196 / 455
7.呪われしアルストメリー
神の力を操る魔人 ルカ
しおりを挟む
アルフィーがルカと会ったのは、アルフィーが夜、森の中でキノコを焼いていた時。
夜に、獣に襲われないように火を起こし、その火を使って食事をする。
国にいて、国の規則の中で守られている間は、する必要がなかった行為。
ただ、知識としては知っていた。
知っていただけの知識は、こうして自分を助けてくれる。
命を、繋いでくれる。
人と共に生きない方が良いのではとまで、アルフィーは思いながら、キノコを頬張ったまさにその瞬間、いきなり周囲の草むらからザワザワと音がした。
アルフィーは獣を警戒した。
急いで即席で作った松明に火を灯してから
「そこにいるのは誰だ!!」
と大声で叫んだ。
(猪だったら、そのまま炎に放り込んで、丸焼きにでもしてやろうか……)
などとアルフィーが考えていると、ぎゅるるるると、耳馴染みがある奇妙な音がした。
それと同時に
「お腹が減った……」
見た目は10歳になりたてという少女が、ぼろぼろの布切れを纏っただけの姿で現れた。
「お前……人間か……!?」
「……あっ……!!!」
アルフィーの問いかけに対して、少女は答えない。
その代わりに、じーっとキノコを焼いている炎の方を見たかと思うと
「おじさん!あれ、ちょうだい!」
「おじっ……!?」
アルフィーはこの時20歳そこそこ。
国にいた時の友人の何人かは、子供を持っている年齢ではあるものの、おじさんと言われるのは、とても癪だったので
「コラ!勝手に食うな」
と、少女の首根っこを捕まえた。
見た目よりずっと軽かった少女の体に驚いたアルフィーは、ゆっくり自分の横に座らせながら
「お前、一体なんだ?」
と聞いた。
子供の暗殺者を使う国もあると、アルフィーは知識としては知っていた。
そして、この少女が自分を殺すために送り込まれた暗殺者である……という可能性が頭をよぎったので、いつでも反撃できるようにと胸に仕込んだナイフを意識した。
すると、少女はその隙をついて、キノコを取ると
「おいしー!!!」
と大声をあげた。
ただ、それだけならまだ良かったが、アルフィーが耳を疑ったのは少女の次の言葉だった。
「神様ってすごーい!ほんとに私が食べたもの、食べさせてくれたー!」
「……なんだって?」
アルフィーが尋ねると、少女は2つ目のキノコに手を伸ばしながら
「私がキノコを食べたいって神様にお願いしたらね、西に行きなさい、キノコを食べられるようにしておいてやるって、神様が言ってくれたの……!」
アルフィーが「神の力を操る魔」の力を知ったのは、ここから始まった少女のおしゃべりから。
少女は、自らをルカと名乗り、神様のことをアルフィーにベラベラと聞いてもいないことまで、話し始めた。
夜に、獣に襲われないように火を起こし、その火を使って食事をする。
国にいて、国の規則の中で守られている間は、する必要がなかった行為。
ただ、知識としては知っていた。
知っていただけの知識は、こうして自分を助けてくれる。
命を、繋いでくれる。
人と共に生きない方が良いのではとまで、アルフィーは思いながら、キノコを頬張ったまさにその瞬間、いきなり周囲の草むらからザワザワと音がした。
アルフィーは獣を警戒した。
急いで即席で作った松明に火を灯してから
「そこにいるのは誰だ!!」
と大声で叫んだ。
(猪だったら、そのまま炎に放り込んで、丸焼きにでもしてやろうか……)
などとアルフィーが考えていると、ぎゅるるるると、耳馴染みがある奇妙な音がした。
それと同時に
「お腹が減った……」
見た目は10歳になりたてという少女が、ぼろぼろの布切れを纏っただけの姿で現れた。
「お前……人間か……!?」
「……あっ……!!!」
アルフィーの問いかけに対して、少女は答えない。
その代わりに、じーっとキノコを焼いている炎の方を見たかと思うと
「おじさん!あれ、ちょうだい!」
「おじっ……!?」
アルフィーはこの時20歳そこそこ。
国にいた時の友人の何人かは、子供を持っている年齢ではあるものの、おじさんと言われるのは、とても癪だったので
「コラ!勝手に食うな」
と、少女の首根っこを捕まえた。
見た目よりずっと軽かった少女の体に驚いたアルフィーは、ゆっくり自分の横に座らせながら
「お前、一体なんだ?」
と聞いた。
子供の暗殺者を使う国もあると、アルフィーは知識としては知っていた。
そして、この少女が自分を殺すために送り込まれた暗殺者である……という可能性が頭をよぎったので、いつでも反撃できるようにと胸に仕込んだナイフを意識した。
すると、少女はその隙をついて、キノコを取ると
「おいしー!!!」
と大声をあげた。
ただ、それだけならまだ良かったが、アルフィーが耳を疑ったのは少女の次の言葉だった。
「神様ってすごーい!ほんとに私が食べたもの、食べさせてくれたー!」
「……なんだって?」
アルフィーが尋ねると、少女は2つ目のキノコに手を伸ばしながら
「私がキノコを食べたいって神様にお願いしたらね、西に行きなさい、キノコを食べられるようにしておいてやるって、神様が言ってくれたの……!」
アルフィーが「神の力を操る魔」の力を知ったのは、ここから始まった少女のおしゃべりから。
少女は、自らをルカと名乗り、神様のことをアルフィーにベラベラと聞いてもいないことまで、話し始めた。
0
あなたにおすすめの小説
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
セクスカリバーをヌキました!
桂
ファンタジー
とある世界の森の奥地に真の勇者だけに抜けると言い伝えられている聖剣「セクスカリバー」が岩に刺さって存在していた。
国一番の剣士の少女ステラはセクスカリバーを抜くことに成功するが、セクスカリバーはステラの膣を鞘代わりにして収まってしまう。
ステラはセクスカリバーを抜けないまま武闘会に出場して……
男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…?
最新章の第五章も夕方18時に更新予定です!
☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。
※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます!
※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。
※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる