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第一章
献上品
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「姫君に献上品が届いてござります」
家臣がそう言って箱を差し出した。五寸程の硯箱のように見える。
このような献上品が届けられることは珍しくないため、姫君の返す言葉も決まり切っていた。
「ふむ、中身は何じゃ?」
それを聞いて、また家臣も、いつもの決まり切った行動をとる。
「これにござります」
手際良く開封された箱の中身は、桜色をした、小さ目の卵のような形状をしたモノだった。
大きさは、縦二寸、横一寸といったところ。
表面も卵のようにツルッとしたように見えるが、人肌のような柔らかさを彷彿とさせた。そしてこの卵形は、姫君の乙女心をくすぐる何か不思議な魅力を醸していた。
傍には、卵形の半分ぐらいの大きさの、同じく桜色をした、四角く平らなモノが添えられていた。
「ソレは何じゃ」
姫君の質問に家臣は、しばし返答に迷った様子を見せたが、思い直したように口を開いた。
「ハっ、実はこの開発者の姿が雲隠れいたしました故、用途は不明にござります」
姫君は少しばかり訝しんだが、見た目は宝石の類に見えないことも無い。それより、何か惹きつけるものを感じたので、それ以上何も追求せずに家臣を下がらせた。
まず、卵形の方を手に取ってみた。
触感は、すべすべとしており、硬い芯を感じるが、やはりどこか人肌のような柔らかさがあった。指の甲の感触と似ていると姫君は思った。
手に取ってみて初めて分かったが、先端にニ寸程の長さの透明な紐が取り付けてあった。紐は輪状になっており、指などを掛けることができるようになっていた。
次に四角く平らの方を手に取ってみた。
真ん中辺りに平べったい円形の装飾が施されており、軽く触れてみるとグラグラと動く感触があった。
今のグラグラで、もしかしたら取れそうになってしまったかも知れないと、今度は圧を加えるように押して見た。すると。
ヴヴヴ…
卵形が独りでに動きを見せた。
姫君は叫んだ
「であえ!曲者じゃあ!」
家臣がそう言って箱を差し出した。五寸程の硯箱のように見える。
このような献上品が届けられることは珍しくないため、姫君の返す言葉も決まり切っていた。
「ふむ、中身は何じゃ?」
それを聞いて、また家臣も、いつもの決まり切った行動をとる。
「これにござります」
手際良く開封された箱の中身は、桜色をした、小さ目の卵のような形状をしたモノだった。
大きさは、縦二寸、横一寸といったところ。
表面も卵のようにツルッとしたように見えるが、人肌のような柔らかさを彷彿とさせた。そしてこの卵形は、姫君の乙女心をくすぐる何か不思議な魅力を醸していた。
傍には、卵形の半分ぐらいの大きさの、同じく桜色をした、四角く平らなモノが添えられていた。
「ソレは何じゃ」
姫君の質問に家臣は、しばし返答に迷った様子を見せたが、思い直したように口を開いた。
「ハっ、実はこの開発者の姿が雲隠れいたしました故、用途は不明にござります」
姫君は少しばかり訝しんだが、見た目は宝石の類に見えないことも無い。それより、何か惹きつけるものを感じたので、それ以上何も追求せずに家臣を下がらせた。
まず、卵形の方を手に取ってみた。
触感は、すべすべとしており、硬い芯を感じるが、やはりどこか人肌のような柔らかさがあった。指の甲の感触と似ていると姫君は思った。
手に取ってみて初めて分かったが、先端にニ寸程の長さの透明な紐が取り付けてあった。紐は輪状になっており、指などを掛けることができるようになっていた。
次に四角く平らの方を手に取ってみた。
真ん中辺りに平べったい円形の装飾が施されており、軽く触れてみるとグラグラと動く感触があった。
今のグラグラで、もしかしたら取れそうになってしまったかも知れないと、今度は圧を加えるように押して見た。すると。
ヴヴヴ…
卵形が独りでに動きを見せた。
姫君は叫んだ
「であえ!曲者じゃあ!」
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