無限のスキルゲッター! 毎月レアスキルと大量経験値を貰っている僕は、異次元の強さで無双する

まるずし

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第8章 英雄の育成

第382話 旅の夜

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「はい、いっちょあがり!」

 メジェールは剣を一振りしたあと鞘に収め、こっちに帰ってくる。

「『擬似・首落としの剣レプリカ・ファーレンハルス』の試し斬りはどんな感じだったかい?」

「いや~凄い剣だわ。硬さや防御なんかに邪魔されることなく絶対切断できるから、頭に描いた理想の太刀筋通りに攻撃ができるわね。ただ、衝撃波とかを上手く出せないのが難点かしら」

 なるほど……次元ごと斬り裂いちゃうから、大気との摩擦などを利用した攻撃はやりづらいかも。
 魔力を剣に乗せて撃ち出すような技も難しいだろう。
 ということは、近距離専用の武器ってことだな。
 メジェールは魔法も超一流だから、中距離以上では魔法を主体にすればいい。

 と会話していたところ、突然川から大量の水しぶきが上がった。
 なんだ、と思う間もなく、巨大な怪物が宙に姿を現す。

水辺の略奪王グレート・アクアギャング』だ!
 なんと、もう1匹いたらしい。そいつが、僕たちよりちょっと離れた場所――リノたちが待機しているところの近くに着地した。

 まずい、戦闘はメジェールに任せていたので、みんな武器も抜かずに無防備となっている。
 とはいえ、この程度のモンスターにやられることはないが、完全に虚をかれてしまってすぐには反撃ができない状態だ。
 混戦になると大技が出しづらい。とりあえず避難してもらわねば!

「みんな、すぐにそこから離れてっ!」

 と僕が叫ぶより一瞬速く、『水辺の略奪王グレート・アクアギャング』の触腕が一人の身体を捕らえた――ゼルマだ。
 というより、ゼルマはわざと標的になるように動いていた。コイツは任せろということか。

「低脳な下等生物め。お前のようなヤツがワシの身体に触れるとは、万死に値する」

 そう言うとゼルマは巻き付いた触腕を簡単に引きちぎり、逆に触腕を両手に抱えて、力任せに『水辺の略奪王グレート・アクアギャング』を振り回した。
 吸血鬼が持つ怪力のなせる技だ。
 そして勢いそのまま、地面に叩き付けまくる。

「こ、こ、こんな戦い方があるのか!? 非常識にもほどがある!」

「あの巨体を軽々振り回すなんて、とても人間業とは思えねえ……」

 うん、人間じゃないからね。
 冒険者の人たちが、ゼルマの怪力を見て唖然としている。

 しかしまた派手な戦いしちゃって……ひょっとして、色々ストレスが溜まってたのかな。
 サクヤが僕に付きまといっぱなしだったから、ずっとゼルマは機嫌悪そうだったし。
水辺の略奪王グレート・アクアギャング』は八つ当たりの的にされちゃったんだろう。ここで会ったのが運の尽きってところだ。

 何度か叩き付けているうちに、『水辺の略奪王グレート・アクアギャング』の足がちぎれて遠くに飛んでいってしまった。

「しまった、トドメを……!」

「いやゼルマ、追わなくていいよ」

 空を飛んで追おうとしたゼルマを止める。
 あそこまでボコられたら、『水辺の略奪王グレート・アクアギャング』も当分は動けないだろう。
 てか、もう死んでるんじゃないかな?


「アンタたち、いったい何者なんだ? SSSランク……いや、もしかして『ナンバーズ』の方なのか?」

 脅威が去って安心した冒険者たちが、僕たちのところにぞろぞろとやってきた。
 衝撃的な光景を見て、みんな少し青い顔をしている。
 ちょっとやりすぎだったけど、『水辺の略奪王グレート・アクアギャング』相手ならどうしても派手な戦闘になるし、まあネネの死影術や久魅那クミナの空間魔法を見られるよりかはマシだろう……マシかな?

