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26.解放
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「……取り乱してしまってごめんなさい。弓を貸してください。使い方がよくわからないので、助けてくださいます?」
しっかりとデイネストの黒い瞳を見つめ、セレディローサは弓を受け取る。意外なことに、重みはさほど感じなかった。
「ああ、もちろん」
満面の笑みでデイネストはセレディローサの手に手を重ね、補助していく。
デイネストに支えられながら、セレディローサは弓に矢をつがえて狼に狙いを定める。
それまでじっと動かなかった狼が岩を蹴り、大きく跳躍した。同時に弦がたわみ、矢が放たれる。
矢はまっすぐに狼へと吸い込まれていった。
その途端、狼の身体から金色の粒子が立ち上り、空へと昇っていった。狼は空中に留まったまま、尾から胴へと徐々に全身を金色の粒子へと変えていく。
薄れゆく狼が、最後にセレディローサを見つめる。その眼差しが慈愛に満ちたものに思え、セレディローサは目を離せないまま呆然と立ち尽くす。
やがてすべてが消えるまで、誰もが沈黙したままだった。
狼がセレディローサの不安までも抱えて天に昇っていったかのように、これですべて終わったのだとセレディローサの心が澄み渡っていく。
その思いを裏付けるように、薄暗かった空から一筋の光が降り注いだ。徐々に晴れ間が広がり、澄んだ青空が姿を現していく。
「……これで呪いはすべて消えうせた。呪われた王女はもういない。ここにいるのは、祝福された王妃だ!」
よく響き渡る声でデイネストが宣言すると、護衛兵たちの間から歓声があがった。国王陛下万歳、王妃陛下万歳との声が響き渡る。
涙を滲ませて震えるイリナに向け、セレディローサは微笑んだ。横には頼もしい夫が付き添ってくれている。
これまでセレディローサのすべてを縛り付けていたものから、とうとう解放されたのだった。
しっかりとデイネストの黒い瞳を見つめ、セレディローサは弓を受け取る。意外なことに、重みはさほど感じなかった。
「ああ、もちろん」
満面の笑みでデイネストはセレディローサの手に手を重ね、補助していく。
デイネストに支えられながら、セレディローサは弓に矢をつがえて狼に狙いを定める。
それまでじっと動かなかった狼が岩を蹴り、大きく跳躍した。同時に弦がたわみ、矢が放たれる。
矢はまっすぐに狼へと吸い込まれていった。
その途端、狼の身体から金色の粒子が立ち上り、空へと昇っていった。狼は空中に留まったまま、尾から胴へと徐々に全身を金色の粒子へと変えていく。
薄れゆく狼が、最後にセレディローサを見つめる。その眼差しが慈愛に満ちたものに思え、セレディローサは目を離せないまま呆然と立ち尽くす。
やがてすべてが消えるまで、誰もが沈黙したままだった。
狼がセレディローサの不安までも抱えて天に昇っていったかのように、これですべて終わったのだとセレディローサの心が澄み渡っていく。
その思いを裏付けるように、薄暗かった空から一筋の光が降り注いだ。徐々に晴れ間が広がり、澄んだ青空が姿を現していく。
「……これで呪いはすべて消えうせた。呪われた王女はもういない。ここにいるのは、祝福された王妃だ!」
よく響き渡る声でデイネストが宣言すると、護衛兵たちの間から歓声があがった。国王陛下万歳、王妃陛下万歳との声が響き渡る。
涙を滲ませて震えるイリナに向け、セレディローサは微笑んだ。横には頼もしい夫が付き添ってくれている。
これまでセレディローサのすべてを縛り付けていたものから、とうとう解放されたのだった。
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