無限のスキルゲッター! 毎月レアスキルと大量経験値を貰っている僕は、異次元の強さで無双する

まるずし

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第8章 英雄の育成

第398話 バトルロイヤル② -Another side-

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「お、おいノルト、そっちに行って大丈夫か?」

「草木が凄すぎてなんにも見えねーよ。こんなんで襲われたらイチコロだぜ?」

「ああ、無理せず隠れていたほうがいいんじゃないか?」

 金持ち貴族のドラ息子チームであるカイマス、ビーク、イアンガが、一応リーダー的立場のノルトに不安を漏らす。
 ノルトの指示で森の中を移動しているのだが、このサバイバル戦にどうにも自信がないのだ。
 ランゼたちよりはマシとはいえ、クラスでは明らかな落ちこぼれ組なので、無策でうろつくのは賢明な行動とは思えない。
 ランゼ相手に大きくイキがった割には情けない男たちである。

 その上、普段なら金に物を言わせた高級装備を着けているのだが、今回はクラス全員が模擬戦用の装備に統一されている。
 つまり、いつものような装備の性能によるアドバンテージがない。
 一番狙われているのはランゼチームなのは間違いないが、バトルロイヤル形式だけに、自分たちも安全というわけではない。
 ほかのチームと出会ってしまえば攻撃されるだろう。

 最初に脱落してしまったら最下位――退学だ。
 貴族の息子である彼らとしては、絶対に退学となるわけにはいかない。
 そんな状況であるから、下手に移動なんてするよりも、ずっと身を隠しているべきではないかとノルト以外の3人は考えていた。

「お前ら、そんな弱気でどうすんだよ! いいか、もし俺たちが隠れているところをランゼたちに見つかったら、先制攻撃されてやられちまう可能性だってあるんだぞ!」

 隠れることによって、万が一後手に回ってしまったら致命的な事態となる。
 それに、下手に隠れていると、可能性もあった。
 要するに、姿を晒していたほうが安全と、ノルトは考えているのだ。
 もちろん、そう考えるだけの理由はあるのだが。

「心配すんなって。俺たちを狙ってくるヤツなんていねーよ」

「ノルトがそう言うならまあいいけど……」

 そこまで言い切るからには何か勝算でもあるのだろうと、3人は渋々ノルトに従う。


 しばらく行くと、カイマスが突然悲鳴を上げた。

「イッ、イテエッ、なんだこりゃっ!? あれ、か、身体が痺れて……」

「どうしたカイマ……うわあああっ!?」

 カイマスに続いてイアンガも悲鳴を上げたかと思うと、いきなり足をすくわれたようにひっくり返され、そのまま逆さ宙吊りの姿になった。

「カイマス、イアンガ、いったい何が起こって……!?」

 突然のことにビークが驚くと、彼らを囲むように4人の男が現れた。
 もちろん、このサバイバル戦に参加しているクラスメイトたちだ。
 絶体絶命のドラ息子チームだが……。

「なんだ、ノルトのチームだったのか。すまねえ、ランゼたちかと思っちまった」

 4人のリーダーである男が、当てが外れたといった感じで言葉を漏らす。

「ゼファーか、一瞬焦ったぜ。イアンガを罠から下ろしてやってくれ」

「ちょっと待ってろ……ほらよっと!」

 ノルトに頼まれて、ゼファーと言われた男がサッとジャンプして、イアンガの足に巻き付いたロープを切る。
 そのまま逆さまに落ちてきたイアンガを、チームメイトが下で受け止めた。

 ゼファーという男は忍者で、忍び道具によって簡単な罠を張ることができた。
 カイマスが突然痛がったのは、地面に撒いてあった鋭いトゲ――麻痺薬を塗りつけた『マキビシ』を踏んだからで、それに驚いたイアンガもゼファーの作った罠によって宙吊りになったのだった。

「ノルト、いったいこれはどういうことなんだよ!?」

 麻痺からの回復薬を飲み、足の裏に刺さったマキビシを抜きながらカイマスが叫ぶ。

「ああ、なんでゼファーはオレたちを見逃してくれるんだ?」

 イアンガも宙吊りで痛めた足をさすりながら、この状況についてノルトに説明を求めた。

「わりぃわりぃ、別に内緒にするつもりはなかったんだけどな。この森に移動してくる間に、クラスの連中には俺たちを見逃してくれるよう頼んでおいたのさ」

 貴族のドラ息子たちは、普段からクラスメイトに色々物を分け与えたりしていたが、特にノルトは高価な金品をプレゼントすることが多かった。
 それによって、クラスの中心を担うような人物は全員ノルトの味方となっている。
 このサバイバル戦でも、ノルトたちを襲うようなチームはいなかった。
 隠れていると、逆に何かのきっかけでうっかりやられる可能性がある――つまり、かえって危ないという理由はコレだった。

 要するに、襲われることを気にせず、ノルトは悠々とランゼたちを仕留めに行けるということだ。
 誰かがランゼたちを仕留めてくれればそれでよし。自分たちで見つけてケリを付けるもよし。
 どう転んでも負けはない。そうノルトは考えていた。

