少年の短い家出

みすたー.そいそーす

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吃驚《きっきょう》

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 ないから当然と言えば当然だ。駅のホームで一人電車を待っていると、一人の男性がこちらに向かって歩いてきた。警察だ。僕は帽子を深くかぶりばれない程度に背伸びをした。

(どうか気づかないでくれ。)

 俺は心の中でそう願った。だが、そんな俺の思いとは裏腹に警察は僕に声を掛けてきた。

「ちょっとお話いいかな?君学生さんだよね?」

 ここで変な嘘をついて話がごっちゃになるのも嫌なので僕は正直に答えた。

「はい、そうです。」

「じゃあ学校はどうしたの?」

「実は、今日おばあちゃんの葬式なんです。一昨日なくなってしまって。」

 俺は渾身の演技で乗り切ろうとしたがその思いは届かなかった。

「君名前は?どこの学校の子?」

「えーとその、、、」

 俺が言いかけたその時。

「ちょっとここで待っててね。メモ用紙取ってくるから」

 そういって警察はいったん僕のもとを離れた。速く電車来てくれと警察が帰ってくるまでに何度も願った。すると、線路の奥の方に電車の頭が見えた。がそれと同時に警察も帰ってきた。

「それで君の名前は?」

「名前は無明匠《むみょうたくみ》です。学校は山上学校です。」

「じゃあ少し連絡入れるから待っててね。」

 そういって警察はスマホをポケットから取り出して電話を掛けた。ホームの横には電車の扉が開いていた。俺は扉が閉まり始めた瞬間に、足にグッと力をこめ走りこんだ。

「ちょっと君!待ちなさい!」

 警察の声が聞こえたが俺はもう後に引く気がなかった。電車が動き始めた。電車にはほかの客がおらず、自分一人だけがこの電車に乗っている唯一の客だった。窓の外で流れゆく景色を見ていると時間が過ぎていた。ふと目を覚ます。ちょうど次の駅が目的地だ。俺は名無ノさんに連絡を入れた。

『突然の連絡すいません。実はさっき駅を出るときに警察につかまってしまい、逃げてきたのですがどうすればいいですか?』

 するとすぐに携帯がピコリンと音を鳴らした。確認すると名無ノさんから返信が来ていた。

『口実はどうしたの?多分、次の駅に連絡入れてると思うから協力するよ。』

『ありがとうございます!口実はおばあちゃんの葬式に行くと伝えました。』

『りょーかい!』

 そのあと数分間電車で揺られながら、目的地へ向かった。
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