尾股城の姫君

くろ

文字の大きさ
1 / 12
第一章

尾股城の姫君

しおりを挟む
尾股城の姫君は暇を持て余していた。

今年で十一歳となるこの姫君は、城の出窓から外の様子を見下ろすのが日課となっていた。

石垣の先には、静謐な庭園が広がり、枝垂れ桜が優雅に舞う。その先には、城下町が繁栄し、賑やかな市場が広がっている。遠くには山々が連なり、空には鷹が舞い、川の流れが穏やかに流れる。城から眺める景色は、まるで絵画のように美しく、時が止まったかのような平和な時間が流れていた。

「はぁ…暇じゃ…」

美しい景色も毎日のように眺めていれば飽きがきてしまう。
余りに暇なので、侍女でも呼んで遊んでもらおうかと思ったが、自室にある自分専用の肘掛けに目が行って、あることを思い出した。

以前、姫君はこの肘掛けから「どっこいしょ」と身を持ち上げて立ち上がろうとしたところ、バランスを崩して倒れてしまった。その際、この肘掛けに跨るような格好となってしまい、「ぼぼ」が擦れて多いに喜ばしい感覚を享受されたのだ。

姫君はニヤリと笑みを浮かべて早速ソレに跨った。
まだ直に当てるのは怖いので、着物の上からスリスリと擦り当てる。

「はぁ…極楽じゃ…」

暫くすると、なんとも天に登っていきそうな感覚が込み上げてきたではありませんか。

「はぁ…な、なんじゃこの感覚は、あ、あぁ!気がゆくぞ!気がゆくぞ!」


「姫君!」

襖越しに家臣の呼ぶ声が唐突に耳に入り、思わず身体が飛び上がる。「気がゆく」のはお預けとなってしまった。
姫君は急いで体勢を整え、生暖かくなった肘掛けに肘を乗せ、済ました声色で返事をした。

「どうした。入られよ」

「失礼致します」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

乳首当てゲーム

はこスミレ
恋愛
会社の同僚に、思わず口に出た「乳首当てゲームしたい」という独り言を聞かれた話。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

処理中です...