尾股城の姫君

くろ

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第一章

母上の目の前で気がゆくぞ!

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奥医師の診察結果は当然異常無しではあったものの、姫君は暫く安静にしておかなければならなくなってしまった。
皆が部屋を出払って一人になった隙に、流石に卵形を引っ張り出す決意をした姫君が、股に手を突っ込もうとした瞬間のことであった。

「おまん姫」

父上の御台所であり、産みの親である母上の声が障子越しに聞こえてきた。
その声は、どこか、いつもと違う真剣さを漂わせていた。

部屋に入った母上は姫君の枕元にゆっくりと正座すると、先ずは心配の声を掛けた。
そして、姫君の身体に異常が無いことを確認するとゆっくりと語り出した。

話の内容は、以前、関白様が城に来訪した際に、姫君に一目惚れしてしまったようで、その日を境に、是非姫君を側室として迎え入れたいとの熱い思いをしたためた俳句が連日届いてキモイという内容だった。
尾股家としては願っても無い政略結婚だったが、先ずは姫君の気持ちを尊重したいということで、今回、この落ち着いて話ができる機会に母上は直々に足を運んできたということだった。

この城に姫君として生まれ、求められていることは何なのかということは、なんとなく分かっているつもりだった。そして今回のこの話しは、その求められていることに応えるには、十分すぎる内容の要請だった。しかし、まだ十一歳という若さと、父上や母上の元を離れる寂しさを考慮すると、葛藤が生じないではいられなかった。
暫く考えていると、急に卵形が震え出した。

「いやぁん!」

びっくりした母上がそれを聞いて

「い、嫌なのか!?」

卵形の振動が止まらず、絶頂の波が姫君に襲い来る。

「ダメダメ!気がゆくぞ!気がゆくぞ!」

「そ、そんな、気がゆくほど嫌だったか。そうか、その歳では無理もない。もう少し待ってもらおう。すまんこすまんこ」

姫君の側室入りは、四年後に持ち越されることとなった。
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