無限のスキルゲッター! 毎月レアスキルと大量経験値を貰っている僕は、異次元の強さで無双する

まるずし

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第7章 新国テンプルム

第371話 魔王の力

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「なんだ、いきなり現れやがって、お前は誰だ!? ……ん、ラスティマではないか、何故ここに居る?」

「これは転移魔法……!? 『魔王ユーリ』は空間魔法まで使えるのか!? はっ、パグローム様!? こ、こいつがこの国の王ユーリです!」

空間転移スペースジャンプ』で来てみると、アニスさんの推測通り、帝国軍総軍団長パグロームはそこに居た。
 そしてそのすぐ近くに、重傷で気を失って倒れている久魅那クミナと、両手両足を斬り落とされ、腹部から真っ二つにされたゼルマが居た。
 なんて酷いことを……でも、2人とも瀕死の状態だが、なんとか生きている!

「お前がこの国の王様か。言っておくが、その小せえ女から仕掛けてきたんだぜ? 素直にここの女たちをよこしていればいいものを、『空間魔法』なんて使いやがって……邪魔なんてするからこうなるんだ。それにもう1人は吸血鬼だろ? 昼間に動けるなんざ危険きわまりない吸血鬼ヤツだぜ。お前に替わってこのオレ様が退治してやったんだ、感謝しろよなガハハハ」

 巨体の男――パグロームが、この惨状は自らの仕業だと得意気に話す。
 あのゼルマがここまで一方的にやられるなんて……!
 僕はゼルマのもとへと駆け寄り、上半身を抱き起こす。

「ゼルマ、大丈夫か!?」

「こ……小僧か。ふふ、まさかこのワシが、人間なんぞにやられるとはな。そこの男は異常だ、強すぎる。い、今すぐ女たちを連れて逃げるがいい。貴様の転移魔法なら可能なはず。久魅那クミナという女は重傷だが、貴様なら助けられるだろう」

「ゼルマが守ってくれたのか?」

「その男が暴れているのを見掛けたのでな。ちと成敗してやろうと思ったら、返り討ちに遭ってしまった。ワシももう歳かもしれぬな……さすがのワシも、これでは生きていられぬ」

「そんなわけないだろ、ゼルマしっかりしろ!」

「貴様を見ていると、本当にヴァンを思い出す。そばに居るだけでなんともあたたかい……『勇者』とは、皆こういう者なのかもしれぬな」

「だから僕は『勇者』じゃないって……」

「ワシがヴァンに封印されるとき、あやつは言った。もし遠い未来に目を覚ましたら、そのときの勇者を助けてやってくれと。あやつは生きて帰るつもりはなかったのだな……それが今になって分かるとは」

「本当に助かった、ゼルマのおかげで女性たちを守れたよ。さらわれていたら、何に利用されていたか分からなかった」

「そうだ、だから早くここを去れ! ワシの犠牲を無駄にする気か! フフ、小僧、貴様と一緒に居るのは心地良かったぞ。ヴァンとの約束も果たしたし、これでヤツのもとへ胸を張っていける……」

「ゼルマ、ゼルマ! 凄く言いづらいんだけど……」

「なんだ、愛しているとでも言うつもりか? ならば、ワシの息があるうちに早う言え」

「いや、ゼルマはとっくに完治してるんだ。だからその、瀕死っぽい喋り方はしなくてもいいんだよ?」

「バカ者っ、ワシの最期にそんな言葉をいうヤツがあるか! まったく、貴様は本当に気の利かぬ小僧だ。貴様のようなヤツに心を奪われるとは、ワシ自身が情けな……な、なんだとおおおっ!?」

 ゼルマは、ようやく自分が完治していることに気付いた。まああれほどバラバラになってたから、自分の命は長くないと思い込んでいたんだろうけど。
 ゼルマと久魅那クミナの身体は、手遅れになる前に時間を止めて、『神遺魔法ロストマジック』の『身体欠損修復ボディリカバリー』とアイテムの『完全回復薬エリクシール』ですぐに治療したんだ。
 久魅那クミナはまだ気を失っているけど、まもなく目が覚めるだろう。