 ちなみに、全チームがランゼたちの敵に回っているが、他クラスにはランゼたちの味方もいた。
 ランゼたちというより、サイファの味方であるが。
 大人しくて正統派美少女のサイファには、隠れファンが多く存在した。
 ただし、このクラスにおいては、アリーシアの存在が大きかった。

 全世界で人気絶頂のアイドルであるアリーシアと、直接会って話ができるのだ。
 どんな男子もほかの女子には目が行かず、アリーシアの虜になってしまうだろう。
 また、ランゼたちが孤立するよう、クラス内の女生徒の数も減らされている。
 これは学院長の仕業ではあるが。
 なので、残念ながらこのクラスの中には、ランゼたちを助けようとする者はいなかった。

「じゃあノルト、オレたちはあっちに行くぜ。ランゼたち用に罠を張っておくから、近付いてくるなよ?」

「分かった。ほかのチームにも言ってあるが、まずはランゼたちを狙ってくれ。真っ先にアイツらを脱落させるんだ」

「了解だ。ランゼたちの前に誰かが脱落しちまったらバカみたいだからな。全員協力してるから問題ないぜ」

 ゼファーの言葉を聞いて、ノルトたち4人は一安心する。
 これで自分たちの退学は絶対にないだろう。
 バトルロイヤルとなるのは、ランゼたちが脱落してからだ。

 改めて作戦を申し合わせたあと、ノルトたちはゼファーチームと別れた。


 ◇◇◇


 その後、森の中を探索し続けるノルトたちであるが、ランゼたちが撃破されたという報告がなかなか聞こえてこない。
 戦闘結果は着けている装備によって判定され、破れたチームは魔導音声によって森中に報される。
 その脱落の一報がいつまで経っても流れないのだ。

 すでにノルトたちは、ゼファー以外にも3チームとはち合わせしている。
 もちろん見逃してもらっているが、自分たちがこれほど他チームと遭遇しているのに、ランゼたちは未だ誰とも出会っていないのか?
 全チームで探しているというのに、これほど見つからないというのが不思議でたまらない。
 よほど上手く隠れているのだろうか?

 落ちこぼれのノルトたちとしては、ランゼたちとは言わずとも、まずは誰かに脱落してもらわない限り安心はできない。
 もちろん、ランゼたちが最初に脱落するのが理想ではあるが、とにかく自分たちが真っ先にやられてしまうのだけは避けたいところ。
 全チームが味方になってるとはいえ、予測していなかった異常事態に、ノルトたちは少々不穏な空気を感じ始めるのだった。

「おいノルト、いくらなんでもちょっとおかしいぜ。あのランゼたちが、こんなに長い時間見つからないなんて」

「そうだぜ。万が一にも先にオレたちがやられたらヤバイ。ゼファーか誰かのチームと合流しようぜ」

「……仕方ねーな。ランゼたちが脱落するまで、こっそり守ってもらうことにするか」

 バトルロイヤル形式のサバイバル戦だけに、他チームと合同で動くのはルール違反だ。
 そもそも協力態勢を取ってること自体ルール違反ではあるが、それでも名目上はお互い敵として、一応各チームごとに単独で行動していた。
 ランゼたちを真っ先に脱落させる計画ではあるが、あくまでも偶然を装うつもりだった。

 しかし、こうなったら、もはやなりふり構ってはいられない。
 ほかのチームに守ってもらうため、ノルトたちは合流目指して移動しようとする。

 その瞬間、どこからともなく一矢が飛んできて、カイマスの額に直撃した。

「ぐわっ、いてえっ!」

 攻撃の接触時には『緩和障壁プロテクション』が発動するため、頭部に矢が当たってもカイマスに大したダメージはない。
 しかし急所にヒットしたことにより、カイマスには撃破キル判定が出て失格となった。
 同時に拘束バインド効果も発生し、カイマスはその場に倒れ込んで身動き不能となる。

「だ、誰だっ、なんで俺たちを狙った!?」

 ノルトは矢の飛んできた方向を向いて叫ぶ。
 これは完全に想定外の出来事だ。

「がっ……ちくしょうっ、オレもやられた!」

 次の瞬間、ビークの額にも矢が命中した。
 カイマスと同じように、拘束バインド効果によってビークもその場に倒れ込む。

「やめろっ! 俺だ、ノルトだ、これ以上矢を射つな!」

 全員自分たちの味方のはずだ。それなのに、何故狙撃してくるのか分からない。
 ひょっとして、ランゼのチームと間違えて攻撃しているのではないだろうか?
 とにかく、これ以上やられたらまずい。ノルトは自分がランゼたちではないことを知らせるために大声で叫んだ。
 しかし、攻撃は止まなかった。

「あぐっ、オレも当たっちまった!」

「イアンガっ!? くそっ、いったいどこから射ってるんだ!?」

 額を押さえる間もなく硬直し、イアンガも地に転がる。
 相手はこっちをノルトチームと知って襲ってきている。つまり、裏切り者だ。
 自分までやられたらもう終わりだと、とっさにノルトは地面に伏せる。

