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4.王子の葛藤
彼女が欲しい
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母親が、あの日どこかに連れて行かれたことは、鮮明に覚えている。
でも、俺は心のどこかで、この国の……この城のどこかにいるのだと、信じていた。
まさか……すでに、この国に母親がいないなんて、思わなかった。
「最初は父上も激怒していた。だけど、この件で、かの国との信頼関係を築き上げた正妃に対して、外交的に下手な対応を取ることが許されない状況にもなっていた。かの国との交流は父上にとって難関だったから……その突破口を正妃が作った形でもある。子供ながら、父親が哀れだと、思ったよ。父親は魔力も弱いが、何より頭がとても弱いから」
俺は、心底目の前の男が怖いと思った。
何故、そんなことをこの男が知っているのか。
どうして、そんな事情を今このタイミングで俺に話すのか。
「ああそうそう。これも君には話しておいた方が、いいかもしれないね。父上は、自分にとって都合の良いことしか、君には話してないだろうしね」
(まだ何かあるのか……!?)
「かの国の王女とお前の子供を体外受精で作るって話が出たんだろ?」
「……っ!?」
「あれね……僕の……アイディアなんだ」
「何だって……!?」
「僕が父上に教えてあげたんだ。かの国王女は、君の母君……つまり父上が愛した寵姫が産んだ娘。だから婚姻という形で、寵姫の血を継いだ王女を公式に手に入れてしまえばいいんじゃないのって」
つまり……かの国の王女は……俺の実の妹……ということ!?
「父上は……それはそれは喜んでくれたよ。僕のアイディアを。……初めてじゃ、ないかな。こんなに僕をいっぱい褒めてくれたのは……」
「……何で……そんな……」
「父上はね……魔力増幅の件なんか、本当はどうだって良いと思っているんだ」
(ノアも……魔力の秘密を知っているのか……!!)
「王女の絵姿を見た時……父上はすぐに王女を手に入れたいと考えた。だから最初は、王の寵姫として迎えるように交渉したそうだよ。もちろんすぐ断られた……まあ、当然だよね……。それですぐ、次の王位継承権を持つ人間の正妃にすることであれば、認めるという条件を出してきたんだ」
「……ちょっと待て」
「何だ?」
「かの国の王女は、間違いなく……俺の母上の娘なのか?」
「顔は瓜二つだったね」
「……じゃあ父上は、……俺の妹かもしれない女と俺を、結婚させようとしているのか」
「対外的には兄妹と知られてはいないから、問題ないと考えたんじゃないか?」
(そんなバカな……!!)
「……体外受精をするというのは……」
「これは父上の単なる言い訳。君と王女をセックスさせたくないから。……父上はきっと、王女を君の正妃として、正式に迎えた後は自分の寝所に連れ込むのさ。そして、君ではなくて、自分の子供を産ませて、君の子だと偽るためさ」
「……そんなこと……許されて良いのか……?」
「この国はまだ、王の……王族の国……だからね。まあ必要に応じて、本当に君と王女の子供は創る必要はあるから……その時は体外受精で体の接触なしで作れば良いんじゃないのって教えてあげたら……父上はその気になったよ」
ノアは、その後、言葉をつなげなかった。
まるで、自分で考えろ……とでも言うかのように。
俺は……さまざまな疑問がやはり浮かび上がったものの、どうしてもこれだけは、先に聞きたかった。
「お前……何者なんだ……」
「ただの、君の兄であり……君のために身を粉にして働く従順なしもべだよ……まだね」
ノアがふっと笑った。
「でも……ちょっと最近、考えが変わったんだ」
「何……?」
「王位継承権には興味はない。こんなものがなかったおかげで自由に生きられたから、愛する弟の君にそのお荷物を背負ってもらって本当にありがたいと思ったよ。おかげで僕は、いつでも自由に外に行ける。見たいものを自由に見られる」
「……っ」
「白紙の子と呼ばれ、城の中では腫れ物のように扱われるが……外の世界に行けば関係ない。力さえあれば、生きていける。その力は、相手をねじ伏せさえすれば、どんな形でも良いんだ」
「……何が言いたい……」
「でも……王位継承権を持つ人間だけしか手に入れられないものに、僕は今……とてもとても、興味があるんだ」
その言い回し。
嫌な予感が……した。
ノアは舌なめずりをしながらこう言った。
「カサブランカ。彼女が欲しい」
でも、俺は心のどこかで、この国の……この城のどこかにいるのだと、信じていた。
まさか……すでに、この国に母親がいないなんて、思わなかった。
「最初は父上も激怒していた。だけど、この件で、かの国との信頼関係を築き上げた正妃に対して、外交的に下手な対応を取ることが許されない状況にもなっていた。かの国との交流は父上にとって難関だったから……その突破口を正妃が作った形でもある。子供ながら、父親が哀れだと、思ったよ。父親は魔力も弱いが、何より頭がとても弱いから」
俺は、心底目の前の男が怖いと思った。
何故、そんなことをこの男が知っているのか。
どうして、そんな事情を今このタイミングで俺に話すのか。
「ああそうそう。これも君には話しておいた方が、いいかもしれないね。父上は、自分にとって都合の良いことしか、君には話してないだろうしね」
(まだ何かあるのか……!?)