 ちなみに、『炎駒』の能力でも治せたんだけど、時間停止中は『炎駒』が喚べなかった。
 時間停止を解除してから『炎駒』を喚ぶとロスがあるので、今回は僕が自分でやることにした。
『炎駒』の力はまた次の機会に試そう。

「バラバラにされたワシの身体が元に戻るとは……小僧、貴様がこれをやったというのか!?」

「前に言っただろ? 僕の前では死なせないって」

「し、しかし、こんなことは神の奇跡としか思えぬ! 『神の血イーコール』といい、まさか貴様、神の化身ではあるまいな!?」

「僕は人間だよ、ちょっと特別な力を持ってるけどね」

「…………そうか、貴様は『勇者』以上の存在だったということか。3000年もの時を越えて、貴様のような男と出会えるとはな……いや、偶然ではあるまい。きっとこの出会いはヴァンが用意してくれたのだ」

「僕もそう思うよ。僕にはゼルマが必要だ」

 ゼルマがいなかったら、女性たちをさらわれ、人質として交渉に利用されてたかもしれない。
 久魅那クミナも生きてはいなかっただろう。
 そうなっていたら、帝国とはもうドロドロの関係になっていた。魔王軍どころではなくなっていた可能性すらある。

 ゼルマがくれたこのチャンス、絶対に無駄にはしない。
 帝国が平和の障害となるなら、遠慮なく叩き潰す!


「な、なんだ!? バラバラにしてやった吸血鬼の身体が、いつの間にか元に戻ってやがる! あんなの治せるわきゃねえのに、オレは夢でも見てるのか!?」

「パグローム様、あいつは本物の魔王です! 『魔王ユーリ』は本当だったのです! すぐに皇帝陛下に報せませんと!」

「ラスティマ……お前アイツに負けやがったな。しょせん失敗作ということか」

「お、お言葉ですが、パグローム様でも勝てるかどうか……すぐに撤退すべきです、『帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』でなければ、あの『魔王ユーリ』は倒せません!」

「ふん、出来損ないはそこで見ていろ! オレが『亜天使デミエンジェル』の真の力を見せてやる!」

 僕たちの様子を窺っていたパグロームが、剣を抜いて近寄ってきた。
 今の会話を聞いた限りでは、この男より『帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』のほうが強いみたいだが……。
帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』は皇帝直下の親衛隊で、その力は『ナンバーズ』にも匹敵するなんて言われていたけど、どうやらそんなレベルじゃないくらい強くなってるっぽいな。

「小僧、あの男に勝てるんだろうな?」

「僕があんなヤツに負けると思うかい?」

「愚問だったか。ワシはもう貴様の力は疑わぬ。ヴァンを超えるその力をワシに見せてくれ」

「了解。しっかり見ててくれ」


 僕はパグロームと対峙した。
 年齢は40前後、身長は190センチ以上ありそうな巨漢で、歴戦を戦い抜いたその身体からは、見た目以上の威圧感を感じる。
 司令官とは思えないような粗野な顔つきで、ウェーブの掛かった灰色の髪を振り乱しながら、手当たり次第殺戮を繰り広げる狂気の姿から、『灰色の殺戮王グレイマーダー』という名が付いたほどだ。
 その右手には青い剣を持っていて、それを僕へと向けて突きつけてきた。

 ん? もしかしてこの剣って……!

「その剣は、ひょっとして『蒼魂鋼の剣アポイタカラソード』じゃないのか? この国のオークションで、ヘドロノスという商人が競り落とした物のはずだが?」

「はぁん? なんのことか分からんな」

 パグロームはとぼけているが、もちろんこれはウソだ。
 なるほど、『蒼魂鋼の剣アポイタカラソード』なら、僕のアダマンタイト製ゴーレムを斬ることも容易たやすいだろう。

 この件についてはゾディーさんが騙されてしまったわけだが、パグロームの手に渡っていることを考えると、ヘドロノスは最初から帝国軍のために『蒼魂鋼の剣アポイタカラソード』を手に入れに来たということか?
 そうか……ゾディーさんは、それを悟られないためのカモフラージュだったんだ。
 帝国は、その頃からこのテンプルム侵略を考えていたに違いない。

