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8.神から与えられたのは、罰と……
3つの悲惨な光景
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アルフィーが城に帰れたのは、それから10回太陽が沈んだ後。
行きはメルキオールの力であっという間だった距離を、徒歩で帰ることは、体力がそんなにないアルフィーにとって、非常に過酷だった。
とはいえ、アルフィーの武器でもある知識のおかげもあり、並大抵のことであればその知識で解決できてしまったので、まだ良かった。
だが、問題はアルフィーが城に到着してから。
野生動物同士の戦いや、災害で滅んだ遺跡なんかよりずっと悲惨な光景が待ち受けていた。
まず1つ目。
それは、城の周りの惨状。
野生の動物達が引きちぎられた死体がゴロゴロと転がっていた。
確かに、食用として動物の命を貰うことはある。
だが、その時はこんなゴミを捨てるような扱いには決してしない。
丁寧に感謝を込めて、骨は土に還していた。
一体誰がこんなことをしたのか……。
明らかに、人の手ではできないであろう、切り裂かれ方だった。
心当たりがあるとしたら……。
「まさか、メルキオールが……?」
1度だけ見せてもらったことがあった。
風を使い、ナイフのようにあっという間に獣の肉を捌く様子を。
その時メルキオールが用いたのは、かまいたち現象を引き起こす方法。
メルキオール自身は
「かま?イタチ?動物なんていないじゃないか」
と、イタチの仲間と誤解していたが、その現象を人為的に引き起こす方法は、まだこの世界では解明されていなかった。
アルフィーの知的好奇心がその時久し振りに疼いたので、アルフィーはよくその日のことを覚えている。
だからこそ、違和感も同時に覚えているのだ。
少なくとも、その時の獣の断面は、とても美しかった。
決して引きちぎられたかのような、ぐちゃぐちゃな断面ではなかったのだ。
そうなると、メルキオールの仕業ではないかもしれない?
だとすると、一体誰が……。
そんなことを考えながら、城の中に入ったアルフィーは2つ目の悲惨な光景を目にすることになる。
廊下のあちこちに、血が飛び散っているのだ。
もしこれが、1人の血であれば……その人間はすでに死んでいるべき出血量なのは間違いなかった。
「何だ……これは…………」
充満する血の臭いに吐き気が止まらないアルフィーだった。
本当は、ここから逃げ出してしまった方がずっと安全だったかもしれない。
でも……アルフィーには逃げ出す勇気がなかった。
一歩ずつ、慎重に歩きながら、血をたどっていく。
その血は、ある場所へと続いていた。
そこは、神を司る魔人であるルカのリクエストで作った、神のための祭壇の部屋。
普段はルカ以外立ち入ることができない、禁断の空間となっていた。
その空間は、ルカのリクエストによりステラの魔によって、特殊な工夫が施されているらしかった。
具体的にどんな工夫かは、ステラとルカの間だけの秘密になっていた。
だから。
扉が開いている今の状況が、もはや異常事態を指し示していることだけは、アルフィーには分かった。
入ってはいけないと、アルフィーの本能が言う。
でも入らなければ。
確認しなければ。
アルフィーの理性と正義感が警鐘を鳴らす。
そして、しばらく自分の中で押し問答を繰り返してから、アルフィーは禁断だった空間への一歩踏み出した。
そこにあったのは、3つ目の悲惨な光景。
その中心にいたのは……。
「と……トラヴィス!?」
行きはメルキオールの力であっという間だった距離を、徒歩で帰ることは、体力がそんなにないアルフィーにとって、非常に過酷だった。
とはいえ、アルフィーの武器でもある知識のおかげもあり、並大抵のことであればその知識で解決できてしまったので、まだ良かった。
だが、問題はアルフィーが城に到着してから。
野生動物同士の戦いや、災害で滅んだ遺跡なんかよりずっと悲惨な光景が待ち受けていた。
まず1つ目。
それは、城の周りの惨状。
野生の動物達が引きちぎられた死体がゴロゴロと転がっていた。
確かに、食用として動物の命を貰うことはある。
だが、その時はこんなゴミを捨てるような扱いには決してしない。
丁寧に感謝を込めて、骨は土に還していた。
一体誰がこんなことをしたのか……。
明らかに、人の手ではできないであろう、切り裂かれ方だった。
心当たりがあるとしたら……。
「まさか、メルキオールが……?」
1度だけ見せてもらったことがあった。
風を使い、ナイフのようにあっという間に獣の肉を捌く様子を。
その時メルキオールが用いたのは、かまいたち現象を引き起こす方法。
メルキオール自身は
「かま?イタチ?動物なんていないじゃないか」
と、イタチの仲間と誤解していたが、その現象を人為的に引き起こす方法は、まだこの世界では解明されていなかった。
アルフィーの知的好奇心がその時久し振りに疼いたので、アルフィーはよくその日のことを覚えている。
だからこそ、違和感も同時に覚えているのだ。
少なくとも、その時の獣の断面は、とても美しかった。
決して引きちぎられたかのような、ぐちゃぐちゃな断面ではなかったのだ。
そうなると、メルキオールの仕業ではないかもしれない?
だとすると、一体誰が……。
そんなことを考えながら、城の中に入ったアルフィーは2つ目の悲惨な光景を目にすることになる。
廊下のあちこちに、血が飛び散っているのだ。
もしこれが、1人の血であれば……その人間はすでに死んでいるべき出血量なのは間違いなかった。
「何だ……これは…………」
充満する血の臭いに吐き気が止まらないアルフィーだった。
本当は、ここから逃げ出してしまった方がずっと安全だったかもしれない。
でも……アルフィーには逃げ出す勇気がなかった。
一歩ずつ、慎重に歩きながら、血をたどっていく。
その血は、ある場所へと続いていた。
そこは、神を司る魔人であるルカのリクエストで作った、神のための祭壇の部屋。
普段はルカ以外立ち入ることができない、禁断の空間となっていた。
その空間は、ルカのリクエストによりステラの魔によって、特殊な工夫が施されているらしかった。
具体的にどんな工夫かは、ステラとルカの間だけの秘密になっていた。
だから。
扉が開いている今の状況が、もはや異常事態を指し示していることだけは、アルフィーには分かった。
入ってはいけないと、アルフィーの本能が言う。
でも入らなければ。
確認しなければ。
アルフィーの理性と正義感が警鐘を鳴らす。
そして、しばらく自分の中で押し問答を繰り返してから、アルフィーは禁断だった空間への一歩踏み出した。
そこにあったのは、3つ目の悲惨な光景。
その中心にいたのは……。
「と……トラヴィス!?」
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