 この見通しの悪い森の中、これほど正確に当ててくるのはいったい誰なのか?
 ノルトはクラスメイトたちの顔を頭に浮かべるが、該当するような人物が思い当たらない。
 裏切り者は誰なんだ……と考えたところで、重要なことに気付く。

 そうだ、
 裏切り者じゃないとしたら、自分たちを攻撃してくるチームはただ1つ……。


「ノルト、地面に這いつくばってるなんていい格好だな」


 ランゼの声がすぐそばから聞こえてきた。
 声につられてふと見上げると、いつの間にかランゼが目の前に立っていた。

 そう、攻撃してくるとしたらランゼたち無能チームだ。
 自分たちより遙かに劣るはずのランゼチーム――つまり弓使いのクリスティが、この正確無比な狙撃をしてきたというのか?
 彼女の実力を考えると、到底考えられないことだった。

「ランゼ、お前たちどこに隠れてたんだ!? みんなで探してたのに、こんなに逃げ続けるとは……」

「アタシたちが逃げる……? まさか! 隠密行動しながらお前たちを探してたんだ。最初に脱落させてやろうと思ってな。やっと見つけたぜ」

 ランゼたちが隠密行動だって!?
 クラス中の人間が探し回っているのに、それを掻いくぐってきたっていうのか?
 いつも青い顔しながらフラフラ逃げてるだけの奴らに、そんなことできるはずがない。

 そうか、やはり裏切り者がいる!
 誰かがこっそりランゼたちに協力してるに違いない。

「俺たちを脱落させるだと? ランゼのくせにずいぶん生意気な口をきくじゃないか。誰かを味方に付けていい気になってるみたいだが、この俺に無警戒で近付いてくるとはバカなヤツだぜ」

「誰かを味方? なんのこっちゃ知らねーけど、とりあえずアタシとタイマンしようぜ。そのためにお前のことは狙撃しなかったんだからな」

 この俺とタイマン?
 どこでそんな自信を付けてきたのか知らないが、まったく笑わせるセリフだ。
 目を瞑ってたって、ランゼなんかに負けるはずがない。
 ノルトは心の中で嘲笑する。

 不意打ちで仲間3人がやられてしまったが、ここでランゼを倒して一度撤退すれば問題ない。
 その後、まずは安全確保のためにほかのチーム――ゼファーたちと合流しよう。
 自分がやられたら終わりだ。無理することはない。

 どこかに隠れてるクリスティとサイファは、ゼファーたちに任せればいい。
 誰が裏切り者かは分からないが、ゼファーなら信頼できる。
 イレギュラーな展開にはなったが、それでなんとかなるはずだ。

 ノルトは立ち上がって、服に付いた土を手で払う。

「いいぜランゼ、かかってこいよ!」

 と余裕綽々で挑発するノルトの顔に、ランゼは開幕のパンチを打ち込んだ。

「へぶうっ」

 衝撃で2、3歩あとずさりしながら、ノルトは手で鼻を押さえる。

「どうしたノルト、今のはだいぶ手加減したんだぜ?」

 ランゼは一発で撃破キル判定が出ないように、敢えて軽く殴ったのだった。
 一応『緩和障壁プロテクション』は発動していたが、ノルトは鼻血を出していた。

「コイツ……調子に乗りやがって!」

 うっかり油断したことを反省し、ノルトは剣を抜いて斬りかかる。
 模擬戦用の剣だけに大きなダメージは与えられないが、少しでもランゼを痛い目に遭わせてやろうと、身体の弱い部分を狙って打ち込んでいく。
 しかし、剣先は空を切るばかりで、一向にランゼには当たらなかった。

「どっ、どういうことだ!? なんで当たらない!? がっ、ぶっ、おげっ……!」

 ランゼは攻撃を悠々と躱しながら、1発2発3発と、ノルトの顔にパンチを打ち込んでいく。
緩和障壁プロテクション』が発動するとはいえ、鼻はかなり痛みを感じる部分だ。
 ノルトは同じ場所を何度も打たれて涙目になっていく。

「ノルト、お前たちは普段いい装備に頼りすぎてるから、こういうとき力を発揮できないんだぞ」

 見下していたランゼから、まさかの説教を受けるノルト。
 その悔しさに頭が爆発しそうだが、何もできないままひたすらパンチを浴び続けるしかなかった。
 軽いダメージとはいえどんどん蓄積されていき、ノルトはもはやフラフラな足取りとなる。

「悪いなノルト、アタシたちの代わりに学校から去ってくれ」

 そう言って、ランゼは撃破キル判定となる強い一撃をノルトに打ち込んだ。
 その衝撃と拘束バインド効果によって、ノルトは気を失ってしまった……。


「ランゼってば、やり過ぎじゃないの?」

「ノルトくん、ちょっと可哀想ですよ?」

 無事戦闘が終了し、離れて見ていたクリスティとサイファがランゼのもとに寄ってくる。

「いやあアタシとしたことが、日頃の恨みが溜まってたんで、少々意地悪なことしちまったな。もうこんな戦いはしないって」

 ランゼは頭をポリポリ掻きながら、自らの行いを反省するのだった。
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