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24.出立
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まるで逃げるように慌しく、セレディローサは隣国に向かう馬車に揺られていた。
国王一家は警備に囲まれて窓からのお見送りという、異例の出立だった。当然、父とも義母とも直接言葉を交わしてはいない。呪いをどうしたかについても、デイネストは何も語っていないようだ。
侍女のイリナだけが当然とばかりに、セレディローサについてきた。
隣国に到着してから、結婚式だそうだ。おそらく、セレディローサの国から王族は来ないだろうが。
馬車の中で、セレディローサはぼんやりと座っていた。
この馬車にはセレディローサとイリナの二人きりだ。デイネストは外で馬に乗っている。
幸福と快楽のうちに夫婦の営みは終わった。
シーツに滲んだ血を見て月のものが始まったかと思ったが、破瓜の血だと教えられてセレディローサは驚いてしまった。苦痛などかけらもなかったのだ。
呪いがよい方向に働いたのだろうとデイネストは笑った。本来、初めてとはとても痛いのだという。
黒狼王の牙でセレディローサの純潔を貫き、王女としての生を終えさせて王妃としたのだとデイネストは説明した。
本当にそれで呪いは終わったのかとセレディローサは疑問を抱いたが、苦痛を感じるはずの初めてで快楽しか覚えなかったのは確かである。
不思議に思いながらも、デイネストに可愛かったと耳元で囁かれれば、自らの痴態が思い起こされてセレディローサは変な唸り声しか出せなかった。
そのまま慌しく出立の準備が行われ、気がつけば馬車に揺られている。
現実感がなく、ふわふわと浮いたようなままのセレディローサと違い、イリナは上機嫌でにこにことしていた。
もう呪いは終わったものと片付けたようだ。
セレディローサはそっと息を吐く。イリナほど簡単には受け止められなかった。
本当に呪いから解放されたのなら、嬉しいことだ。だが、解除は不可能といわれる魔女の呪いは本当に消えうせたのだろうか。
薄い膜のような不安は消えることなく、セレディローサを覆っていた。
国王一家は警備に囲まれて窓からのお見送りという、異例の出立だった。当然、父とも義母とも直接言葉を交わしてはいない。呪いをどうしたかについても、デイネストは何も語っていないようだ。
侍女のイリナだけが当然とばかりに、セレディローサについてきた。
隣国に到着してから、結婚式だそうだ。おそらく、セレディローサの国から王族は来ないだろうが。
馬車の中で、セレディローサはぼんやりと座っていた。
この馬車にはセレディローサとイリナの二人きりだ。デイネストは外で馬に乗っている。
幸福と快楽のうちに夫婦の営みは終わった。
シーツに滲んだ血を見て月のものが始まったかと思ったが、破瓜の血だと教えられてセレディローサは驚いてしまった。苦痛などかけらもなかったのだ。
呪いがよい方向に働いたのだろうとデイネストは笑った。本来、初めてとはとても痛いのだという。
黒狼王の牙でセレディローサの純潔を貫き、王女としての生を終えさせて王妃としたのだとデイネストは説明した。
本当にそれで呪いは終わったのかとセレディローサは疑問を抱いたが、苦痛を感じるはずの初めてで快楽しか覚えなかったのは確かである。
不思議に思いながらも、デイネストに可愛かったと耳元で囁かれれば、自らの痴態が思い起こされてセレディローサは変な唸り声しか出せなかった。
そのまま慌しく出立の準備が行われ、気がつけば馬車に揺られている。
現実感がなく、ふわふわと浮いたようなままのセレディローサと違い、イリナは上機嫌でにこにことしていた。
もう呪いは終わったものと片付けたようだ。
セレディローサはそっと息を吐く。イリナほど簡単には受け止められなかった。
本当に呪いから解放されたのなら、嬉しいことだ。だが、解除は不可能といわれる魔女の呪いは本当に消えうせたのだろうか。
薄い膜のような不安は消えることなく、セレディローサを覆っていた。
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