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7.呪われしアルストメリー
人に説明する才能、皆無だな
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「ねえ、アルフィーさん。状況整理、手伝ってもらっていいですか」
「俺も同じことを言おうと思っていた」
アルフィーと即次の行動の擦り合わせができたところで、邪魔が入った。
「おい、か……ランカ、一体何が起こってるんだ?」
(もう、邪魔しないで……!)
「エンディーはごめん、まだ黙ってて、ちゃんと後で説明するから」
「…………本当に、大丈夫なのか」
声から、私のことを心配してくれているのは分かったので、それは素直に嬉しかった。
「心配してくれてありがとう。悪いことではないから」
と、私がエディ王子を軽くあしらおうとした時。
「おいランカ、先にエンディーに説明した方がいいのではないか?」
「何を?」
「今、お前が話している相手が俺だということだ。俺には、エンディーの様子が、お前の視界越しに見えるんだが、相当困惑した様子だぞ」
「え、何で……」
「俺の声が聞こえているのは、お前だけだからな」
「え」
「なんだ、気づいていなかったのか?」
「全く」
ただ、声の聞こえ方が違うとは思っていた。
耳から聞こえるのと、脳に直接響くのとで。
でも、それくらいの違いだとしか、思っていなかった。
「俺は今、お前の脳に取り憑いている状態らしい」
「と、取り憑い……」
(言葉が、なんか嫌だ)
「つまり、それって?」
「だから、俺の声がエンディーには聞こえないのだ。物理的に声という形で外に出しているわけではないから」
「んー……」
(なるほど、よくわからん)
「じゃあ、エンディーに説明すればいいのね」
「それが無難そうだぞ。今、自分に説明するという言葉を聞いて、目を輝かせているからな」
「な、なるほど……?」
(とはいえ、何から説明すればいいのだろう)
私は、少しだけ考えた。
起きている現象を、全て他人に解説できる程、そもそも私自身が理解をしていない。
その前提条件を考えると、今、最も無難な説明を選ぶことにした。
エンディーのためというより、私の労力を最大限に削減するための方法だけど。
「エンディー、聞こえる?」
「聞こえるも何も、すぐ横にいるだろう」
「うん、そうなんだけど、私あなたの姿見えてないの」
「は?」
「どうも、私が見えている世界は、アルフィーさんが見ていた記憶らしくて」
「は?え?」
「あ、それから、私はこれから人と喋るけど、それ、相手アルフィーさんだから」
「ちょっ、ちょっと待て」
「だから、私が独り言を言ってる時は、ちゃんと相手がいて喋ってるってことだから。という説明で、アルフィーさんOKでしょうか」
私がアルフィーに確認すると、暫く無言状態が続いてから
「人に説明する才能、皆無だな」
「なっ……」
「エンディーが、ますます困惑しているぞ。このままだと涙を流してもおかしくない」
怒られた。
というか、エディ王子泣きそうなのか。
(それは、ちょっと見てみたい)
などと考えている間、また風を感じる程の長~いため息をアルフィーが私の脳の中でついたかと思うと
「いいか、ランカ」
「はい」
「俺が言うことを、そのままそっくり話せ」
「え?」
(やだ、めんどくさそう)
「今、めんどくさいとか思っただろう」
「げっ……」
(何故、わかった)
「何故わかった、とお前考えたな」
「……はい……」
(ど、どうして……)
「なるほど。状況は理解できた」
「え!?本当に?」
「俺は、知の魔人だぞ。これくらいは余裕だ」
「あ、そうですね、愚問でした。すみません」
「と言うわけでランカ、いいな。今から、一字一句漏らさずにエンディーに説明しろ」
「……でも……」
「返事は」
「……はい……」
知の魔人というのは、自然と教師のように振る舞うようになるのだろうか。
結果として、アルフィーの言葉を使い、エディ王子に説明することになったわけだが
「なるほど、合点がいった。そういうことか」
と、私が説明した時よりも、声に張りと明るさが戻っていた。
ちょっと、ムカついたので、私はエディ王子の足がありそうなところを思いっきり踏んづけてやった。
「っ……!」
というエディ王子の痛がる声が聞こえたので、ちょっとだけ満足した。
「俺も同じことを言おうと思っていた」
アルフィーと即次の行動の擦り合わせができたところで、邪魔が入った。
「おい、か……ランカ、一体何が起こってるんだ?」
(もう、邪魔しないで……!)
