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第一章
尾股城の姫君
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尾股城の姫君は暇を持て余していた。
今年で十一歳となるこの姫君は、城の出窓から外の様子を見下ろすのが日課となっていた。
石垣の先には、静謐な庭園が広がり、枝垂れ桜が優雅に舞う。その先には、城下町が繁栄し、賑やかな市場が広がっている。遠くには山々が連なり、空には鷹が舞い、川の流れが穏やかに流れる。城から眺める景色は、まるで絵画のように美しく、時が止まったかのような平和な時間が流れていた。
「はぁ…暇じゃ…」
美しい景色も毎日のように眺めていれば飽きがきてしまう。
余りに暇なので、侍女でも呼んで遊んでもらおうかと思ったが、自室にある自分専用の肘掛けに目が行って、あることを思い出した。
以前、姫君はこの肘掛けから「どっこいしょ」と身を持ち上げて立ち上がろうとしたところ、バランスを崩して倒れてしまった。その際、この肘掛けに跨るような格好となってしまい、「ぼぼ」が擦れて多いに喜ばしい感覚を享受されたのだ。
姫君はニヤリと笑みを浮かべて早速ソレに跨った。
まだ直に当てるのは怖いので、着物の上からスリスリと擦り当てる。
「はぁ…極楽じゃ…」
暫くすると、なんとも天に登っていきそうな感覚が込み上げてきたではありませんか。
「はぁ…な、なんじゃこの感覚は、あ、あぁ!気がゆくぞ!気がゆくぞ!」
「姫君!」
襖越しに家臣の呼ぶ声が唐突に耳に入り、思わず身体が飛び上がる。「気がゆく」のはお預けとなってしまった。
姫君は急いで体勢を整え、生暖かくなった肘掛けに肘を乗せ、済ました声色で返事をした。
「どうした。入られよ」
「失礼致します」
今年で十一歳となるこの姫君は、城の出窓から外の様子を見下ろすのが日課となっていた。
石垣の先には、静謐な庭園が広がり、枝垂れ桜が優雅に舞う。その先には、城下町が繁栄し、賑やかな市場が広がっている。遠くには山々が連なり、空には鷹が舞い、川の流れが穏やかに流れる。城から眺める景色は、まるで絵画のように美しく、時が止まったかのような平和な時間が流れていた。
「はぁ…暇じゃ…」
美しい景色も毎日のように眺めていれば飽きがきてしまう。
余りに暇なので、侍女でも呼んで遊んでもらおうかと思ったが、自室にある自分専用の肘掛けに目が行って、あることを思い出した。
以前、姫君はこの肘掛けから「どっこいしょ」と身を持ち上げて立ち上がろうとしたところ、バランスを崩して倒れてしまった。その際、この肘掛けに跨るような格好となってしまい、「ぼぼ」が擦れて多いに喜ばしい感覚を享受されたのだ。
姫君はニヤリと笑みを浮かべて早速ソレに跨った。
まだ直に当てるのは怖いので、着物の上からスリスリと擦り当てる。
「はぁ…極楽じゃ…」
暫くすると、なんとも天に登っていきそうな感覚が込み上げてきたではありませんか。
「はぁ…な、なんじゃこの感覚は、あ、あぁ!気がゆくぞ!気がゆくぞ!」
「姫君!」
襖越しに家臣の呼ぶ声が唐突に耳に入り、思わず身体が飛び上がる。「気がゆく」のはお預けとなってしまった。
姫君は急いで体勢を整え、生暖かくなった肘掛けに肘を乗せ、済ました声色で返事をした。
「どうした。入られよ」
「失礼致します」
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