「ヘドロノスは帝国軍の命令で、このテンプルムを偵察しに来たんじゃないのか? 奴隷の女性たちが居る場所ここも、ヘドロノスが調べていたんだろう。ヤツは今どうしている?」

「そんなヤツなど知らねえって。オレは軍のことで忙しいんだぜ?」

「帝国の有名な豪商なのに、知らないはずがないだろう。まさか……殺したのか?」

「くどいっ、オレのあずかり知らぬことだと言ってる」

 殺したのか……。
 ヘドロノスは僕に全スキルを奪われたから、もはや用済みと思われてしまったのかもしれない。
 もしそれが原因だとしたら、ヤツには悪いことをしたな……。

「パグローム、アンタがゼルマたちにやったことは許しがたいが、しかし吸血鬼を退治することは人間として正常だ。久魅那クミナのことも、百歩譲って正当防衛として不問にしてもいい。だが、これ以上暴れるというのなら……帝国がこのテンプルムにケンカを売ってくるというなら、僕も容赦はしない」

「面白いガキだな。お前が『魔王ユーリ』なんだって? ラスティマ程度に勝ったくらいで調子に乗ってると、死ぬことになるぜ」

「その言葉、そっくりそのままアンタに返そう。少し力を手に入れた程度で他国を侵略しようだなんて、帝国は思い上がるのもいい加減にしたほうがいい」

「では、帝国の属国にはならないというんだな? いいか、返答には気を付けろよ『魔王ユーリ』。お前が断った瞬間、その首が飛ぶことになる」

「僕からも忠告する。僕を攻撃しようとした瞬間、その左腕を失うことになる」

「……我がグランディス帝国の軍門にくだれ、魔王ユーリ!」

「断る!」

 その瞬間、物体が宙に飛び上がる…………肩の付け根から斬られたパグロームの左腕だ。
 それは回転しながら宙を舞ったあと、ドサリと音を立てて地に落ちた。

「そ、そんなっ、パ……パグローム様の腕が……!」

「これは……い、いつだ……? いつオレの腕は斬られた!?」

 恐怖の表情を浮かべるラスティマと、何が起こったのか分からずに驚愕するパグローム。
 いまパグロームの殺意が限界まで膨れあがった瞬間、僕が時間を止めて左腕を斬り落としたのだ。
 少し卑怯かもしれないが、力の差を思い知らせるためだ。
 そうすることで、これ以上の戦いを回避したいと思っている。

「『魔王』の力が分かったか? まだやるというなら、次は右腕だ」

「くっ……なら、これをっ……がはあっっっ!!」

 またパグロームが攻撃してこようとした瞬間、同じように時間を止め、今度は右腕を斬り飛ばす。

「おおお見えない……何も見えないっ、魔王ユーリが何をしているのか、ワタシにはまったく分からないっ! お、恐ろしい、これが本物の魔王の力……!」

「はあ、はあ、この野郎……このオレ様にこんなマネを……!」

灰色の殺戮王グレイマーダー』パグローム……なんという闘争心なんだ。
 両腕を斬られて、まだこの僕とやり合おうというのか!?

じゃ、このオレは倒せねえぜえっ!」

 な……なんだこれは!?
 パグロームが全身に力を入れると、失った両腕がまた肩から生えてきた!
『損傷修復』のスキルを持ってないのに、こんなことができるなんて……これも『亜天使デミエンジェル』の力だというのか!?
 パグロームは落ちている『蒼魂鋼の剣アポイタカラソード』を拾い、また構え直す。

「いい気になるなよ魔王ユーリ! このオレの真の力を見せてやる!」

「これでも懲りないというなら…………次はその首だ」

「やれるもんならやってみやがっ…………………………………………かはっ……」

 僕はパグロームの首を斬り落とした。地に転がった頭が、最後の一息を漏らす。
 ……死んだようだ。
 セクエストロ――魔将ネビロスと違って、さすがに頭部を失っては生きていられないらしい。
 ここまでするつもりはなかったんだけど、両腕を斬り落としても向かってくるというなら、もはやこうするしかない。
 しかし、恐ろしい執念だ……。