「エンディーはごめん、まだ黙ってて、ちゃんと後で説明するから」
「…………本当に、大丈夫なのか」
声から、私のことを心配してくれているのは分かったので、それは素直に嬉しかった。
「心配してくれてありがとう。悪いことではないから」
と、私がエディ王子を軽くあしらおうとした時。
「おいランカ、先にエンディーに説明した方がいいのではないか?」
「何を?」
「今、お前が話している相手が俺だということだ。俺には、エンディーの様子が、お前の視界越しに見えるんだが、相当困惑した様子だぞ」
「え、何で……」
「俺の声が聞こえているのは、お前だけだからな」
「え」
「なんだ、気づいていなかったのか?」
「全く」
ただ、声の聞こえ方が違うとは思っていた。
耳から聞こえるのと、脳に直接響くのとで。
でも、それくらいの違いだとしか、思っていなかった。
「俺は今、お前の脳に取り憑いている状態らしい」
「と、取り憑い……」
(言葉が、なんか嫌だ)
「つまり、それって?」
「だから、俺の声がエンディーには聞こえないのだ。物理的に声という形で外に出しているわけではないから」
「んー……」
(なるほど、よくわからん)
「じゃあ、エンディーに説明すればいいのね」
「それが無難そうだぞ。今、自分に説明するという言葉を聞いて、目を輝かせているからな」
「な、なるほど……?」
(とはいえ、何から説明すればいいのだろう)
私は、少しだけ考えた。
起きている現象を、全て他人に解説できる程、そもそも私自身が理解をしていない。
その前提条件を考えると、今、最も無難な説明を選ぶことにした。
エンディーのためというより、私の労力を最大限に削減するための方法だけど。
「エンディー、聞こえる?」
「聞こえるも何も、すぐ横にいるだろう」
「うん、そうなんだけど、私あなたの姿見えてないの」
「は?」
「どうも、私が見えている世界は、アルフィーさんが見ていた記憶らしくて」
「は?え?」
「あ、それから、私はこれから人と喋るけど、それ、相手アルフィーさんだから」
「ちょっ、ちょっと待て」
「だから、私が独り言を言ってる時は、ちゃんと相手がいて喋ってるってことだから。という説明で、アルフィーさんOKでしょうか」
私がアルフィーに確認すると、暫く無言状態が続いてから
「人に説明する才能、皆無だな」
「なっ……」
「エンディーが、ますます困惑しているぞ。このままだと涙を流してもおかしくない」
怒られた。
というか、エディ王子泣きそうなのか。
(それは、ちょっと見てみたい)
などと考えている間、また風を感じる程の長~いため息をアルフィーが私の脳の中でついたかと思うと
「いいか、ランカ」
「はい」
「俺が言うことを、そのままそっくり話せ」
「え?」
(やだ、めんどくさそう)
「今、めんどくさいとか思っただろう」
「げっ……」
(何故、わかった)
「何故わかった、とお前考えたな」
「……はい……」
(ど、どうして……)
「なるほど。状況は理解できた」
「え!?本当に?」
「俺は、知の魔人だぞ。これくらいは余裕だ」
「あ、そうですね、愚問でした。すみません」
「と言うわけでランカ、いいな。今から、一字一句漏らさずにエンディーに説明しろ」
「……でも……」
「返事は」
「……はい……」
知の魔人というのは、自然と教師のように振る舞うようになるのだろうか。
結果として、アルフィーの言葉を使い、エディ王子に説明することになったわけだが
「なるほど、合点がいった。そういうことか」
と、私が説明した時よりも、声に張りと明るさが戻っていた。
ちょっと、ムカついたので、私はエディ王子の足がありそうなところを思いっきり踏んづけてやった。
「っ……!」
というエディ王子の痛がる声が聞こえたので、ちょっとだけ満足した。
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