「かの国の王女とお前の子供を体外受精で作るって話が出たんだろ?」
「……っ!?」
「あれね……僕の……アイディアなんだ」
「何だって……!?」
「僕が父上に教えてあげたんだ。かの国王女は、君の母君……つまり父上が愛した寵姫が産んだ娘。だから婚姻という形で、寵姫の血を継いだ王女を公式に手に入れてしまえばいいんじゃないのって」
つまり……かの国の王女は……俺の実の妹……ということ!?
「父上は……それはそれは喜んでくれたよ。僕のアイディアを。……初めてじゃ、ないかな。こんなに僕をいっぱい褒めてくれたのは……」
「……何で……そんな……」
「父上はね……魔力増幅の件なんか、本当はどうだって良いと思っているんだ」
(ノアも……魔力の秘密を知っているのか……!!)
「王女の絵姿を見た時……父上はすぐに王女を手に入れたいと考えた。だから最初は、王の寵姫として迎えるように交渉したそうだよ。もちろんすぐ断られた……まあ、当然だよね……。それですぐ、次の王位継承権を持つ人間の正妃にすることであれば、認めるという条件を出してきたんだ」
「……ちょっと待て」
「何だ?」
「かの国の王女は、間違いなく……俺の母上の娘なのか?」
「顔は瓜二つだったね」
「……じゃあ父上は、……俺の妹かもしれない女と俺を、結婚させようとしているのか」
「対外的には兄妹と知られてはいないから、問題ないと考えたんじゃないか?」
(そんなバカな……!!)
「……体外受精をするというのは……」
「これは父上の単なる言い訳。君と王女をセックスさせたくないから。……父上はきっと、王女を君の正妃として、正式に迎えた後は自分の寝所に連れ込むのさ。そして、君ではなくて、自分の子供を産ませて、君の子だと偽るためさ」
「……そんなこと……許されて良いのか……?」
「この国はまだ、王の……王族の国……だからね。まあ必要に応じて、本当に君と王女の子供は創る必要はあるから……その時は体外受精で体の接触なしで作れば良いんじゃないのって教えてあげたら……父上はその気になったよ」
ノアは、その後、言葉をつなげなかった。
まるで、自分で考えろ……とでも言うかのように。
俺は……さまざまな疑問がやはり浮かび上がったものの、どうしてもこれだけは、先に聞きたかった。
「お前……何者なんだ……」
「ただの、君の兄であり……君のために身を粉にして働く従順なしもべだよ……まだね」
ノアがふっと笑った。
「でも……ちょっと最近、考えが変わったんだ」
「何……?」
「王位継承権には興味はない。こんなものがなかったおかげで自由に生きられたから、愛する弟の君にそのお荷物を背負ってもらって本当にありがたいと思ったよ。おかげで僕は、いつでも自由に外に行ける。見たいものを自由に見られる」
「……っ」
「白紙の子と呼ばれ、城の中では腫れ物のように扱われるが……外の世界に行けば関係ない。力さえあれば、生きていける。その力は、相手をねじ伏せさえすれば、どんな形でも良いんだ」
「……何が言いたい……」
「でも……王位継承権を持つ人間だけしか手に入れられないものに、僕は今……とてもとても、興味があるんだ」
その言い回し。
嫌な予感が……した。
ノアは舌なめずりをしながらこう言った。
「カサブランカ。彼女が欲しい」
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