「アタシたちはSSSランクチームよ。『ナンバーズ』ではないけどね」

 メジェールはSSSランクの証――ブラックカードを取り出して、本人証明の発光を見せる。
 リノたちもカードを取り出し、ちらりと見せた。

「こんなに大勢のSSSランクチームなんて見たことがないぜ」

「僕たち、数ヶ月前にSSSランクに昇格したばかりなんですよ」

 と言いつつも、僕のランクはSのままだけど。
『ナンバー0』ということを隠すため、仮の身分になってるんだよね。
 僕としても、SSSランクで下手に目立つよりは、Sランクくらいのほうが色々と融通が利くのでちょうどいい感じだ。

「そういえば、そんな噂も聞いたような気が……しかし、アンタたち凄い力を持ってるな」

「ああ、本当に助かったぜ。あの怪物に3日も通行止めされてて、仕方なく追い払おうとしたんだが、やはり我らの手には余ったようだ」

 なるほど、周りを見渡してみると、冒険者たち以外にも少し離れたところにいくつかの馬車が待機していた。
 みんな橋を通れなくて困ってたんだな。

「とりあえず、皆さんご無事で何よりです」

「アンタたちのおかげだ。で、アンタたちもファーブラに行くんだろ? ってことは、やはり学院から呼ばれたのかい?」

「学院……?」

 なんのことだろう?

「おや、違ったのか。てっきりオレたちと同じ目的だと思ったんだが。なんにせよ、本当に助かったよ」

「オレたちは先を急ぐのでこれで失礼する。何かの機会には是非お礼をさせてくれ」

 そう言って、冒険者たちは馬車を飛ばして去っていった。
 ここで足止めを食っていたので、恐らく到着予定が遅れているんだろう。
 学院とか言ってたけど、その用事のためかな?
 同じく、足止めされていたほかの馬車の人たちも、順にここを離れていった。

「さ、僕たちは慌てずゆっくり行こう」

 また馬車に乗り込み、再出発する。


 ◇◇◇


 そのままのんびりと旅は続き、いよいよ明日ファーブラに到着となった。
 今夜は旅の最終日ということで、締めとして何か打ち上げでもしようという話になり、みんなでバーベキューをすることにした。

 大胆に刻んだ肉や野菜を鉄板に置き、強火で豪快に焼いていく。
 火が通った食材から順番に手に取って、みんな口を大きく開けてほおばっている。
 途中の川で魚も捕っていたので、串に刺して直接火で焼いたりもした。

「手の込んだ繊細な料理も美味しいけど、こういうダイナミックに食べる料理も最高よね」

「ふふっ、ユーリと彷徨さまよい歩いた日々を思い出しちゃうな」

「そうですわね。あのときは鳥のモンスターを焼いて食べましたが、本当に毎日が大変でしたわ」

「ほほう……ダーリンたちにもそんな苦労があったのか」

 あ~エーアストを追われたあと、僕とリノとフィーリアは、しばらくはまともな食事がとれなかったからなあ。
 今となっては懐かしい思い出だけど、結構絶望的な状況だったんだよね。

「ユーリ殿とオレが出会ったのもその頃だ。ちょうどいい、あの頃よく食べたヴィールリザードをさっき捕まえたところだ。久々に食べようぜ」

 ソロルが50㎝ほどの茶色いトカゲ2匹を串に刺し、直接火で炙っていく。
 外見はグロテスクだが味はなかなかいい、アマゾネス族のご馳走だ。

「ほれリノ、フィーリア、焼けたから遠慮せず食べろって!」

 ソロルがこんがり焼けたヴィールリザードを、リノたちの前に差し出す。
 それをリノたちは苦い顔をしながら見つめている。
 僕はまあ慣れたけど、リノとフィーリアはその見た目からイマイチ好きになれず、最後まで好んで食べようとはしなかったんだよね。
 メジェールもこの手のモノは得意じゃないようで、少し引き気味に身体を遠ざけている。