「ひ、ひ、ひいいいいいいいいいいいいっっっっ、あ、あのパグローム様が、何1つ動けずにいいいっ、げえっ、げえええっ……!」

 戦いを見ていたラスティマは、腰を抜かして地面にへたり込む。
 そして完全に取り乱し、恐怖に耐えきれずに吐いたあと、失禁までしてしまった。
 仕方ないとはいえ、これでテンプルムは完全に帝国の敵となっちゃったな……。


「ぜえっ、ぜえっ……人類は、いや我が帝国はなんと思い上がっていたのだ。こんな化け物にケンカを売っていたとは……! に、人間ではとても敵わない、イオなどを攻めている場合ではない……!」

 ラスティマは茫然自失となった状態で、聞き捨てならないことを呟いた。
 イオ……? 魔導国イオのことか?
 攻めてるってどういう意味だ!?

「イオがどうしたというんだ?」

「は、はっ、こ、答えます、ですからどうか命だけは……! イ、イオを手に入れるため、我が国の『帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』たちが向かったのです」

「なんだって!? いつのことだ!?」

「け、計画では、ワタシが出発したあとすぐに彼らも動く予定でしたから、そろそろイオには着いているかもしれません」

 帝国軍――『帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』たちが、サクヤやベルニカ姉妹の居るイオに攻め込みにいったというのか!
 ラスティマはもう僕に逆らう気はないようで、恐怖のあまり、素直にベラベラと答える。

「お前たち帝国は、どうやら『亜天使デミエンジェル』という力を手に入れたようだが、これはいったいなんなんだ!?」

「そ、そんなことまで分かるというのですか!? 『亜天使デミエンジェル』は、天使の細胞を人間に移植することで得ることができる力です。ワタシは試作型プロトタイプですが、パグローム様は最初の成功体です。そして『帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』は進化型、皇帝陛下は完全体と言われています。ワタシが知るのはここまでです」

 天使の細胞を、人間に移植だって!? そんなの聞いたことがない!
 なんていう恐れ多いことを……!
 そうか、人体の細胞ごと作り変えたから、『亜天使デミエンジェル』という能力の強奪ができなかったんだ。
 パグロームの凄い再生力も、肉体がすでに人間のモノではなかったからだ。

 そんな力を手に入れたせいで、帝国は他国への侵略を始めたというのか……!
 魔導国イオの軍事力ならそう簡単にはやられないと思うが、『亜天使デミエンジェル』で強化された『帝国神命十二騎士ファナティック・ガーディアンナイツ』は、かなり手強いかもしれない。
 すぐに助けに行かないと!

「ラスティマ、今回だけは見逃してやる。パグロームの亡骸を持って、今すぐ帝国へ帰れ。そして、二度と侵略など考えないように、皇帝に進言するんだ。いいな?」

「はいい、分かりましたあああっ!」

 ラスティマはひたいを地面にこすりつけて土下座をする。
 コイツはこれでもう問題ないだろう。
 僕はアニスさんに『魔導通信機』で連絡を取り、このあとのことを任せる。

 僕はイオへは行ったことがないので、正確な位置が分からない。
 なので、『空間転移スペースジャンプ』で一気に転移するのは危険だ。
 ただ、以前イオの近く――『最古の迷宮』までは行っているので、そこまで転移してから、あとは空を飛んで移動しよう。
 熾光魔竜ゼインを一緒に連れていけば、かなり早く着くはずだ。

「ゼルマ、王城に行って、みんなと一緒にテンプルムここを守っていてくれ」

「小僧……貴様の力は存分に見せてもらった。『魔王ユーリ』などとは笑わせおる。『魔王』のほうが、貴様よりも何倍も可愛げがあろうに。ここは我らに任せろ。貴様は何も心配せずに、イオという国を救ってこい!」

「ありがとうゼルマ」


 僕はみんなにこの国を任せ、熾光魔竜ゼインのもとに転移した。
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