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第一章
カラクリ
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姫君の号令により、城は騒然となった。
城内の者達が手分けして警戒を固める中、号令を掛けた張本人が指揮を取る。
「恐らくあれは毒矢か何かじゃ。きゃつら狙いを外し、この卵形を弾いたゆえ、どこかに矢の残骸が落ちているはずじゃ。探せ!」
しかし、探せど探せど矢の残骸は出てこなかった。
この騒動は当然、将軍である父上の耳にも届き、事態は更に大事に発展していった。
結局この日は矢の残骸は見つからず。城の皆んなで協力し合い、姫君の安全を確保し、矢の残骸探しは明日に持ち込まれることとなった。
就寝前、姫君は自分の命を守ってくれた卵形に感謝すると、まるで戦友を眼前にしているかのような眼差しでじっと見つめ、大切そうに胸に抱いた。
「そう言えば」と四角の方の装飾が取れていないかを確認した。触れて左右に動かしてみると、やはりグラグラする。それで取れてしまったかも知れないと思い、圧を掛けるように押す。
ヴヴヴ…
卵形があの時と全く同じ動きをした。
驚いて手を離すと卵形は動きを止める。もう一度装飾に圧を掛けてみると、また卵形が動き出す。
いったいどのようなカラクリになっておるのじゃ…
「姫君!」
襖の向こうから聞こえる家臣の声には、やや気持ちの昂りが見えた。
中に通すと、そのままの勢いで続きが語られる。
「お喜び下さいませ!明日、姫君の護衛隊として、千の兵を要請すると将軍様が仰せつかりました!これで安心でございますな!姫君!」
それを聞いた姫君は神妙な面持ちになり、背をピンと伸ばし正座に姿勢を正すと、ゆっくりと語り出した。
「今、わらわの千里によりて、きゃつらの命が燃え尽きる様がありありと現れた。きゃつらは絶命した。我々の一致団結を前に恐れをなし、きゃつらは自ら炎のチリと化したのじゃ!我々は勝利したのだ!父上に兵の要請を断るように伝えておくのじゃ、分かったか?」
「は?…ハッ!か、かしこまりました…」
家臣は、これの報告に大変骨を折ったらしい。
城内の者達が手分けして警戒を固める中、号令を掛けた張本人が指揮を取る。
「恐らくあれは毒矢か何かじゃ。きゃつら狙いを外し、この卵形を弾いたゆえ、どこかに矢の残骸が落ちているはずじゃ。探せ!」
しかし、探せど探せど矢の残骸は出てこなかった。
この騒動は当然、将軍である父上の耳にも届き、事態は更に大事に発展していった。
結局この日は矢の残骸は見つからず。城の皆んなで協力し合い、姫君の安全を確保し、矢の残骸探しは明日に持ち込まれることとなった。
就寝前、姫君は自分の命を守ってくれた卵形に感謝すると、まるで戦友を眼前にしているかのような眼差しでじっと見つめ、大切そうに胸に抱いた。
「そう言えば」と四角の方の装飾が取れていないかを確認した。触れて左右に動かしてみると、やはりグラグラする。それで取れてしまったかも知れないと思い、圧を掛けるように押す。
ヴヴヴ…
卵形があの時と全く同じ動きをした。
驚いて手を離すと卵形は動きを止める。もう一度装飾に圧を掛けてみると、また卵形が動き出す。
いったいどのようなカラクリになっておるのじゃ…
「姫君!」
襖の向こうから聞こえる家臣の声には、やや気持ちの昂りが見えた。
中に通すと、そのままの勢いで続きが語られる。
「お喜び下さいませ!明日、姫君の護衛隊として、千の兵を要請すると将軍様が仰せつかりました!これで安心でございますな!姫君!」
それを聞いた姫君は神妙な面持ちになり、背をピンと伸ばし正座に姿勢を正すと、ゆっくりと語り出した。
「今、わらわの千里によりて、きゃつらの命が燃え尽きる様がありありと現れた。きゃつらは絶命した。我々の一致団結を前に恐れをなし、きゃつらは自ら炎のチリと化したのじゃ!我々は勝利したのだ!父上に兵の要請を断るように伝えておくのじゃ、分かったか?」
「は?…ハッ!か、かしこまりました…」
家臣は、これの報告に大変骨を折ったらしい。
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