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第二章 南へ
72.対策済み
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ミゼアスが放った鳩がヴァレンからの返事を持ち帰ってきた。
内容を見て、ミゼアスは思わずくすくすと笑い出してしまう。
「ヴァレンはとっくに対策済みだったよ。やっぱりあの子は、突き抜けている」
ローダンデリアの商人は、ヴァレンを身請けしようとしていたらしい。身請けを断れば、夕月花を咲かせることができるのはヴァレンだけだと、ローダンデリアに来てほしいと願ったそうだ。
しかし、まだ確証はないが、商人は赤味がかった金髪の子供たちをさらっているだろうとヴァレンは考えた。誘拐事件の話も耳に入っていたそうだ。
以前、宿場町でフィオン、ユアン兄弟に舞い込んできた出来事をミゼアスは思い出す。あのとき、不夜島への誘いと称してユアンをさらおうとしていた男は、ミゼアスが警備兵に突き出した。
赤味がかった金髪ということで、ヴァレンを思い出したのだが、予想以上に繋がりがあったのかもしれない。
「もう、さらわれた子供たちの居場所にも見当をつけて、手配しているらしい。僕たちが何かすることもなさそうだ」
危機が迫っていると案じたが、ヴァレンには心配など必要なかったようだ。まだ終わったわけではないようだが、この分では問題なく解決するだろう。
「そうか……」
ロシュが力なく呟く。顔には安堵も滲んでいるのだが、肩透かしを食らったような、脱力した様子だ。何も役に立てなかったと思っているのかもしれない。
「ああ、でもロシュの夕月花の話はとても参考になったと感謝していたよ。それと、ロシュのことは覚えているって」
消沈したロシュに、飴となる言葉を与えてみる。
実際にロシュからの夕月花の話は参考になったようだ。それで憶測だった出来事を繋げることができた、とも書いてあった。
「え……?」
ロシュの表情に驚きの色がさす。
「そのときにもらった飴玉、美味しかったって」
ヴァレンはロシュのことも返事に書いていた。おおざっぱなヴァレンだが、意外とそういった気配りは細かい。
「そんなことまで覚えていてくれたんだ……」
感激に瞳を潤ませるロシュ。消沈した様子はどこかに消え、頬には赤味がさしていた。
別にロシュが特別だったわけではなく、ヴァレンは全ての物事を覚えているだけなのだが、そこは黙っておく。
「もしヴァレンに会いたいんだったら、紹介状書こうか?」
「え?」
ミゼアスが提案すると、ロシュは戸惑った声を漏らす。
「多分、客としてじゃなくても会ってくれるとは思うけれど……」
ヴァレンの性格なら、夕月花のことを教えてくれた礼とでも言って、客としてではなくても会ってくれるはずだ。念のために断定はしなかったが、おそらく間違いはないと思われた。
「い、いや……会うのなら、準備をしてきちんと会いたい。でも、紹介状はありがたいな」
「うん、紹介状書くくらい簡単だから、それは任せて」
ミゼアスは微笑んで頷く。ロシュは結構、律儀なようだ。
「あと……俺、ローダンデリアに行ってみようと思う。何かできることがあるわけじゃなくても……せめて、夕月花くらい見てみたい」
静かに呟くロシュの声は、力強い響きを持っていた。
ミゼアスは穏やかに寄り添ってくれるアデルジェスを見上げる。アデルジェスは優しく微笑んで、頷いた。
「……僕も、夕月花を見てみたいな。飴はよく食べていたし、香油も使ったけれど……花そのものは見たことがないんだ。よかったら、一緒に行かない?」
内容を見て、ミゼアスは思わずくすくすと笑い出してしまう。
「ヴァレンはとっくに対策済みだったよ。やっぱりあの子は、突き抜けている」
ローダンデリアの商人は、ヴァレンを身請けしようとしていたらしい。身請けを断れば、夕月花を咲かせることができるのはヴァレンだけだと、ローダンデリアに来てほしいと願ったそうだ。
しかし、まだ確証はないが、商人は赤味がかった金髪の子供たちをさらっているだろうとヴァレンは考えた。誘拐事件の話も耳に入っていたそうだ。
以前、宿場町でフィオン、ユアン兄弟に舞い込んできた出来事をミゼアスは思い出す。あのとき、不夜島への誘いと称してユアンをさらおうとしていた男は、ミゼアスが警備兵に突き出した。
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「もう、さらわれた子供たちの居場所にも見当をつけて、手配しているらしい。僕たちが何かすることもなさそうだ」
危機が迫っていると案じたが、ヴァレンには心配など必要なかったようだ。まだ終わったわけではないようだが、この分では問題なく解決するだろう。
「そうか……」
ロシュが力なく呟く。顔には安堵も滲んでいるのだが、肩透かしを食らったような、脱力した様子だ。何も役に立てなかったと思っているのかもしれない。
「ああ、でもロシュの夕月花の話はとても参考になったと感謝していたよ。それと、ロシュのことは覚えているって」
消沈したロシュに、飴となる言葉を与えてみる。
実際にロシュからの夕月花の話は参考になったようだ。それで憶測だった出来事を繋げることができた、とも書いてあった。
「え……?」
ロシュの表情に驚きの色がさす。
「そのときにもらった飴玉、美味しかったって」
ヴァレンはロシュのことも返事に書いていた。おおざっぱなヴァレンだが、意外とそういった気配りは細かい。
「そんなことまで覚えていてくれたんだ……」
感激に瞳を潤ませるロシュ。消沈した様子はどこかに消え、頬には赤味がさしていた。
別にロシュが特別だったわけではなく、ヴァレンは全ての物事を覚えているだけなのだが、そこは黙っておく。
「もしヴァレンに会いたいんだったら、紹介状書こうか?」
「え?」
ミゼアスが提案すると、ロシュは戸惑った声を漏らす。
「多分、客としてじゃなくても会ってくれるとは思うけれど……」
ヴァレンの性格なら、夕月花のことを教えてくれた礼とでも言って、客としてではなくても会ってくれるはずだ。念のために断定はしなかったが、おそらく間違いはないと思われた。
「い、いや……会うのなら、準備をしてきちんと会いたい。でも、紹介状はありがたいな」
「うん、紹介状書くくらい簡単だから、それは任せて」
ミゼアスは微笑んで頷く。ロシュは結構、律儀なようだ。
「あと……俺、ローダンデリアに行ってみようと思う。何かできることがあるわけじゃなくても……せめて、夕月花くらい見てみたい」
静かに呟くロシュの声は、力強い響きを持っていた。
ミゼアスは穏やかに寄り添ってくれるアデルジェスを見上げる。アデルジェスは優しく微笑んで、頷いた。
「……僕も、夕月花を見てみたいな。飴はよく食べていたし、香油も使ったけれど……花そのものは見たことがないんだ。よかったら、一緒に行かない?」
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