【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

7.呪われしアルストメリー

いつか、私が仕掛けたことに気づくと思っていましたが……

「ちょっ！何を……！」
「あなたの、望む結果を作るためにしていることです」

私の焦りに反比例するかのように、ノアが淡々と答える。
ノアが何をアザレアにしているのかの答えが見えないまま、私はノアの行動を見ているしかできない。
アザレアの中に、ノアが放ったオーラが全て吸い込まれたのを見届けると、ノアはアザレアの前髪を２回ほど撫でてから、そっと離れた。
私の方から見ると、アザレアの顔色は、ほんの少しだけ良くなった気がした。

「アザレア……！」

いや、ここはアルフィーと呼ぶべきなのか？
どっちの名前を呼び掛ければ、今目の前にいる存在は反応するのだろう。
呼びかけ方１つ検討もつかない自分が、ほんの少し情けないと思った。

「まだ、頭を揺らさないでください」
「え」
「脳の経路が、まだ固まっていないでしょうから」
「脳の……経路？」
「はい。今、アザレアの脳回路を少しだけ変えました」

なんと。
アルフィーをどうにかしろと言ったのに、ノアがどうにかしたのはアザレアの方だった。
ノアは、続けて驚くことを言った。

「エディ王子を感じないように、アザレアの脳をコントロールさせていただきました」
「どう……して……」

そもそも、ノアが言っている方法が私には理解できないのだが、それ以前に。
アザレア本人が、エディ王子に何かを感じているとは思えない。
エディ王子を憎んでいるのは、アルフィーという存在だ。
何故、アザレアの脳を操作することが……

「エディ王子と、彼が本当に恨んでいる人間との関係性をわからなくしました」

とノアが平然と述べることに繋がるのか。

「そんなことができるの……？」

エディ王子と、メルキオールの関係性が分からなくなるようにするなんて。
それも、アザレアの……体を乗っ取っているとは言え……アルフィーとは別人の脳をコントロールすることで。

「彼女の脳神経の接続を変えました。そうすることで、この肉体を通して見える世界は、変わるのです」
「肉体を……通して……」
「心を受け止めるのは肉体……特に脳です。その構造を変えることで、その体に入っている間の心をコントロールすることは簡単なのです」

ここで、確信した。
ノアは、私がステラから教わった内容をすでに知っているのだと。
体、心、そして魂の関連性。

「じゃあまさか、この体も……」

私は、カサブランカの体を抱きしめた。
ずっと残っていた違和感。
ぽっかりと空いた、脳の空洞。
ノアは、私の言葉に……ただただ微笑んだ。
そして、言った。

「あなたは、とても頭が良い方だ。いつか、私が仕掛けたことに気づくと思っていましたが……まさか、こんなにすぐだとは思いませんでした」