引に『地獄の門』を開いたんだ!
こんなことは普通は無理だけど、これも『亜天使』という謎の力が関係しているのかもしれない。
しかし、まさかこれほど強力な魔法が使えるなんて驚きだ。
召喚が成功し、僕の周りの四方から4体の死神王が浮上してくる。
「ふはははっ、生ける者全てを地獄へと導く死の王だ! さすがの貴様でも、彼らには敵うまい!」
10mにもなる巨大な死神王たちは、地上に顕現してじっと僕を見つめたあと、静かにまた地の底へと還っていった。
死神王たちも、僕には敵わないことを感じたんだろう。
彼らは無駄なことなどしない。
「そ……んなバカな……地獄の王だぞ、人間では勝てるはずなどないのに……」
「何を言ってるんだ。僕は『魔界の王』だぞ。地獄の王などに負けはしない」
誤解が解けてからは『魔王』ということを否定してきた僕だけど、帝国相手には、『魔王』と思わせたほうが得策かもしれない。
そのほうが、『魔王』という存在に対して危機感を持ってくれるかもしれないからだ。ラスティマの発言を聞く限りでは、帝国は魔王軍をナメきっているからね。
僕のことで帝国が警戒心を強めてくれるなら、『魔王』のフリをする意味がある。
帝国以外の各国は僕のことを信頼してくれているから、もう誤解は起こらないだろうし。
「ほ……本物の『魔王』だというのですか!? 『魔王』が、国を作ったと?」
「その通りだ。証拠を見せてやろう……『炎駒』よ、来い!」
僕は神獣界から『炎駒』を喚び出した。
かなり大きいだけに、この『王の間』の天井まで『炎駒』の頭が届いちゃっているけどね。狭くてゴメン。
ちなみに、『赤き天馬』のときのように常時燃えているわけじゃないので、そばに居ても別段熱くはない。
「ごぉっ、おおおおおおっ!? こ……これは精霊なのか!? こんな怪物など見たことないぞっ」
「魔獣王『炎駒』の伝説を知らないのか? 『炎駒』は僕の部下だ」
「『炎駒』だとっ!? そ、そんなの神話の存在ではないか!? それが魔王の配下だと!?」
「そういうことだ。ほかにも超巨大竜『熾光魔竜』もいる。僕が本気になれば、帝国を滅ぼすことなんて造作もない。それを皇帝に伝えろ。侵略など考えずに、自国を守ることだけ考えるんだ!」
こう言えば、帝国も馬鹿な考えを改めるんじゃないか?
「はあはあ、魔王軍がすでに国を作っていたなんて……。しかし、確かに『炎駒』は脅威ですが、それだけでは我が帝国には勝てませんよ。『帝国神命十二騎士』の力を侮られては困ります」
『帝国神命十二騎士』……皇帝直下の最強親衛隊か! それが、この『炎駒』や『熾光魔竜』よりも強くなっていると?
それも『亜天使』の力だというのか?
『亜天使』とは、いったいなんなんだ!?
「……そっちこそ、『魔王』を侮っているんじゃないのか? 僕の力をもう少し思い知ってもらおう!」
僕はラスティマの全スキルを強奪する。
『精霊召喚』も当然奪ったが、しかし、『亜天使』の能力は奪えなかった。
スキルとは違う力ということか……。
「今お前の全てのスキルを強奪した。お前はもう『至高の召喚士』ではない」
「強奪……? ああっ、無いっ! ワタシの『精霊召喚』が、スキルが全て無くなっている!? こ、こんな力まであるというのか!?」
「分かったか? これでもまだ足らないというなら、お前の命を……」
「ま、ま、待て、待ってくれ、ワ、ワタシに手を出すな、ひひひ人質がどうなってもいいのか!?」
「人質……? なんのことだ!?」
「ワタシはこの国に1人で来たわけじゃない、帝国軍総軍団長パグローム様と一緒に来たのだ! パグローム様は交渉などわずらわしいことが苦手なので、別行動をされている」
パグロームだって!? 『灰色の殺戮王』の異名を持つ、帝国軍の司令官じゃないか!
帝国軍の最高司令官はドラコス将軍だけど、実質的に軍を指揮しているのはパグロームだという。
そして、戦いでは殺戮の限りを尽くす、どう猛な戦闘狂だ。
そんなヤツまでここに来ていたのか!?
「そいつはどこに居るんだ!? 言わないと、こちらにも考えがあるぞ」
「さ、さぁて、到着してからすぐに別れましたので、今はどこへいるのやら?」
くっ……こいつ! 交渉の材料にするつもりか!?
急がないとまずい、やりたくないが自白を強要させるしかない!
「ヒロ様、ひょっとして久魅那さんが向かった場所ではないでしょうか!」
久魅那……そうだ、トラブルが起こったと言ってたっけ!
「アニスさん、それはどこですか!?」
「ヒロ様がゼルドナからお呼びした女性が、農業を営んでいる場所です」
あの郊外の農地か! パグロームはあそこになんの用が……ああっ、あそこには、奴隷商人スクラヴォスから救い出した女性たちも居たんだった!
彼女たちを奪い返しにきたってことか? それを人質に使うと?
ラスティマに確認したいけど、簡単には口を割らないだろうな。行って確かめたほうが早い!
「アニスさん、僕は今から行ってくるので、メジェールたちへの連絡をお願いします! あ、コイツも連れていきますね」
ラスティマをここに残しておくとまた何をするか分からないので、一緒に連れていくことにする。
もし現地で何もなかったら、また改めてコイツに尋問すればいい。
「では行ってきます!」
僕はアニスさんとディオーネさんに王城を任せて、女性たちの居る郊外の地へ『空間転移』した。
◇◇◇
「みんなっ、だいじょう……こ、これはっ!?」
転移してみると、大きな男――恐らくパグロームであろう男が1人、その場に立っていた。
来るのが一足遅かったらしく、すでに戦闘は終わっていて、久魅那に渡したゴーレムたちの残骸があちこちに散らばっている状態だ。
特殊任務隊長である久魅那の護衛ゴーレムはアダマンタイト製で、そのうえほかのゴーレムよりも遙かに高性能に作ってある。
それを5体……このパグロームは簡単に破壊したというのか!?
そして、その残骸の中に混じって倒れている者がいる。
うつぶせのまま動かない久魅那と、全身バラバラにされたゼルマだった。
感想 679
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
至れり尽くせり!僕専用メイドの全員が溺愛してくる件
普通の大学生・佐藤健太は目覚めると、自宅が豪華な洋館に変わり10人の美人メイドたちに「お目覚めですか、ご主人様?」と一斉に迎えられる。いつの間にか彼らの“専属主人”になっていた健太は戸惑う間もなく、朝から晩までメイドたちの超至れり尽くせりな奉仕を受け始める。
処刑される悪役貴族に転生したので、全財産配って逃げます ~俺が全部手放した瞬間、王国が回らなくなったけどもう遅い~
「ヴァルトハイム伯爵家嫡男ユリウス。貴様の断罪を、ここに宣言する」
断罪の場で、俺は前世の記憶を取り戻した。ここはかつて遊んだノベルゲームの世界で、悪役貴族ユリウスは一年後に処刑される。
冗談じゃない。領地も金も地位も、全部置いて逃げる。それだけを決めた。
ところが、解放した罪人が。配った財産が。放り出したはずの領民が。
なぜか勝手に力をつけて、次々と俺のところへ戻ってくる。
一方その頃、王都では――ユリウスなしで回らない事態が始まっていた。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
真の皇帝は俺です ~面倒だから幼なじみに帝位を任せていたら、婚約者に捨てられました。正体を明かしたら全員後悔してももう遅い~
皇帝の仕事が面倒だったレインは、信頼する幼なじみアレクシスに表向きの皇帝を任せ、自身は陰から帝国を支えていた。
だがある日、婚約者エミリアは「権力も将来性もない」と彼を見限り婚約破棄を宣言する。
しかし彼女は知らなかった。
帝国を動かしていた真の支配者が誰なのかを。
これは全てを持ちながら隠していた男と、見るべきものを見失った者たちの後悔の物語。
【老化返却】聖女の若さは俺の寿命だった〜回復魔法の代償を肩代わりしていた俺を追放した報いだ。回復のたびに毛が抜け、骨がスカスカになるが良い〜
「寿命を削って回復してやってたのに……感謝すらしないんだな」
聖女パーティの荷物持ち兼回復術師だった俺は、ある日突然パーティを追放された。
理由は「回復魔法のコストが寿命で、もうすぐ死ぬ無能はいらない」という勝手な思い込み。
だが、彼らは知らなかった。
俺の正体が、この世界の生命を司る世界樹の根源そのものだったことを。
俺の寿命は無限であり、俺がパーティにいたからこそ、彼らは「若さ」と「健康」を維持できていたのだ。
「俺がいなくなったら、誰が君たちの老化を止めるの?」
俺がいなくなった途端、聖女たちの身体に異変が起きる。
回復魔法を唱えるたびに、自慢の金髪はバサバサと抜け落ち、肌は土色に。
若さに溺れていた彼女たちは、骨がスカスカになり、杖なしでは歩けない老婆のような姿へと変わり果てていく。
一方、解放された俺は隣国の美少女皇女に拾われ、世界樹の力で枯れた大地を森に変える「現人神」として崇められていた。
「今さら戻ってきて? ……悪いけど、そのハゲ散らかした老婆、誰だっけ?」
すべてを失ってから「俺」の価値に気づいても、もう遅い。
これは、恩を仇で返した連中が、自らの美容と健康を代償に破滅していく物語。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。