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第三章 巡り会い
122.支えられている
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ミゼアスがぼんやりとした意識を覚醒させると、呆然と目を見開くアデルジェスの顔が目に映った。
「ジェス……? あれ……僕……どうしたの……?」
何が起こっているのかよくわからないまま、ミゼアスは呟く。
長い夢を見ていたような気もするが、内容はわからない。ただ、時間はかなり経過しているようで、長い間寝ていたせいか腰の辺りが少々痛かった。
「ミゼアス……ミゼアス……よかった……」
涙を流しながら、アデルジェスはミゼアスを抱きしめる。かすれた声で何度もミゼアスの名を呼ぶが、状況が理解できないミゼアスは何もできずに、されるがままだ。
互いに裸であることに気づき、ミゼアスはもしかして性交の最中に意識を失ったのだろうかとも考える。しかし、それにしてはアデルジェスの態度が大げさだ。
何があったのだろうかと記憶をたどったところで、ようやくミゼアスははっと気づく。
領主主催の宴で、『風月花』の演奏を終えた後、意識が途切れてしまったのだ。
「僕……『風月花』を演奏して、それから……」
ぼそりと呟くと、ようやくアデルジェスが腕の力を緩めた。腕の中から離そうとはしないが、互いの顔が見える程度の距離になる。
「そう、ミゼアスは倒れちゃったんだよ。その後、昏睡状態になって……マリオンさんとイーノスさんの家に運んだんだ」
「そっか……どうしちゃったんだろう……」
ミゼアスはわずかに眉根を寄せながら、考え込む。
まさか『風月花』を弾いたことが原因だろうか。いや、それよりもまずは迷惑をかけたことを謝るべきだ、などといったことがミゼアスの頭にぐるぐると浮かぶ。
「それで、ミゼアスを目覚めさせる方法を知らないかってヴァレンに手紙を出したら、本人がやってきたんだよ」
「……え? ヴァレンが?」
驚きのあまり、ミゼアスの頭からは全ての考えが吹き飛んでしまった。
ヴァレンは未だに不夜島の白花のはずだ。島を出ることなど許されないだろう。何かの勘違いだろうかと、ミゼアスは首を傾げる。
「ヴァレンがここに来ているの? 本当に?」
「うん、来ている。さっき、マリオンさんと一緒に広間のほうに戻っていった」
しかし、確認してみれば、アデルジェスははっきりと答えた。
「俺もまさかヴァレンが来るなんて思わなかったから、びっくりしたよ。どうかしたのか聞こうとしたけど、それよりもまずはミゼアスだから、後回しにした。ミゼアスの目が覚めたら詳しいことを話すって言っていたよ」
アデルジェスの言葉を聞き、ミゼアスは唖然としてしまう。
本当に、ヴァレンがやって来ているのだ。どういう状態で島を出たのかはわからないが、おそらくは何らかの代償を払っているだろう。ミゼアスのためにヴァレンがそうまでしてくれたのだと思うと、ミゼアスは言葉が出なくなる。
すまなかったと謝りたい衝動がわき起こるが、おそらくヴァレンは謝罪など望まないだろう。ヴァレンの決意を尊重するためにも、まずは礼を言うべきだ。
「うん……ジェスにも心配をかけて、ごめんね。ありがとう。マリオン兄さんとイーノスさんにもご挨拶して……ヴァレンに会わないと」
いろいろな人に支えられていることを噛み締めながら、ミゼアスはアデルジェスの頬に口づけをひとつ送ると、温かい腕の中からすり抜ける。
少し腰は痛いものの、ここしばらく身体にのしかかっていただるさが消えていることにふと気づき、訝しく思いながらもミゼアスは服を着て準備を整えていった。
「ジェス……? あれ……僕……どうしたの……?」
何が起こっているのかよくわからないまま、ミゼアスは呟く。
長い夢を見ていたような気もするが、内容はわからない。ただ、時間はかなり経過しているようで、長い間寝ていたせいか腰の辺りが少々痛かった。
「ミゼアス……ミゼアス……よかった……」
涙を流しながら、アデルジェスはミゼアスを抱きしめる。かすれた声で何度もミゼアスの名を呼ぶが、状況が理解できないミゼアスは何もできずに、されるがままだ。
互いに裸であることに気づき、ミゼアスはもしかして性交の最中に意識を失ったのだろうかとも考える。しかし、それにしてはアデルジェスの態度が大げさだ。
何があったのだろうかと記憶をたどったところで、ようやくミゼアスははっと気づく。
領主主催の宴で、『風月花』の演奏を終えた後、意識が途切れてしまったのだ。
「僕……『風月花』を演奏して、それから……」
ぼそりと呟くと、ようやくアデルジェスが腕の力を緩めた。腕の中から離そうとはしないが、互いの顔が見える程度の距離になる。
「そう、ミゼアスは倒れちゃったんだよ。その後、昏睡状態になって……マリオンさんとイーノスさんの家に運んだんだ」
「そっか……どうしちゃったんだろう……」
ミゼアスはわずかに眉根を寄せながら、考え込む。
まさか『風月花』を弾いたことが原因だろうか。いや、それよりもまずは迷惑をかけたことを謝るべきだ、などといったことがミゼアスの頭にぐるぐると浮かぶ。
「それで、ミゼアスを目覚めさせる方法を知らないかってヴァレンに手紙を出したら、本人がやってきたんだよ」
「……え? ヴァレンが?」
驚きのあまり、ミゼアスの頭からは全ての考えが吹き飛んでしまった。
ヴァレンは未だに不夜島の白花のはずだ。島を出ることなど許されないだろう。何かの勘違いだろうかと、ミゼアスは首を傾げる。
「ヴァレンがここに来ているの? 本当に?」
「うん、来ている。さっき、マリオンさんと一緒に広間のほうに戻っていった」
しかし、確認してみれば、アデルジェスははっきりと答えた。
「俺もまさかヴァレンが来るなんて思わなかったから、びっくりしたよ。どうかしたのか聞こうとしたけど、それよりもまずはミゼアスだから、後回しにした。ミゼアスの目が覚めたら詳しいことを話すって言っていたよ」
アデルジェスの言葉を聞き、ミゼアスは唖然としてしまう。
本当に、ヴァレンがやって来ているのだ。どういう状態で島を出たのかはわからないが、おそらくは何らかの代償を払っているだろう。ミゼアスのためにヴァレンがそうまでしてくれたのだと思うと、ミゼアスは言葉が出なくなる。
すまなかったと謝りたい衝動がわき起こるが、おそらくヴァレンは謝罪など望まないだろう。ヴァレンの決意を尊重するためにも、まずは礼を言うべきだ。
「うん……ジェスにも心配をかけて、ごめんね。ありがとう。マリオン兄さんとイーノスさんにもご挨拶して……ヴァレンに会わないと」
いろいろな人に支えられていることを噛み締めながら、ミゼアスはアデルジェスの頬に口づけをひとつ送ると、温かい腕の中からすり抜ける。
少し腰は痛いものの、ここしばらく身体にのしかかっていただるさが消えていることにふと気づき、訝しく思いながらもミゼアスは服を着て準備を整えていった。
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