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第三章 巡り会い
123.心遣い
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アデルジェスに付き添われ、ミゼアスは広間に向かう。
近づいていくと、マリオンの声とともに、懐かしく馴染み深い声が聞こえてくる。ほんの一ヶ月半ほど前までは、毎日のように聞いていた声だ。
どことなく気恥ずかしくなりながらも、ミゼアスは広間に姿を現す。
すると、大きく目を見開いて安堵したようにゆっくり微笑むマリオンと、記憶にあるものと変わらない朗らかな笑顔を浮かべるヴァレンがいた。
「……マリオン兄さん、ご心配とお世話をおかけして申し訳ありません。それと……ヴァレン。わざわざ来てくれて、本当にありがとう……」
ミゼアスが口を開くと、緊張していた空気がゆるやかになっていく。
「ミゼアス……よかった」
「元気になって安心しました、ミゼアス兄さん」
マリオンとヴァレンも、人心地ついたような声で答える。
温かい彼らの態度に心がほっこりとしていくのを感じながら、ミゼアスはヴァレンの手の甲に視線を向けた。そこには、不夜島の四花の証である、四つの花が刻まれたままだ。
花を引退するとき、手の甲にある花の模様も消される。ミゼアスも、マリオンも、すでに手の甲には何もない。
ところが、ヴァレンにはしっかりと花の証が刻まれている。ということは、ヴァレンは白花のまま島を出てきたのだろう。
前代未聞の話だと、ミゼアスはヴァレンの手の甲に視線が釘付けとなり、言葉が出てこない。
「あー……いちおう、領主様からの許しをもらって島を出ているんで、安心してください。脱走したわけじゃありませんから。明日の朝には戻ることになっています」
ミゼアスの視線を感じ取ったようで、ヴァレンが説明を述べる。
「……明日の朝? そんなに早く?」
しかし、今度は別の部分に反応してしまう。せっかくミゼアスのためにやって来てくれたのだから、もう少し時間をかけて礼をしたかった。
「まあ、ミゼアス兄さんを目覚めさせるっていう、一番重要な目的はもう果たしましたしね。ああ……そうでした。ミゼアス兄さんの状態について、説明しますよ」
ヴァレンが切り出すと、マリオンが一歩、動いた。
「ここでは落ち着かないでしょう。応接室をお使いなさい。私とイーノスは、食事の準備をしましょう。出来上がったら呼びますよ。……ああ、ヴァレン、あなたも食べますか?」
「はいっ、ありがとうございますっ!」
マリオンの問いかけに、ヴァレンは勢いよく頷く。
言われてみれば、ミゼアスも空腹を覚えてきた。食事をもらえるのは、ありがたい。
おそらく、マリオンはミゼアスの状態に関する話が、繊細な部分にまで踏み込む可能性を考えて、気を利かせたのだろう。席をはずし、かつ食事の準備をするという心遣いに、ミゼアスは胸が熱くなる。
「マリオン兄さん、ありがとうございます……」
わずかに目が潤んでくるのを感じながら、ミゼアスはマリオンへの感謝を伝える。
本当に、マリオンには世話になってばかりだと痛感するが、ありがたく心遣いを受け取ることが今できる一番の感謝だろう。
「ふふ、私とイーノスが作るものですから、あまり期待しないでくださいね。とりあえず、食べられる程度のものにはなると思いますけれど」
マリオンは優しげな微笑みを浮かべると、悪戯っぽく答えた。
近づいていくと、マリオンの声とともに、懐かしく馴染み深い声が聞こえてくる。ほんの一ヶ月半ほど前までは、毎日のように聞いていた声だ。
どことなく気恥ずかしくなりながらも、ミゼアスは広間に姿を現す。
すると、大きく目を見開いて安堵したようにゆっくり微笑むマリオンと、記憶にあるものと変わらない朗らかな笑顔を浮かべるヴァレンがいた。
「……マリオン兄さん、ご心配とお世話をおかけして申し訳ありません。それと……ヴァレン。わざわざ来てくれて、本当にありがとう……」
ミゼアスが口を開くと、緊張していた空気がゆるやかになっていく。
「ミゼアス……よかった」
「元気になって安心しました、ミゼアス兄さん」
マリオンとヴァレンも、人心地ついたような声で答える。
温かい彼らの態度に心がほっこりとしていくのを感じながら、ミゼアスはヴァレンの手の甲に視線を向けた。そこには、不夜島の四花の証である、四つの花が刻まれたままだ。
花を引退するとき、手の甲にある花の模様も消される。ミゼアスも、マリオンも、すでに手の甲には何もない。
ところが、ヴァレンにはしっかりと花の証が刻まれている。ということは、ヴァレンは白花のまま島を出てきたのだろう。
前代未聞の話だと、ミゼアスはヴァレンの手の甲に視線が釘付けとなり、言葉が出てこない。
「あー……いちおう、領主様からの許しをもらって島を出ているんで、安心してください。脱走したわけじゃありませんから。明日の朝には戻ることになっています」
ミゼアスの視線を感じ取ったようで、ヴァレンが説明を述べる。
「……明日の朝? そんなに早く?」
しかし、今度は別の部分に反応してしまう。せっかくミゼアスのためにやって来てくれたのだから、もう少し時間をかけて礼をしたかった。
「まあ、ミゼアス兄さんを目覚めさせるっていう、一番重要な目的はもう果たしましたしね。ああ……そうでした。ミゼアス兄さんの状態について、説明しますよ」
ヴァレンが切り出すと、マリオンが一歩、動いた。
「ここでは落ち着かないでしょう。応接室をお使いなさい。私とイーノスは、食事の準備をしましょう。出来上がったら呼びますよ。……ああ、ヴァレン、あなたも食べますか?」
「はいっ、ありがとうございますっ!」
マリオンの問いかけに、ヴァレンは勢いよく頷く。
言われてみれば、ミゼアスも空腹を覚えてきた。食事をもらえるのは、ありがたい。
おそらく、マリオンはミゼアスの状態に関する話が、繊細な部分にまで踏み込む可能性を考えて、気を利かせたのだろう。席をはずし、かつ食事の準備をするという心遣いに、ミゼアスは胸が熱くなる。
「マリオン兄さん、ありがとうございます……」
わずかに目が潤んでくるのを感じながら、ミゼアスはマリオンへの感謝を伝える。
本当に、マリオンには世話になってばかりだと痛感するが、ありがたく心遣いを受け取ることが今できる一番の感謝だろう。
「ふふ、私とイーノスが作るものですから、あまり期待しないでくださいね。とりあえず、食べられる程度のものにはなると思いますけれど」
マリオンは優しげな微笑みを浮かべると、悪戯っぽく答えた。
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