【R18】処女だったのに、異世界転生したら俺様王子の伽の相手として調教されていました

7.呪われしアルストメリー

かつて受けたセクシャルハラスメント

セクシャルハラスメントとは。
他の人が不快になるような、性的な言動のことを言う。
ただし、基本的は、受け手が不快と思うかどうかが、判断基準になる。
以前、私に似たような事をしてきた人がいた。
新しく私の上司になったという男。
そこそこイケメンで、同僚達は羨ましがった。

「あんな人からだったら、私も言われたい」

冗談じゃない。
あんな言葉を、そのイケメンから直接言われた身にもなってみろ。

「君と結ばれたら、気持ちよさそうだね」

だなんて。
そんなセリフは乙女ゲームの中で言え。
現実で吐くな。
そんなことを考えながら、電車の中で濃厚なTL小説をマスクでにやけ顔が隠れるのを良いことに読み耽ったのは、なかなか恥ずかしい思い出だ。
そして今、エディ王子にされたのは言葉を通り越した肉体的接触。
とはいえ、すでにヤルことはヤっちゃってる。
それに
「セクハラとはどういう意味か」
を議論するより、優先順位が高いことはずっと多い。
結論として、私はエディ王子の質問をスルーすることに決めた。

「キスする前に、やること、あると思うのですが？」

私は、上を指差して言った。
流石にこれを言えば、エディ王子も分かってくれるだろう。
自分が今、鎖に繋がっていて、そこから抜け出さないといけないという状態であることを。

「お前とキスすること以外にあるのか？」
「はい…………？」

瞬殺された。

（こいつ、こんな恋愛脳だったっけ……）

と疑問が浮かび上がった。
が、すぐに思い出した。
確かに小説の中のエディ王子は、プルメリアに対してはものすごくベタ甘なセリフを吐きまくっていた。
読む分には、いくら甘くたって良い。
読める砂糖という表現が合っているのかもしれない。
舐めたい時に舐められる、でもカロリーは０……そんな効率的な脳の糖分補給にピッタリ。
だけど、実際に砂糖を体に浴びせられたらどうだろう。
ざらざらするし、ベタベタする。
TOPが完璧にアウトだったら、ただただ不快でしかない。

「カシー、どうした？何故黙る」
「んーとー……」

イケメンが自分を求めてくれる、熱を帯びた顔というのは何度見ても女としては悪い気はしないのに。

（やっぱりこの王子、色々残念すぎる……）

とりあえず、一旦落ち着かせるために

「私の話を聞いてください！そうしましたら、いくらでもエディ王子にキスして差し上げますから！」

と言ってみた。
すると、背景に花がぶわっと咲きそうな満面の笑みをエディ王子が浮かべたので、私の罪悪感はますます広がっていく。

とはいえ、落ち着いて話を聞いてくれる状態にはできたので、次は鎖の課題を解決することにした。
そっちの方が、まだ心のハードルが低いから。