「ソ、ソロル、私たちはいいから、ほかのみんなに食べさせてあげて」

「そうですわ、是非皆さんにも味わっていただきたいですし……」

「そうか? じゃあフラウ、サクヤ、美味しいから食べてみろ」

「ほほう、いい匂いがシマスね。ワタシも割と長く生きてますが、コレは初めてデスよ」

「わらわもこんな食べ物は初めてじゃ! いただきまーす!」

 フラウもサクヤもグロテスクな見た目にまるで臆せず、その腹にかぶりつく。
 僕でも初めてのときは恐る恐る口にしたものだけど、二人とも度胸あるなあ。

「んー美味い! なんともジューシーな肉じゃ!」

「これはビックリデス! 見かけによらず美味しいデスね!」

「わたしも食べてみたいです」

「ネネにも味見させてくれ」

 久魅那クミナとネネも、ヴィールリザードを手に取ってかじりついた。
 もぐもぐと咀嚼して飲み込んだあと、満足げな笑顔を浮かべる。

 ちなみに、アピは無言でもりもり食べている。
 最初の頃は、食べ物なら味にこだわらずなんでも口に入れてたけど、最近では少々グルメになってきて、生よりも火が通っているほうが好みらしい。
 このバーベキューでも、焼けた食材を手づかみで取って食べている。
 アピは炎とかまるで平気なので、火傷することもない。

「フン、まあこのばーべきゅーとやらも美味いが、やはりワシは血が飲みた……」

「わーゼルマ、明日には着くからもうちょっとだけ我慢して」

 ゼルマが余計なことを言おうとしたので、慌てて遮る。
 御者のカムランさんとベルモントさんも一緒にバーベキューしてるからね。
 吸血鬼とバレたら大変だ。

 ゼルマには、ファーブラに着くまで吸血行為を我慢してもらってる。
 それもあって、欲求不満となってるのかもしれない。


 今の発言を聞いたからなのか、カムランさんとベルモントさんが僕のほうに近づいてきた。
 やばい、吸血鬼ってこと気付かれちゃった?

「お客様……もしやテンプルム国のユーリ陛下ではありませんか?」

 うおおおおっ、そっちか!
 ゼルマの正体を心配してたんで、意表を突かれてしまった。
 どうしよう、なんて答えよう?
 ユーリと呼ばれてるところを何度も聞かれてるしなあ……これは迂闊だった。

「あ、あのですね、僕たちはその……」

「ご安心ください。お客様の情報は決して他言いたしません」

「そうです。魔道書で誓約を交わしてもよいですよ」

「いえ、そんなことまでされなくても、お二人を信用してますから」

 解析で見た限りでも、二人は真意を語ってくれている。
 しかし、僕の正体に気付かれちゃったか……。

「いやはや、皆さん常識外れの力をお持ちなのでおかしいとは思いましたが、まさかあの高名なユーリ陛下ご一行だったとは驚きましたよ」

「いつ気付かれましたか?」

「川辺の怪物をあっさり討伐したとき、さすがにピンときましたよ。これほどの力を持った方々なんて、世界でもそうはいないと」

 カムランさんとベルモントさんが交互に答える。
 あれはさすがにやり過ぎちゃったか……まあ戦ったのはメジェールとゼルマだけどさ。
 今度からもう少し気をつけよう。

「ユーリ陛下をお送りできるなんて光栄です。それに、滅多にない経験も色々させてもらいましたよ」

「こちらこそ、有意義な旅を楽しむことができました」

 僕は右手を出して、二人と固く握手をする。

「ほらユーリなにやってんの! こっち来て! 旅の最後の夜なんだから、まだまだ楽しむわよ!」

「ああはいはい分かったよ」

 僕はカムランさんとベルモントさんから離れ、炎を囲んで踊っているみんなのところへ戻る。
 こんなに気持ちのいい開放感を味わったのは、本当に久々だ。



 翌日、楽しい旅を終えて、僕たち一行はファーブラに到着した。
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